外国人を雇用するためには、基本的には技術・人文知識・国際業務ビザが必要です(配偶者ビザ、永住者ビザなどは雇用OK)。

しかし、技術・人文知識・国際業務ビザは様々な要件があり、全てをクリアする必要があります。

【雇用側の要件】

  • 日本の会社が雇用
  • 報酬が日本人と同等
  • 仕事内容が技術・人文知識・国際業務ビザに合っていること

【外国人側の要件】

  • 外国人が仕事内容に適した学歴を持っていること(職歴の場合は原則10年以上)
  • 素行が不良でないこと(過去にアルバイトをし過ぎた、犯罪歴あり、などだと厳しい)
  • 入管法上の届出等の義務を履行をしていること

ここからは、在留資格「技術・人文知識・国際業務」について、法務省より公表されている許可・不許可事例を掲載しております。是非ご参考にしてください。

外国の大学を卒業した者に係る許可事例

(1)本国において工学を専攻して大学を卒業し,ゲームメーカーでオンラインゲームの開発及びサポート業務等に従事した後,本邦のグループ企業のゲーム事業部門を担う法人との契約に基づき,月額約25万円の報酬を受けて,同社の次期オンラインゲームの開発案件に関するシステムの設計,総合試験及び検査等の業務に従事するもの。

(2)本国において工学を専攻して大学を卒業し,ソフトウェア会社に勤務した後,本邦のソフトウェア会社との契約に基づき,月額約35万円の報酬を受けて,ソフトウェアエンジニアとしてコンピュータ関連サービスに従事するもの。

(3)本国において電気通信工学を専攻して大学を卒業し,同国にある日本の電気通信設備工事業を行う会社の子会社に雇用された後,本邦にある親会社との契約に基づき,月額約24万円の報酬を受けて,コンピュータ・プログラマーとして,開発に係るソフトウェアについて顧客との使用の調整及び仕様書の作成等の業務に従事するもの。

(4)本国において機械工学を専攻して大学を卒業し,自動車メーカーで製品開発・テスト,社員指導等の業務に従事した後,本邦のコンサルティング・人材派遣等会社との契約に基づき,月額約170万円の報酬を受けて,本邦の外資系自動車メーカーに派遣されて技術開発等に係るプロジェクトマネージャーとしての業務に従事するもの。

(5)本国において工学,情報処理等を専攻して大学を卒業し,証券会社等においてリスク管理業務,金利派生商品のリサーチ部門等に所属してシステム開発に従事した後,本邦の外資系証券会社との契約に基づき,月額約83万円の報酬を受けて,取引レポート,損益データベース等の構築に係る業務に従事するもの。

(6)本国において電気力学,工学等を専攻して大学を卒業し,輸送用機械器具製造会社に勤務した後,本邦の航空機整備会社との契約に基づき,月額約30万円の報酬を受けて,CAD及びCAEのシステム解析,テクニカルサポート及び開発業務に従事するもの。

(7)本国の大学を卒業した後,本邦の語学学校との契約に基づき,月額約25万円の報酬を受けて,語学教師としての業務に従事するもの。

(8)経営学を専攻して本国の大学院修士課程を修了し本国の海運会社において,外航船の用船・運航業務に約4年間従事した後,本邦の海運会社との契約に基づき,月額約100万円の報酬を受けて,外国船舶の用船・運航業務のほか,社員の教育指導を行うなどの業務に従事するもの。

(9)本国において会計学を専攻して大学を卒業し,本邦のコンピュータ関連・情報処理会社との契約に基づき,月額約25万円の報酬を受けて,同社の海外事業本部において本国の会社との貿易等に係る会計業務に従事するもの。

(10)本国において経営学を専攻して大学を卒業し,経営コンサルタント等に従事した後,本邦のIT関連企業との契約に基づき,月額約45万円の報酬を受けて,本国のIT関連企業との業務取引等におけるコンサルタント業務に従事するもの。

(11)本国において経営学を専攻して大学を卒業した後,本邦の食料品・雑貨等輸入・販売会社との契約に基づき,月額約30万円の報酬を受けて,本国との取引業務における通訳・翻訳業務に従事するもの。

(12)本国において経済学,国際関係学を専攻して大学を卒業し,本邦の自動車メーカーとの契約に基づき,月額約20万円の報酬を受けて,本国と日本との間のマーケティング支援業務として,市場,ユーザー,自動車輸入動向の調査実施及び自動車の販売管理・需給管理,現地販売店との連携強化等に係る業務に従事するもの。

日本の大学を卒業した留学生に係る事例

○許可事例

(1)工学部を卒業した者が,電機製品の製造を業務内容とする企業との契約に基づき,技術開発業務に従事するもの。

(2)経営学部を卒業した者が,コンピューター関連サービスを業務内容とする企業との契約に基づき,翻訳・通訳に関する業務に従事するもの。

(3)法学部を卒業した者が,法律事務所との契約に基づき,弁護士補助業務に従事するもの。

(4)教育学部を卒業した者が,語学指導を業務内容とする企業との契約に基づき,英会話講師業務に従事するもの。

(5)工学部を卒業した者が,食品会社との雇用契約に基づき,コンサルティング業務に従事するもの。

(6)経済学部を卒業した者が,ソフトフェア開発会社との契約に基づき,システムエンジニアとして稼働するもの。

(7)文学部を卒業し,総合食料品店の本社の総合職として期間の定めなく採用された者が,採用当初2年間実務研修としてスーパーマーケットの店舗において,商品の陳列,レジ打ち,接客及び現場における顧客のニーズ等を修得するものであり,同社のキャリアステッププランでは,日本人の大卒者と同様に2年の研修を修了した後に,本社の営業部門や管理部門,グループ内の貿易会社等において幹部候補者として営業や海外業務に従事することとなっているもの。

(8)建築工学を専攻して本邦の大学を卒業し,本邦の建設会社との契約に基づき,月額約40万円の報酬を受けて,建設技術の基礎及び応用研究,国内外の建設事情調査等の業務に従事するもの。

(9)社会基盤工学を専攻して本邦の大学院博士課程を修了し,同大学の生産技術研究所に勤務した後,本邦の土木・建設コンサルタント会社との契約に基づき,月額約30万円の報酬を受けて,土木及び建築における研究開発・解析・構造設計に係る業務に従事するもの。

(10)電子情報学を専攻して本邦の大学院博士課程を修了し,本邦の電気通信事業会社との契約に基づき,月額約25万円の報酬を受けて,同社の研究所において情報セキュリティプロジェクトに関する業務に従事するもの。

(11)国際関係学を専攻して本邦の大学院を修了し,本邦の航空会社との契約に基づき,月額約20万円の報酬を受けて,語学を生かして空港旅客業務及び乗り入れ外国航空会社との交渉・提携業務等の業務に従事するもの。

(12)経営学を専攻して本邦の大学を卒業し,本邦の航空会社との契約に基づき,月額約25万円の報酬を受けて,国際線の客室乗務員として,緊急事態対応・保安業務のほか,乗客に対する母国語,英語,日本語を使用した通訳・案内等を行い,社員研修等において語学指導などの業務に従事するもの。

○不許可事例

(1)経済学部を卒業した者から,会計事務所との契約に基づき,会計事務に従事するとして申請があったが,当該事務所の所在地には会計事務所ではなく料理店があったことから,そのことについて説明を求めたものの,明確な説明がなされなかったため,当該事務所が実態のあるものとは認められず,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する活動を行うものとは認められないことから不許可となったもの。

(2)教育学部を卒業した者から,弁当の製造・販売業務を行っている企業との契約に基づき現場作業員として採用され,弁当加工工場において弁当の箱詰め作業に従事するとして申請があったが,当該業務は人文科学の分野に属する知識を必要とするものとは認められず,「技術・人文知識・国際業務」の該当性が認められないため不許可となったもの。

(3)工学部を卒業した者から,コンピューター関連サービスを業務内容とする企業との契約に基づき,月額13万5千円の報酬を受けて,エンジニア業務に従事するとして申請があったが,申請人と同時に採用され,同種の業務に従事する新卒の日本人の報酬が月額18万円であることが判明したことから,報酬について日本人と同等額以上であると認められず不許可となったもの。

(4)商学部を卒業した者から,貿易業務・海外業務を行っている企業との契約に基づき,海外取引業務に従事するとして申請があったが,申請人は「留学」の在留資格で在留中,1年以上継続して月200時間以上アルバイトとして稼働していたことが今次申請において明らかとなり,資格外活動許可の範囲を大きく超えて稼働していたことから,その在留状況が良好であるとは認められず,不許可となったもの。

(5)経営学部を卒業した者から飲食チェーンを経営する企業の本社において管理者候補として採用されたとして申請があったが,あらかじめ「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事することが確約されているものではなく,数年間に及び期間未確定の飲食店店舗における接客や調理等の実務経験を経て,選抜された者のみが最終的に「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務へ従事することとなるようなキャリアステッププランであったことから,「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事するものとして採用された者に一律に課される実務研修とは認められず,不許可となったもの。

日本の専門学校を卒業した留学生に係る事例 ①

○許可事例

(1)マンガ・アニメーション科において,ゲーム理論,CG,プログラミング等を履修した者が,本邦のコンピュータ関連サービスを業務内容とする企業との契約に基づき,ゲーム開発業務に従事するもの。

(2)電気工学科を卒業した者が,本邦のTV・光ファイバー通信・コンピューターLAN等の電気通信設備工事等の電気工事の設計・施工を業務内容とする企業との契約に基づき,工事施工図の作成,現場職人の指揮・監督等に従事するもの。

(3)建築室内設計科を卒業した者が,本邦の建築設計・設計監理,建築積算を業務内容とする企業との契約に基づき,建築積算業務に従事するもの。

(4)自動車整備科を卒業した者が,本邦の自動車の点検整備・配送・保管を業務内容とする企業との契約に基づき,サービスエンジニアとしてエンジンやブレーキ等自動車の基幹部分の点検・整備・分解等の業務に従事するとともに,自動車検査員としての業務に従事することとなるもの。

(5)国際IT科においてプログラミング等を修得して卒業した者が,本邦の金属部品製造を業務内容とする企業との契約に基づき,ホームページの構築,プログラミングによるシステム構築等の業務に従事するもの。

(6)美容科を卒業した者が,化粧品販売会社において,ビューティーアドバイザーとしての活動を通じた美容製品に係る商品開発,マーケティング業務に従事するもの。

(7)ゲームクリエーター学科において,3DCG,ゲーム研究,企画プレゼン,ゲームシナリオ,制作管理,クリエイター研究等を履修した者が,ITコンサルタント企業において,ゲームプランナーとして,海外向けゲームの発信,ゲームアプリのカスタマーサポート業務に従事するもの。

(8)ロボット・機械学科においてCAD実習,工業数理,材料力学,電子回路,マイコン制御等を履修した者が,工作機械設計・製造を行う企業において,機械加工課に配属され,部品図面の確認,精度確認,加工設備のプログラム作成等の業務に従事し,将来的に部署の管理者となることが予定されているもの。

(9)情報システム開発学科においてC言語プログラミング,ビジネスアプリケーション,ネットワーク技術等を履修した者が,電気機械・器具製造を行う企業において,現場作業用システムのプログラム作成,ネットワーク構築を行うもの。

(10)国際コミュニケーション学科において,コミュニケーションスキル,接遇研修,異文化コミュニケーション,キャリアデザイン,観光サービス論等を履修した者が,人材派遣,人材育成,研修サービス事業を運営する企業において,外国人スタッフの接遇教育,管理等のマネジメント業務を行うもの。

(11)国際ビジネス学科において,観光概論,ホテル演習,料飲実習,フードサービス論,リテールマーケティング,簿記,ビジネスマナー等を履修した者が,飲食店経営会社の本社事業開発室において,アルバイトスタッフの採用,教育,入社説明資料の作成を行うもの。

(12)観光・レジャーサービス学科において,観光地理,旅行業務,セールスマーケティング,プレゼンテーション,ホスピタリティ論等を履修した者が,大型リゾートホテルにおいて,総合職として採用され,フロント業務,レストラン業務,客室業務等についてもシフトにより担当するとして申請があったため,業務内容の詳細を求めたところ,一部にレストランにおける接客,客室備品オーダー対応等「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当しない業務が含まれていたが,申請人は総合職として雇用されており,主としてフロントでの翻訳・通訳業務,予約管理,ロビーにおけるコンシェルジュ業務,顧客満足度分析等を行うものであり,また,他の総合職採用の日本人従業員と同様の業務であることが判明したもの。

(13)工業専門課程のロボット・機械学科において,基礎製図,CAD実習,工業数理,材料力学,電子回路,プロダクトデザイン等を履修し,金属工作機械を製造する会社において,初年度研修の後,機械の精度調整,加工設備のプログラム作成,加工工具の選定,工作機械の組立作業等に従事するとして申請があり,同社において同様の業務に従事する他の日本人従業員の学歴,職歴,給与等について説明を求めたところ,同一の業務に従事するその他の日本人は,本邦の理工学部を卒業した者であり,また,同一業務の求人についても,大卒相当程度の学歴要件で募集しており,給与についても申請人と同額が支払われていることが判明したもの。

○不許可事例(専攻科目と従事する業務内容の関連性以外の判断)

(1)日中通訳翻訳学科を卒業した者から,輸出入業を営む企業との雇用契約に基づき,月額17万円の報酬を受けて,海外企業との契約書類の翻訳業務及び商談時の通訳に従事するとして申請があったが,,申請人と同時に採用され,同種の業務に従事する新卒の日本人の報酬が月額20万円であることが判明したため,日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けているとはいえないことから不許可となったもの。

(2)情報システム工学科を卒業した者から,本邦の料理店経営を業務内容とする企業との契約に基づき,月額25万円の報酬を受けて,コンピューターによる会社の会計管理(売上,仕入,経費等),労務管理,顧客管理(予約の受付)に関する業務に従事するとして申請があったが,会計管理及び労務管理については,従業員が12名という会社の規模から,それを主たる活動として行うのに十分な業務量があるとは認められないこと,顧客管理の具体的な内容は電話での予約の受付及び帳簿への書き込みであり,当該業務は自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とするものとは認められず,「技術・人文知識・国際業務」のいずれにも当たらないことから不許可となったもの。

(3)ベンチャービジネス学科を卒業した者から,本邦のバイクの修理・改造,バイク関連の輸出入を業務内容とする企業との契約に基づき,月額19万円の報酬を受けて,バイクの修理・改造に関する業務に従事するとして申請があったが,その具体的な内容は,フレームの修理やパンクしたタイヤの付け替え等であり,当該業務は自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とするものとは認められず,「技術・人文知識・国際業務」のいずれにも当たらないため不許可となったもの。

(4)国際情報ビジネス科を卒業した者から,本邦の中古電子製品の輸出・販売等を業務内容とする企業との契約に基づき,月額18万円の報酬を受けて,電子製品のチェックと修理に関する業務に従事するとして申請があったが,その具体的な内容は,パソコン等のデータ保存,バックアップの作成,ハードウェアの部品交換等であり,当該業務は自然科学又は人文科学の分野に属する技術又は知識を必要とするもとのは認められず,「技術・人文知識・国際業務」に該当しないため不許可となったもの。

(5)専門学校における出席率が70%である者について,出席率の低さについて理由を求めたところ,病気による欠席であるとの説明がなされたが,学校の欠席期間に資格外活動に従事していたことが判明し,不許可となったもの。

(6)ビルメンテナンス会社において,将来受け入れる予定の外国人従業員への対応として,通訳業務,技術指導業務に従事するとして申請があったが,将来の受入れ予定について何ら具体化しておらず,受入れ開始までの間については,研修を兼ねた清掃業務に従事するとして申請があり,当該業務が「技術・人文知識・国際業務」のいずれにも当たらないため不許可となったもの。

(7)ホテルにおいて,予約管理,通訳業務を行うフロントスタッフとして採用され,入社当初は,研修の一環として,1年間は,レストランでの配膳業務,客室清掃業務にも従事するとして申請があったが,当該ホテルにおいて過去に同様の理由で採用された外国人が,当初の研修予定を大幅に超え,引き続き在留資格該当性のない,レストランでの配膳業務,客室清掃等に従事していることが判明し不許可となったもの。

(8)人材派遣会社に雇用され,派遣先において,翻訳・通訳業務に従事するとして申請があったが,労働者派遣契約書の職務内容には,「店舗スタッフ」として記載されており,派遣先に業務内容を確認したところ,派遣先は小売店であり,接客販売に従事してもらうとの説明がなされ,当該業務が「技術・人文知識・国際業務」のいずれにも当たらないため不許可となったもの。

(9)電気部品の加工を行う会社の工場において,部品の加工,組み立て,検査,梱包業務を行うとして申請があったが,当該工場には技能実習生が在籍しているところ,当該申請人と技能実習生が行う業務のほとんどが同一のものであり,申請人の行う業務が高度な知識を要する業務であるとは認められず,不許可となったもの。

(10)栄養専門学校において,食品化学,衛生教育,臨床栄養学,調理実習などを履修した者が,菓子工場において,当該知識を活用して,洋菓子の製造を行うとして申請があったところ,当該業務は,反復訓練によって従事可能な業務であるとして,不許可となったもの。

(10)栄養専門学校において,食品化学,衛生教育,臨床栄養学,調理実習などを履修した者が,菓子工場において,当該知識を活用して,洋菓子の製造を行うとして申請があったところ,当該業務は,反復訓練によって従事可能な業務であるとして,不許可となったもの。

○不許可事例 (専攻した科目との関連性が認められず,不許可となったもの)

※コース名,学科名から修得内容が明確なものは専攻科目を記載していない。

(1)声優学科を卒業した者が,外国人客が多く訪れる本邦のホテルとの契約に基づき,ロビースタッフとして翻訳・通訳業務に従事するとして申請があったが,専攻した科目との関連性が認められず不許可となったもの。

(2)イラストレーション学科を卒業した者から,人材派遣及び有料職業紹介を業務内容とする企業との契約に基づき,外国人客が多く訪れる店舗において,翻訳・通訳を伴う衣類の販売業務に従事するとして申請があったが,その業務内容は母国語を生かした接客業務であり,色彩,デザイン,イラスト画法等の専攻内容と職務内容との間に関連性があるとは認められず,また翻訳・通訳に係る実務経験もないため不許可となったもの。

(3)ジュエリーデザイン科を卒業した者が,本邦のコンピュータ関連サービスを業務内容とする企業との契約に基づき,外国人客からの相談対応,通訳や翻訳に関する業務に従事するとして申請があったが,専攻した科目との関連性が認められず不許可となったもの。

(4)国際ビジネス学科において,英語科目を中心に,パソコン演習,簿記,通関業務,貿易実務,国際物流,経営基礎等を履修した者が,不動産業(アパート賃貸等)を営む企業において,営業部に配属され,販売営業業務に従事するとして申請があったが,専攻した中心科目は英語であり,不動産及び販売営業の知識に係る履修はごくわずかであり,専攻した科目との関連性が認められず不許可となったもの。

(5)国際ビジネス学科において,経営戦略,貿易実務,政治経済,国際関係論等を履修した者が,同国人アルバイトが多数勤務する運送会社において,同国人アルバイト指導のための翻訳・通訳業務及び労務管理を行うとして申請があったが,教育及び翻訳・通訳業務と専攻した科目との関連性が認められず不許可となったもの。

(6)国際コミュニケーション学科において,接遇,外国語学習,異文化コミュニケーション,観光サービス論等を履修した者が,飲食店を運営する企業において,店舗管理,商品開発,店舗開発,販促企画,フランチャイズ開発等を行うとして申請があったが,当該業務は経営理論,マーケティング等の知識を要するものであるとして,専攻した科目との関連性が認められず不許可となったもの。

(7)接遇学科において,ホテル概論,フロント宿泊,飲料衛生学,レストランサービス,接遇概論,日本文化等を履修した者が,エンジニアの労働者派遣会社において,外国人従業員の管理・監督,マニュアル指導・教育,労務管理を行うとして申請があったが,専攻した科目と当該業務内容との関連性が認められず不許可となったもの。

日本の専門学校を卒業した留学生に係る事例 ②

「技術・人文知識・国際業務」への変更許可申請のうち,特に「翻訳・通訳」業務に従事するとして申請を行うケースが多いところ,当該業務についての,専修学校における専攻との関連性等について示すこととします。

なお,専修学校における専攻との関連性のみならず,当然のことながら,実際に翻訳・通訳業務に従事することができるだけの能力を有していること,就職先に翻訳・通訳を必要とする十分な業務量があることが必要です。そのため,能力を有することの証明のほか,何語と何語間についての翻訳・通訳を行うのか,どういった業務があるのか,必要に応じ説明を求めることがあります。

専修学校における専攻との関連性としては,履修科目に「日本語」に関連する科目が相当数含まれている場合であっても,留学生が専門分野の科目を履修するために必要な専門用語を修得するための履修である場合や,日本語の会話,読解,聴解,漢字等,日本語の基礎能力を向上させるレベルに留まるもの,同一の専門課程において,日本人学生については免除されている(日本人が履修の対象となっていない)ような「日本語」の授業の履修については,翻訳・通訳業務に必要な科目を専攻して卒業したものとは認められません。事例については以下のとおりです。

○許可事例

(1)翻訳・通訳学科において,通訳概論,言語学,通訳演習,通訳実務,翻訳技法等を専攻科目として履修した者が,出版社において出版物の翻訳を行うとして申請があったもの。

(2)国際ビジネス学科において,貿易論,マーティング等の経営学に係る科目を中心に履修しているが,ビジネス通訳実務,ビジネス翻訳実務,通訳技巧などの翻訳・通訳に特化した科目を専門科目において履修した者が,商社の海外事業部において,商談の通訳及び契約資料の翻訳を行うとして申請があったもの。

(3)国際教養学科において,卒業単位が70単位であるところ,経営学,経済学,会計学等のほか,日本語,英語,ビジネス文書,ビジネスコミュニケーション等文章表現等の取得単位が合計30単位認定されており,日本語能力試験N1に合格している者が,渉外調整の際の通訳を行うとして申請があったもの。

○不許可事例

(1)CAD・IT学科において,専門科目としてCAD,コンピュータ言語,情報処理概論等を履修し,一般科目において日本語を履修したが,日本語の取得単位が,卒業単位の約2割程度しかなく,当該一般科目における日本語の授業については,留学生を対象とした日本語の基礎能力の向上を図るものであるとして,不許可となったもの。

(2)国際ビジネス専門学科において,日本語,英語を中心とし,経営学,経済学を履修したが,当該学科における日本語は,日本語の会話,読解,聴解,漢字等,日本語の基礎能力を向上させるレベルに留まるものであり,通訳・翻訳業務に必要な高度な日本語について専攻したものとは言えず不許可となったもの。

(3)国際コミュニケーション学科において,日本語の文法,通訳技法等を履修した者が,新規開拓を計画中であるとする海外事業分野において,日本語が堪能である申請人を通訳人として必要とする旨の雇用理由書が提出されたが,申請人の成績証明書及び日本語能力を示す資料を求めたところ,日本語科目全般についての成績は,すべてC判定(ABCの3段階評価の最低)であり,その他日本語能力検定等,日本語能力を示す資料の提出もないことから,適切に翻訳・通訳を目的とした業務を行うものとは認められず不許可となったもの。

(4)通訳・翻訳専門学校において,日英通訳実務を履修した者が,ビル清掃会社において,留学生アルバイトに対する通訳及びマニュアルの翻訳に従事するとして申請があったが,留学生アルバイトは通常一定以上の日本語能力を有しているものであり,通訳の必要性が認められず,また,マニュアルの翻訳については常時発生する業務ではなく,翻訳についても業務量が認められず不許可となったもの。

(5)翻訳・通訳専門学校において,日英通訳実務を履修した者が,翻訳・通訳業務に従事するとして申請があったが,稼働先が飲食店の店舗であり,通訳と称する業務内容は,英語で注文を取るといった内容であり,接客の一部として簡易な通訳をするにとどまり,また,翻訳と称する業務が,メニューの翻訳のみであるとして業務量が認められず不許可となったもの

(6)日本語・日本文化学科を卒業した者が,人材派遣及び物流を業務内容とする企業との契約に基づき,商品仕分けを行う留学生のアルバイトが作業する場所を巡回しながら通訳業務に従事するとして申請があったが,その具体的な内容は,自らも商品仕分けのシフトに入り,アルバイトに対して指示や注意喚起を通訳するというものであり,商品仕分けを行うアルバイトに対する通訳の業務量が認められず不許可となったもの。

ホテル・旅館等に関わる分野における具体的な事例

(注)以下に挙げている事例は許可・不許可の一例であり,個々の事案についての可否は個別の審査を経て判断されますのでご留意ください。

≪許可事例≫

①本国において大学の観光学科を卒業した者が,外国人観光客が多く利用する本邦のホテルとの契約に基づき,月額約22万円の報酬を受けて,外国語を用いたフロント業務,外国人観光客担当としてのホテル内の施設案内業務等に従事するもの

②本国において大学を卒業した者が,本国からの観光客が多く利用する本邦の旅館との契約に基づき,月額約20万円の報酬を受けて,集客拡大のための本国旅行会社との交渉に当たっての通訳・翻訳業務,従業員に対する外国語指導の業務等に従事するもの

③本邦において経済学を専攻して大学を卒業した者が,本邦の空港に隣接するホテルとの契約に基づき,月額約25万円の報酬を受けて,集客拡大のためのマーケティングリサーチ,外国人観光客向けの宣伝媒体(ホームページなど)作成などの広報業務等に従事するもの

④本邦において経営学を専攻して大学を卒業した者が,外国人観光客が多く利用する本邦のホテルとの契約に基づき総合職(幹部候補生)として採用された後,2か月間の座学を中心とした研修及び4か月間のフロントやレストランでの接客研修を経て,月額約30万円の報酬を受けて,外国語を用いたフロント業務,外国人観光客からの要望対応,宿泊プランの企画立案業務等に従事するもの

⑤本邦の専門学校において日本語の翻訳・通訳コースを専攻して卒業し,専門士の称号を付与された者が,外国人観光客が多く利用する本邦の旅館において月額約20万円の報酬を受けて,フロントでの外国語を用いた案内,外国語版ホームペ-ジの作成,館内案内の多言語表示への対応のための翻訳等の業務等に従事するもの

⑥本邦の専門学校においてホテルサービスやビジネス実務を専攻し,専門士の称号を付与された者が,宿泊客の多くを外国人が占めているホテルにおいて,修得した知識を活かしてのフロント業務や,宿泊プランの企画立案等の業務に従事するもの

⑦海外のホテル・レストランにおいてマネジメント業務に10年間従事していた者が,国際的に知名度の高い本邦のホテルとの契約に基づき,月額60万円の報酬を受けてレストランのコンセプトデザイン,宣伝・広報に係る業務に従事するもの

≪不許可事例≫

①本国で経済学を専攻して大学を卒業した者が,本邦のホテルに採用されるとして申請があったが,従事する予定の業務に係る詳細な資料の提出を求めたところ,主たる業務が宿泊客の荷物の運搬及び客室の清掃業務であり,「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事するものとは認められず不許可となったもの

②本国で日本語学を専攻して大学を卒業した者が,本邦の旅館において,外国人宿泊客の通訳業務を行うとして申請があったが,当該旅館の外国人宿泊客の大半が使用する言語は申請人の母国語と異なっており,申請人が母国語を用いて行う業務に十分な業務量があるとは認められないことから不許可となったもの

③本邦で商学を専攻して大学を卒業した者が,新規に設立された本邦のホテルに採用されるとして申請があったが,従事しようとする業務の内容が,駐車誘導,レストランにおける料理の配膳・片付けであったことから,「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事するものとは認められず不許可となったもの

④本邦で法学を専攻して大学を卒業した者が,本邦の旅館との契約に基づき月額約15万円の報酬を受けて,フロントでの外国語を用いた予約対応や外国人宿泊客の館内案内等の業務を行うとして申請があったが,申請人と同時期に採用され,同種の業務を行う日本人従業員の報酬が月額約20万円であることが判明し,額が異なることについて合理的な理由も認められなかったことから,報酬について日本人が従事する場合と同等額以上と認められず不許可となったもの

⑤本邦の専門学校において服飾デザイン学科を卒業し,専門士の称号を付与された者が,本邦の旅館との契約に基づき,フロントでの受付業務を行うとして申請があったが,専門学校における専攻科目と従事しようとする業務との間に関連性が認められないことから不許可となったもの

⑥本邦の専門学校においてホテルサービスやビジネス実務等を専攻し,専門士の称号を付与された者が,本邦のホテルとの契約に基づき,フロント業務を行うとして申請があったが,提出された資料から採用後最初の2年間は実務研修として専らレストランでの配膳や客室の清掃に従事する予定であることが判明したところ,これらの「技術・人文知識・国際業務」の在留資格には該当しない業務が在留期間の大半を占めることとなるため不許可となったもの

「クールジャパン」に関わる分野における具体的な事例

○許可事例<アニメーション分野>

(1)本邦の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,コンピュータ関連サービスを業務とする会社においてキャラクターデザイン等のゲーム開発業務に従事するもの。

(2)本邦の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,アニメ制作会社において,絵コンテ等の構成や原画の作成といった主体的な創作活動に従事するもの。

(3)本邦の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,アニメ制作会社において,入社当初の6月程度背景の色付け等の指導を受けながら行いつつ,その後は絵コンテ等の構成や原画の作成といった主体的な創作活動に従事するもの。

○許可事例 <ファッション・デザイン分野>

(4)本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,デザイン事務所においてデザイナーとして創作業務に従事するもの。

(5)大学の工学部を卒業した外国人が,自動車メーカーにおいてカーデザイナーとして自動車デザインに係る業務に従事するもの。

(6)本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,服飾業を営む会社においてファッションコーディネーターとして商品の企画販促や商品ディスプレイの考案等に従事するもの。

(7)本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,服飾業を営む会社の海外広報業務を行う人材として採用された後,国内の複数の実店舗で3か月間販売・接客に係る実地研修を行い,その後本社で海外広報業務に従事するもの。

(8)本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,服飾業を営む会社において,パタンナーとして,裁断・縫製等の制作過程を一部伴う創作活動に従事するもの。

○許可事例 <美容分野>

(9)本邦の専門学校において美容に関する専門課程を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,海外展開を予定する化粧品会社における海外進出準備のための企画・マネジメント業務に従事するもの。

(10)本邦の専門学校において美容に関する専門課程を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,ヘアーウィッグやヘアーエクステンション等の商品開発及び営業販売の業務に従事するもの。

○許可事例 <食分野>

(11)本邦の専門学校において栄養管理学等に係る課程を卒業し,専門士の称号を取得した外国人が,食品会社の研究開発業務に従事するもの。

(12)本邦の専門学校において経営学に係る学科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,飲食店チェーンの海外展開業務を行う人材として採用された後,本社における2か月の座学を中心とした研修及び国内の実店舗での3か月の販売・接客に係る実地研修を行い,その後本社で海外展開業務に従事するもの。

(13)本邦の調理師養成施設において調理師免許の取得資格を得た外国人が,農林水産省が実施する「日本の食文化海外普及人材育成事業」の対象となって,5年間調理に関する技能を要する日本料理の調理に係る業務に従事するもの。

(14)フランス国籍を有する者がドイツにおいてイタリア料理の調理師として10年間活動した後,我が国においてイタリア料理の調理に係る業務に従事するもの。

○不許可事例<アニメーション分野>

(1)本邦の専門学校においてマンガ・アニメーション科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,アニメ制作会社において,主体的な創作活動を伴わない背景画の色付け作業等の補助業務にのみ従事するもの。

○不許可事例 <ファッション・デザイン分野>

(2)本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,服飾業を営む会社において,主体的な創作活動を伴わない裁断・縫製等の制作過程に従事するもの。

(3)本邦の専門学校においてデザイン科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,服飾業を営む会社の店舗において専ら接客・販売業務に従事するもの。

(4)本邦の専門学校において主に経理を学んで卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,衣料品販売店において専ら販売業務に従事するもの。

○不許可事例 <美容分野>

(5)本邦の専門学校において美容学科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,美容師やネイリストとして業務に従事するもの。

(6)本邦の専門学校において美容学科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,海外展開を予定する化粧品会社に雇用され,同社の海外進出準備のための企画・マネジメント業務を行うため1年間の座学及び実地研修を行うとして申請があったが,実際には,同社で同じ業務に就く日本人は4か月で実地研修が終わるのに対し,当該外国人については店舗を替えながら実地研修をするという名目で1年間に渡って販売・接客業務をさせる計画であったことが,審査の過程で明らかになったもの。

○不許可事例 <食分野>

(7)本邦の専門学校において経営学に係る学科を卒業し,専門士の称号を付与された外国人が,飲食店チェーンにおいて3年間の滞在予定で海外展開業務を行うとして申請があったが,実際には,入社後2年間は実地研修の名目で店舗での調理・接客業務に従事させる計画であったことが審査の過程で明らかになったもの。