外国人の方が会社を退職して再就職先を探す。このような状態になったとき、無職状態で日本に留まることができるか心配だと思います。
答えは「無職でも日本滞在できる」です。ただし、「求職活動」が必要(※就労ビザ所持者)です。
※求職活動をしていなければビザを取り消される可能性があります。
一方、在留資格が「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「永住者」「定住者」などの身分系ビザは就労制限は無く、無職になってもビザの取消し(在留資格取消)の対象とはなりませんのでご安心ください。
ここでは就労ビザ所持者に限定してお話させていただきます。
自己都合と会社都合
失業の話をする上で、「自分の都合で辞めた」のか「会社の都合で辞めざるをえなかった」のかは非常に重要です。
再就職時の面接で聞かれますし、失業保険の給付開始時期や総額にも大きな違いがあります。
そして外国人にとってはビザ(在留資格)の取り扱いにも差があるんです。
ビザにおいても会社都合で無職になった場合は優遇措置が取られています。
ケースごとに紹介していきますので、ご自身の離職状況に照らし合わせてくださいね。
また、「雇止め」や「待機」もこの記事の「失業」とほぼ同じように入管法上は取り扱われます。
失業→再就職の意思もない場合
就労ビザ所持者が失業し、再就職の意思のないまま日本滞在することはできません。就労ビザは仕事するためのビザで、仕事をするために許可されています。仕事をしなければ在留資格該当性が無いとされ、ビザの取消の対象となります。
目安は失業から3か月です。再就職の意思もない場合は3か月以内に日本を離れるか、他のビザ(配偶者ビザなど)に変更しましょう。
失業→再就職の意思がある場合
冒頭にも述べた通り、再就職の意思がある方はそのまま日本に住み続けることができます。
また、外国人であっても失業保険をもらうことも可能ですし、場合によってはアルバイトしながら求職活動することも可能です。
求職活動ができるのは在留期間の満了までです。再就職できていない状態では就労ビザの更新はできませんので、在留期限を迎えるまでに再就職しておかなくてはなりません。
失業中の求職活動は必須
再就職の意思は「気持ち」だけでなく「行動」が伴っていなければなりません。具体的にはハローワークに登録したり、人材紹介会社などを利用して就職活動をすることです。求人広告を眺めるだけではダメです。
なぜなら、就労ビザ所持者が働いていないことは、正当な理由が無い限り在留資格取消の対象となってしまうからです。
就労ビザ所持者が失業後3か月を経過すると、ビザの取消対象となります。ただし、正当な理由があれば取消はされません。そして、「求職活動」が正当な理由になるのです。「就職活動を頑張っています」と言っても入管は信用してくれるでしょうか?だからこそ行動が必要なんです。
失業期間中にビザの更新時期を迎えた場合
会社都合で失業した場合、お持ちの就労ビザの在留期間が満了を迎えても引き続き日本滞在できる可能性があります。6か月の特定活動ビザへ変更する道が残されています。一方で自己都合での退職者はこの特定活動ビザへ変更はできません。
また、この特定活動ビザは延長はできませんので在留期間の満了を迎える前に失業問題に決着をつけましょう。
ご家族について
家族滞在ビザをお持ちの子や配偶者がいらっしゃる場合は家族揃って特定活動ビザへの変更するよう入国管理局から促されることになります。
失業中のお金問題
失業中は収入が無くなるわけですから、お金の問題が出てきます。そうするとアルバイトが真っ先に思い浮かばれますが、アルバイトをするためには資格外活動が必須。以前留学ビザだった方にはお馴染みですね。ただし、全ての方が取れるわけではありません。
また、失業手当という制度がありますが、外国人の方も対象です。失業期間中にお金を貰える制度です。
資格外活動許可を取ってアルバイト
会社都合で失業した場合、資格外活動許可を取ってアルバイトをすることが可能です。一方、自己都合で会社を辞めた場合、資格外活動許可は取れないと考えてください。
会社都合で失業の場合は自らの意思で職を失ったわけではありませんので、救済措置として資格外活動を認めるという運用がされています。
また、「1週間について28時間以内」という労働条件の包括的な資格外活動許可を貰うことになります。通常、就労ビザの資格外活動許可では単純労働は認められないのですが、この場合はコンビニや飲食店などでもアルバイトをすることが可能になります。
失業保険について
仕事をしているときに雇用保険料を納めていたと思いますが、日本人も外国人も関係なく所定の条件を満たせば失業保険が支給されます。雇用保険に加入しなければならない状態であれば加入義務がありますので、たとえ会社側がきちんと納めていなくても失業保険の需給は可能です。
また、退職理由が自己都合・会社都合によって失業手当の支給開始が異なります。
- 自己都合での退職の場合:退職後約4か月
- 会社都合の場合:退職後約1か月
給付日数にも差があります。会社都合の方が手厚くなっています。
- 自己都合:90日(全年齢)
- 被保険者の期間が1年以上
- 会社都合:120日(30歳から35歳未満の場合)
- ※被保険者の期間が1年以上5年未満
失業保険については最寄りのハローワーク(職業安定所)などでご確認くださいね。
離職時に必ず入国管理局に報告すること
就労ビザをお持ちの方は、失業したことを入国管理局に報告しなければなりません(退職から14日以内)。届出をしておかなければ後のビザの変更・更新手続きに影響することがあるため忘れずに届出をしましょう。
また、在留資格によって名称が変わりますので注意が必要です。技術・人文知識・国際業務ビザなどであれば「契約機関に関する届出」、教授ビザや高度専門職ビザは「所属機関に関する届出」となります。
再就職時にも入国管理局に報告すること
就労ビザをお持ちの方は、再就職したことを入国管理局に報告が必要です(就職から14日以内)。届出をしておかなければ後のビザの変更・更新手続きに影響することがありますので忘れずに届出をしましょう。また、在留資格によって名称が変わりますので注意が必要です。技術・人文知識・国際業務であれば「契約機関に関する届出」となります。
再就職時は「就労資格証明書」を取っておくほうがいい
就労ビザを取得するときは、仕事内容の審査が行われていることはご存知ですか。再就職したときは入国管理局による仕事内容の審査がされていない状態ですので、もしかすると新しい職場での仕事は不法就労になるかもしれませんし、次回のビザの更新ができないかもしれません。
そこで、就労資格証明書を取得するという手順もあります。必須の手続きですが、入国管理局から「問題ない」とお墨付きを貰うことになりますので、次回のビザの更新もスムーズに進みます。
おわりに
外国人の方はビザの問題があります。そのため、失業した場合は収入を失うだけでなく日本に住むことさえ失う可能性をはらんでいるんです。
ですので、会社を辞めるのは慎重にしてくださいね。転職先が決まってからにしましょう。
また、弊所は資格外活動許可の取得や特定活動ビザへ変更申請の代行のご依頼を承っております。就労ビザの方が仕事以外のことをしているということは不安定な状況です。専門家の力を使って確実にビザの手続きを進めませんか?