大学生のインターンシップはすっかり当たり前になり、インターンシップを単位認定する大学も2015年時点で7割を超えています。

この数字は日本国内の大学に関してのものですが、海外の大学生をインターンシップの一環として就労させることができることはご存知でしょうか?人材紹介会社から半年~1年の期間で海外の学生を雇用しないかと提案されたことがある企業様も年々増えています。

今回は海外の大学生がインターンシップ生として働くためのビザについてご紹介します。

インターンシップとは?

そもそもインターンシップとは、就職・転職のミスマッチを無くすためにアメリカで始まった仕組みです。就職前に職場体験をして採用側と就職希望者の様々な相違を減らす目的があるんですね。

ただし、現在の日本でのインターンシップは少し様相が異なります。上記のようにミスマッチを減らすという目的もありますが、大学生の観点から言えば、社会経験を積む、就職を検討する前に業界を知るため、就職有利になるため、単位取得のため、周りがしているからなど、様々な思惑があります。

また、インターンシップが1日だけだったり、数週間に及ぶものだったりと、期間についても多様です。給料については無報酬が一般的ですね。給料のあるインターンシップは1割にも満たないそうです。

一方、今回取り上げている海外在住の外国人学生によるインターンシップは少し異なります。大学の単位になることが前提で、インターンシップ期間は数か月~1年の長期給料も出るインターンシップです。

日本国内の外国人大学生をインターンシップとして受け入れることに関してはこちらの記事をご参照ください。

海外在住の大学生をインターンシップ生として受け入れるためのビザの紹介

外国人が日本に住むには在留資格(ビザ)が必要です。このビザは種類によって勤務時間の制限や報酬の有無など、さまざまな制限がありますので、どのビザでもインターンシップ生として迎え入れることができるわけではありません。つまり、インターンシップの形態によって必要となるビザが変わるということです。

インターンシップを目的として海外から大学生を呼ぶ場合は下記のビザが当てはまります。

在留資格(ビザ)給料(報酬)インターン期間単位認定
特定活動ビザ(インターンシップ)あり最長1年される
特定活動ビザ(サマージョブ)あり3か月以内されない
文化活動ビザ無し90日を超えた期間される
短期滞在ビザ無し90日以内される

また、無報酬の場合は文化活動ビザ、短期滞在ビザとご紹介していますが、中長期のインターンシップが無報酬で行われることは一般的にほとんどありませんので、インターンシップでの文化活動ビザの取得は難しいと考えています。

各在留資格(ビザ)の共通項目

いずれのビザも大学(短期大学も含む)の教育課程の一環であることが必要です。そのため、インターンシップ受け入れ側は大学との契約締結が必要となります。

また、インターンシップ受け入れ側はインターンシップ生の受入体制と指導体制が整っていることも必要となります。異国の若者を受け入れるわけですから、この点については真摯に受け止めてくださいね。

また、安価な労働力の確保のためにこれらのビザを悪用されるケースも多くあります。そのため、ビザを審査する入国管理局側も在留資格の許可については厳しく審査していますので、取得が難しいビザとも言えます。

給料(報酬)あり:特定活動ビザ(インターンシップ)

インターンシップ生として働いてもらい、その対価=給料を支払う場合は特定活動ビザ(インターンシップ)を取得しなければなりません。労働者として受け入れるわけですから、労働基準法等の労働関連法令も原則適用されます。

入管法では下記の表現となっています。

外国の大学の学生(卒業又は修了をした者に対して学位の授与される教育課程に在籍する者(通信によ る教育を行う課程に在籍する者を除く。)に限る。)が、当該教育課程の一部として、当該大学と本邦の 公私の機関との間の契約に基づき当該機関から報酬を受けて、一年を超えない期間で、かつ、通算して当 該大学の修業年限の二分の一を超えない期間内当該機関の業務に従事する活動

単位認定

大学の教育課程の一環としてのインターンシップという位置づけですので、所属学校から単位認定されることが前提です。

業種・職種の制限

学生の専攻内容と仕事内容に関連性がなければなりません。ただし、技術・人文知識・国際業務ビザなど他の就労ビザほどの制限があるわけではありませんので、これまで就労ビザが取れないということで外国人雇用を断念していた分野でもインターンシップ生として働いてもらうことが可能になります。

また、学業の一環ということで風俗営業は禁止されています。

在留期間

取得できる在留期間(日本滞在期間)は6か月または1年です。在留期間更新許可申請で期間延長も可能ではありますが、日本滞在は最長1年ですのでその期間の中での延長となります。

受け入れ期間

企業が受け入れ可能な期間は4年制大学の場合は最大2年、2年制短期大学の場合は1年です。

在留期間は最大1年ですので、2年受けれる場合は一度帰国後にもう一度特定活動ビザを取得して呼び寄せなければなりません。

報酬規程

一般的に就労ビザであれば「日本人と同等」の給料が必要となりますが、特定活動ビザ(インターンシップ)では給料の規程はありません。

そのかわり、労働関連法令が適用されますので、例えば最低賃金や時間外労働手当などは厳守しなければなりません。

海外渡航

インターンシップ期間中に帰省や海外旅行は可能です。その場合は出国時に空港で「みなし再入国許可」を取ってくださいね。これが無いともう一度ビザを取り直さなければなりません。

給料(報酬)あり:特定活動ビザ(サマージョブ)

「サマージョブ」という名称がついている通り、夏休みなど長期休暇中に日本でインターンシップ活動をするためのビザです。

先ほどの特定活動ビザ(インターンシップ)と異なり、単位認定はされませんし、短期間となります。

入管法では下記の表現となっています。

外国の大学の学生(卒業又は修了をした者に対して学位の授与される教育課程に在籍する者(通信による教育を行う課程に在籍する者を除く。)に限る。)が、その学業の遂行及び将来の就業に資するものとして、当該大学と本邦の公私の機関との間の契約に基づき当該機関から報酬を受けて、当該大学におけ る当該者に対する授業が行われない期間で、かつ、三月を超えない期間内当該大学が指定した当該機関の業務に従事する活動

単位認定

所属学校から単位認定されないインターンシップ活動です。

業種・職種の制限

特定活動ビザ(インターンシップ)と同じです。

在留期間

取得できる在留期間(日本滞在期間)は3か月です。延長は不可です。

報酬規程

特定活動ビザ(インターンシップ)と同じです。

海外渡航

一度日本を出国するとビザを再取得しなければなりません。

給料(報酬)無し:文化活動ビザ、短期滞在ビザ

給料が無いのであれば、文化活動ビザや短期滞在ビザを取得することになります。

下記はインターンシップに絞った条件を記載しておりますが、該当ビザの一般的な情報についてはこちらをご確認ください(文化活動ビザ短期滞在ビザ)。

単位認定

大学の教育課程の一環としてのインターンシップという位置づけですので、所属学校から単位認定されることが前提です。

業種・職種の制限

学生の専攻内容と仕事内容に関連性がなければなりません。ただし、技術・人文知識・国際業務ビザなど他の就労ビザほどの制限があるわけではありませんので、これまで就労ビザが取れないということで外国人雇用を断念していた分野でもインターンシップ生として働いてもらうことが可能になります。

また、学業の一環ということで風俗営業は禁止されています。

在留期間

短期滞在ビザの場合は最長90日、文化活動ビザの場合は最長1年です。

つまり、日本滞在期間が1日~90日の場合は短期滞在ビザ、91日~1年の場合は文化活動ビザとなります。

報酬規程

給料の支払いは禁止です。入管法違反で雇用側も処罰されますのでご注意ください。

ただし、日本への渡航費や滞在費(住居費)などは雇用側が負担しても問題ありません。

海外渡航

文化活動ビザでは特定活動ビザ(インターンシップ)と同様に、「みなし再入国許可」を取ればビザを再取得することなく日本へ戻ってくることが可能です。

短期滞在ビザは「みなし再入国許可」を取れませんので、一度日本を出国するとビザを再取得しなければなりません。

ビザ取得に必要な書類(在留資格認定証明書交付申請)

下記にご紹介する必要書類は最低限度の書類となります。特に特定活動ビザ(インターンシップ)は安価な労働力の確保という名目で悪用されるケースが多いため、専門家を介して申請することをお勧めします。

特定活動ビザ(インターンシップ)の必要書類

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 写真(縦4cm×横3cm)
  • 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上,392円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの)
  • 申請人の在学証明書
  • 申請人が在籍する外国の大学と日本の受け入れ機関との間で交わしたインターンシップに係る契約書の写し
  • 申請人が在籍する外国の大学からの承認書,推薦状及び単位取得等教育課程の一部として実施されることを証明する資料
  • 申請人の日本での活動内容,期間,報酬等の待遇を記載した資料
  • 申請人のインターンシップでの過去の在留歴を明らかにする資料
    ※過去にインターンシップで日本に在留したことがない場合は,その旨を文書(書式自由)にして提出してください。
  • 申請人の在籍する大学の修業年限を明らかにする資料

特定活動ビザ(サマージョブ)の必要書類

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 写真(縦4cm×横3cm)
  • 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上,392円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの)
  • 申請人の在学証明書
  • 申請人の休暇の期間を証する資料
  • 申請人が在籍する外国の大学と日本の受け入れ機関との間で交わした契約書の写し
  • 申請人の日本での活動内容,期間,報酬等の待遇を記載した資料