深刻な人手不足が続く中、即戦力の外国人材を採用できるこの「特定技能」制度への注目がかつてないほど高まっています。しかし、「技能実習と何が違うのか?」「手続きが煩雑ではないか?」と二の足を踏んでいる企業様も少なくありません。

実は2025年4月より、受け入れ企業の事務負担を大幅に軽減する法改正が施行されるなど、制度はより活用しやすく進化しています。 本記事では、特定技能の基本から就労までの流れを専門家が分かりやすく解説します。

特定技能制度とは?

一言でいうと、「国内の人手不足が深刻な分野で即戦力となる外国人を採用する制度」です。これまでの「技能実習」は、日本で技術を学んで母国に持ち帰る「国際貢献」が目的でしたが、この「特定技能」は、最初から「現場の働き手(即戦力)」として活躍してもらうことを目的とした在留資格です。そのため、採用する外国人は最初から一定のスキルと日本語能力を持っているのが特徴です。

そしてもう一つの特徴が、受入れる外国人が日常生活や業務を円滑に進められるように支援することが企業に義務付けられていることです。例えば「日本での生活ルールを教える」「住む場所を探す手伝いをする」「困った時の相談窓口になる」といった内容ですが、自社での支援が困難な場合は、登録支援機関という専門組織にまるごと任せることもできます。

対象となる16分野のお仕事

どんな仕事でも受け入れ可能ではなく、国が指定した「特に人が足りない分野」に限られています。制度が創設された当初は12分野でしたが、現在はさらに追加され以下の16分野に拡大されています。

対象分野

➀ 介護⑨ 自動車運送業
➁ ビルクリーニング⑩ 鉄道
③ 工業製品製造業⑪ 農業
④ 建設⑫ 漁業
⑤ 造船・舶用工業⑬ 飲食料品製造業
⑥ 自動車整備⑭ 外食業
⑦ 航空⑮ 林業
⑧ 宿泊⑯ 木材産業

「特定技能1号」と「特定技能2号」

「特定技能1号」は現場の即戦力、「特定技能2号」は現場をまとめ、部下に指示を出せるレベルの熟練した技能をもつリーダー級の人材です。

主なポイントを以下に比較しました。

項目特定技能1号特定技能2号
レベル相当程度の知識・経験が必要熟練した技能が必要
対象分野16分野11分野
在留期間通算で最大5年まで制限なし(更新し続けられる)
家族の帯同基本的に認められない可能
日本語試験必須(N4程度)免除(1号での実績があるため)
技能試験必須より高度な試験に合格が必要
企業側の支援義務あり(生活全般をサポート)支援の義務なし(自立しているため)

日本語試験では1号は合格が必須ですが、2号は原則として試験が免除されます(※外食や漁業など一部分野では一定のレベルが必要な場合があります)。

対象分野は1号では16分野、2号では11分野(介護、自動車運送、鉄道、林業、木材産業を除く)で認められています。また2号がない介護分野には代わりに専門性の高い別の在留資格「介護」への移行が想定されています。

1号から2号への移行の流れとしては、まずは1号として5年間働き、その間に「実務経験」を積み「2号評価試験」に合格することで、2号へステップアップするのが一般的なルートです。

「特定技能制度」の要件

 特定技能制度では“外国人本人”と“受け入れ企業”の両方に要件が定められています。ここではそれぞれの要件を詳しく解説します。

外国人本人が満たすべき要件

特定技能1号を取得するためには、まず18歳以上であることと健康状態が良好であることが前提となります。その上で、即戦力として働くための「技能」と「日本語能力」を備えていることが求められます。この2つの能力については以下で証明することとなります。

  技能能力: 産業分野ごとに実施される「技能評価試験」への合格

  日本語能力: 日本語能力試験(JLPT)N4以上
        または、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)A2レベル以上の合格

なお、技能実習2号を良好に修了した外国人は試験(技能・日本語)免除で移行することが可能です。また、熟練した技能が求められる特定技能2号へ進む場合は、より高度な技能試験への合格や、現場での実務・管理経験(班長としての経験など)が必要となります。※技能試験免除については技能実習時と同分野で働く場合に限る。

受入れ企業(特定技能所属機関)が守るべき基準と義務

企業側は、外国人を適切に雇用し、生活面も含めてしっかりサポートする必要があります。

  • 適正な雇用契約
    日本人と同等以上の報酬であり、労働時間、有給休暇の取得などが日本の労働法令を遵守していることが必須です。
  • 企業の適格性
    過去1年間に、自社都合による離職者や行方不明者を出していないこと、また労働・社会保険、租税に関する法令を守っていることが求められます。
  • 支援体制の構築
    「特定技能1号」の人を受入れる場合、会社には「10項目の支援」が義務付けられています。自社での支援が難しい場合は、一部またはすべてを登録支援機関に委託することもできます。
  • 協議会への加入
    分野を所管する省庁が設置する協議会に入会し、制度の適正な運用に向けた協力を行う義務があります。

受け入れまでの具体的な流れ

➀ 受け入れ要件の確認: 対象分野であるか、法令違反がないか確認。

➁ 人材の採用::技能試験と日本語試験の合格者、または技能実習2号の修了者から選考。

③ 雇用契約の締結: 報酬説明書や雇用条件書の作成。また、外国人の国籍国によっては当該国籍国で定められた手続を行う必要がある場合あり。

④ 支援計画の策定(特定技能1号のみ):支援の実施について、所属機関で行うか登録支援機関に委託するか決定。 

⑤ 事前ガイダンス・健康診断:本人へ条件や生活ルールを説明し、健康診断を受けてもらう。

⑥ 各分野の協議会へ加入:下記⑦の手続きの際に加入したことの証明書が必要

⑦ 在留資格の申請: 出入国在留管理庁への申請手続き。

⑧ 入国・就労開始 :受入れ後、所属機関や登録支援機関は入管に対し受入状況や支援実施状況の定期報告。2025年4月より、従来の3ヶ月ごとから「年1回」へ変更されました。また、雇用契約に変更があった場合なども届出をする必要あり。

まとめ

制度は複雑と思うかもしれませんが、即戦力を確保できるメリットは大きいです。また、1号なら5年、2号なら無期限の在留期間があるので、長期雇用も期待できます。支援体制や申請手続きなどは専門家に頼りながら、安定的・継続的な労働力の確保を目指せます。