高度専門職ビザ(在留資格:高度専門職1号、高度専門職2号)には、一般的な就労ビザと比べて7つのメリットがあります。特に、在留期間5年や永住許可申請の要件緩和などは大きなメリットですね。
高度専門職ビザの7つのメリット
まずはメリット一覧です。1,2,3,7は全ての方が対象です。ご結婚されている方は4,5,6にもメリットを感じると思います。お金持ちの方は6が魅力的に映るかもしれませんね。
高度専門職1号 | 高度専門職2号 |
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1. 複合的な在留活動の許容 | 1.「高度専門職1号」の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる |
2. 在留期間「5年」の付与 | 2.在留期間が無期限となる |
3. 在留歴に係る永住許可要件の緩和 | 同左 |
4. 配偶者の就労 | 同左 |
5. 一定の条件の下での親の帯同 | 同左 |
6. 一定の条件の下での家事使用人の帯同 | 同左 |
7. 入国・在留手続の優先処理 | 同左 |
1. 複合的な在留活動の許容
高度専門職ビザでは、特定の企業などで働きつつ、その業務と関連していれば他の会社の経営をすることが可能になります。
通常の就労ビザの場合、基本的には1つの契約機関しか認められません。つまり1社に雇用されて働くことになり、その会社以外で働く場合は資格外活動許可を取得しなければなりません(在留資格で許可された活動以外を行う場合は資格外活動許可が必須)。
ところが、高度専門職ビザであれば社長をしながら別会社に勤めるということも可能に。
例えば、IT企業で働きながらIT企業を起業して社長になることも可能です。技術・人文知識・国際業務ビザと経営・管理ビザという異なる2つのビザの活動内容が高度専門職ビザであれば可能になるということです。
ただし、全く関係のない組み合わせはできません。法令では「当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営」とされていますので、例えば、AI研究の研究員として働きながら、飲食店経営をするのでは関連性が無いとして×です。
2. 在留期間「5年」の付与
高度専門職ビザでは、許可時にいきなり在留期間「5年」となります。
その他の就労ビザ、例えば技術・人文知識・国際業務ビザでは、在留期間は「5年、3年、1年、3ヶ月」のいずれかとなります。一般的には1年からスタートし、更新を何度もして3年、5年と次第に伸びていきます。
そのため数年間の間に在留期間更新許可申請を何度も申請することになりますので、その都度、入管に行って更新するたびに4,000円の手数料を払わないとなりません。
また、高度専門職ビザを取得した5年後に高度専門職ビザの更新をする方はいません。なぜなら、途中で在留期間が無期限になる高度専門職2号ビザへ変更したり、次にご説明する永住許可要件の緩和を利用して永住ビザへ変更するからです。
3. 在留歴に係る永住許可要件の緩和
高度専門職ビザを取得後、1年または3年で永住ビザ(在留資格:永住者)へ変更が可能です。
通常、就労ビザでは永住申請ができるようになるまで日本在留10年という要件をクリアしなければなりませんが、それが大幅に短縮されるのです。
1年または3年となっているのは、高度専門職ビザを申請するときに用いる「高度人材ポイント計算表」の点数次第となります。
高度人材ポイント計算表 | 永住許可申請に必要な期間 |
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70点~79点 | 3年 |
80点以上 | 1年 |
はじめに80点以上で高度専門職ビザを取った場合、1年後には永住許可申請が可能になりますね。永住許可申請の標準審査期間は4カ月ですので、来日して1年半後には永住権を持っているなんて方もたくさんいらっしゃいます。
70点代の場合は3年経つのを待ってからとなりますが、収入が上がったりなどで途中で80点以上になれば3年待たずに永住申請が可能です。
また、この永住許可申請の緩和要件は、高度専門職ビザを持っていなくても適用されます。あくまで高度人材ポイント計算表での点数次第の要件になっていますので、例えば研究ビザの方の高度人材ポイントが3年前から70点あれば永住許可申請が可能になっています。
永住許可申請の緩和要件は所持しているビザに関係なく「永住許可申請時とその1年前または3年前の高度人材ポイント次第」と考えてもらえれば大丈夫です。
4. 配偶者の就労
技術・人文知識・国際業務ビザ、研究ビザ、教育ビザ、興行ビザの活動内容限定ですが、これらの活動を資格外活動許可無しですることが可能になります(注:在留資格変更許可申請が必要)。
この説明だとメリットがよく分からないかもしれませんね。
要は就労ビザを取得せずとも労働時間の制限が無くなる=フルタイムで働けるということです。
就労ビザの配偶者は一般的に家族滞在ビザをお持ちだと思います。この場合、資格外活動許可を得て働くわけですが、週28時間という労働時間の制限がありますね。そのため、アルバイト・パートの枠を超えて働くことは難しい状況でした。
そこで高度専門職ビザの配偶者の就労制限を緩和することで、フルタイムで働くことが選択できるようになった、ということです。
在留資格変更許可申請が必要
配偶者の就労のメリットは、在留資格変更許可申請が必要となります。何もせずにフルタイムで働けるようになるわけではありませんのでご注意ください。
要件・ポイントは下記の通りです。
- 在留資格変更許可申請が必要(在留資格:特定活動へ変更)
- 高度専門職の配偶者には「学歴」「職歴」を問われない(本来、就労ビザを取得するためには「学歴」「職歴」が求められます)
- 活動内容は技術・人文知識・国際業務ビザ、研究ビザ、教育ビザ、興行ビザのいずれか
- 高度専門職ビザを持っている配偶者と同居は必須
- 日本人と同じ給料であること(日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。)
5. 一定の条件の下での親の帯同
一定の要件を満たせば、下記のケースで親(養親含む)を連れてくることが可能です。
①高度外国人材又はその配偶者の7歳未満の子(養子を含みます。)を養育する場合
②高度外国人材の妊娠中の配偶者又は妊娠中の高度外国人材本人の介助等を行う場合
子育てのために親を呼ぶことが可能になるということですね。
子どもはお二人の子供は当然ですが、連れ子や養子も含まれます。
また、一定の要件とは「世帯年収が800万円以上であること」「来日する親は同居すること」になります。
6. 一定の条件の下での家事使用人の帯同
条件は厳しいですが、家事使用人用のビザの取得が可能です。
パターンは2つあります。
- 来日前の家事使用人を連れてくる
- 家庭の事情で家事使用人を雇う
共通の要件は次の通りです。
- 高度外国人材の世帯年収が1,000万円以上あること
- 帯同できる家事使用人は1名まで
- 家事使用人に対して月額20万円以上の報酬を支払うことを予定していること
①来日前の家事使用人を連れてくる
家事使用人は一緒に来日してもいいですし、家事使用人が遅れて来日しても可能です。
また、この場合の家事使用人は雇用実績が必要で、詳細は下記の通りです。
- 高度外国人材と共に本邦へ入国する場合は、帯同する家事使用人が本邦入国前に1年以上当該高度外国人材に雇用されていた者であること
- 高度外国人材が先に本邦に入国する場合は、帯同する家事使用人が本邦入国前に1年以上当該高度外国人材に雇用され、かつ、当該高度外国人材が本邦へ入国後、引き続き当該高度外国人材又は当該高度外国人材が本邦入国前に同居していた親族に雇用されている者であること
1年以上雇っている家事使用人を連れてくるか、遅れてくる場合はその家事使用人が引き続き同居していた親族に雇われていなければならないということです。
②来日後、家庭の事情で家事使用人を雇う
この場合の家事使用人は1年以上雇っていない人でもOK。日本で新たに探してもいいということです。
家庭の事情があることが必要になりますが、申請の時点において
- 13歳未満の子がいること
- 配偶者が病気等により日常の家事ができないこと
が必要になります。
7. 入国・在留手続の優先処理
高度専門職ビザに係る手続きは優先的に早期処理が行われます。
ものすごく速いです。
名称 | 通常のビザ | 高度専門職ビザ |
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在留資格認定証明書交付申請書 | 1~3か月 | 10日 |
在留資格変更許可申請 在留期間更新許可申請 などの在留審査に係る申請 | 2週間~1か月 | 5日 |