セカンドオピニオンとは

すっかり定着した感があるセカンドオピニオンという言葉。
真摯さに欠いたお医者さんの話だと信用できないですし、他のお医者さんに診断してもらってからご自身で治療方法を決めたいという場合もありますよね。

セカンドオピニオンの直訳は「第2の意見」です。
病院であれば、主治医以外の医師から意見を聞くことです。

なぜ専門家に診て貰ってるいるのにわざわざ他の医師の意見を聞くかというと、納得出来ていないから。
お医者さんを信用していなかったり、もっといい治療法があるのではという疑心暗鬼。

別のお医者さんにも診察してもらえれば安心感は高まりますね。
診断内容と治療方法が別のお医者さんとも合致していれば、安心して治療に専念できます。

安心を得ることも大事ですよね。

 

ビザ/在留資格の申請もセカンドオピニオンを利用しよう

お医者さんと同様に、行政書士などへのビザ/在留資格の取得・更新もセカンドオピニオンを利用することが可能です。

行政書士などの専門家もノウハウも方針もバラバラです。

「そんなことがあるの?決まった書式での申請でしょ?」
という疑問は最もだと思いますが、ビザ/在留資格の申請書類はただの記入方式ではないからです。
また、申請する人、申請する内容で千差万別なんです。

私は仕事柄、ビザ関係以外の申請(会社設立や他の許認可申請)もしますが、ビザの申請は特殊。
なぜなら、申請する人の個人的な状況に大きく左右されるから。

少し細かく見ていきましょう。

 

①自由記述の書類をあえて出す【配偶者ビザ編】

配偶者ビザであれば、申請書に出会いから結婚までの経緯を詳しく書かなくてはなりません。でも、それだけでは不十分な場合も多いです。

そこで、専門家は「理由書」という必要書類とはされていない書類を作成して申請書類と一緒に出します。
当然ですが、自由記述です。
基本的に、行政書士に依頼するとヒアリング内容を元に文章を作成しますが、フォーマットはありませんので、書き手によって文章は変わります。文章が下手なだけであればいいですが、必要な情報が詰め込まれていない可能性も。

特に配偶者ビザは偽装結婚を疑われますので、お二人の結婚が真実のものであったとしても、馴れ初めだけを聞くと真実だと信じてもらえないこともあります。

例えば、「交際歴5年で同居2年で結婚、お二人の実子あり」 という事実があれば、偽装結婚にはどう考えても見えません。このケースであれば申請書に事実を書くだけで問題ないでしょう。

でも、「交際歴1年で結婚。ただし、結婚するまで2回しか会ったことがない」となると、どうでしょう。
普通に考えれば怪しすぎますよね?
日本での結婚といえば普通恋愛が一般的であり、2回しか会ったことがない人と結婚することはほとんど無いことです。

この場合は、真実の結婚であることを客観的に納得できる説明しなくてはなりません。本当の結婚であることを理由書で説明していくことになります。

説明は、主観的な情報(お二人の気持ち)はもちろんですが、客観的な情報が不可欠です。
「めっちゃ好きだから結婚したんです!」と言っても、「本当に?」という疑念は消えませんよね。
そこで、客観的な情報が必要になります。
なかなか当事者では気づけないことも多いので、必要な客観的情報を見つけるのも専門家の仕事ですね。

また、文章だけでは信ぴょう性がありませんので、信じてもらえるだけの証拠も出さなくてはなりません。証拠については後述しますね。

 

②自由記述の書類をあえて出す【就労ビザ編】

就労ビザとは仕事をするためのビザの総称です。

就労ビザは細かい規定があり、これまでの学歴・経験・実績と仕事内容がマッチしなくてはなりません。そこで問題になるのが、取ろうしているビザの仕事内容と申請書類がマッチしているかの判断が微妙なケースが多いということ。申請書類を見るだけでは、ビザを許可する側(入国管理局)が判断できない可能性が相当数あるんです。

そこで、専門家は理由書を一緒に出します
理由書は必須の書類ではないのですが、スムーズな審査が進むように、また、不要な不許可を出されないようにするために敢えて出す書類です。
理由書は非常にノウハウを問われる書類で、申請者の仕事内容が取得予定ビザとマッチしていること、法律的要件を満たしていることを審査側にきちんと説明するもので、なんとなく合ってるでしょ?ではダメなんです。

仕事内容は千差万別ですし、働く人のバックグラウンドもバラバラです。
それなりに経験があり、ノウハウのある専門家に書いてもらわないと危険な書類なんです。

 

③必要書類になっていない資料を出す

ビザ/在留資格の要件に合っているかは、自ら証明しなければなりません。

規定の書類で証明ができていれば、問題なくビザを取ることができますが、証明できない場合。
審査する側に信じてもらえるように証拠を出すことになります。

遠距離恋愛であれば、電話の履歴やメールの履歴も交際の証拠になりえます(絶対ではありませんが)。
※ビザ/在留資格の申請は紙に限りますので、動画はダメです。
審査側からも要求されることも多いですが、証拠を出してと言われずに不許可になることも。

また、後から書類を出すということは、そのぶん申請結果が出るまでに時間がかかることになります。

 

④申請が許可されると判断できない

専門家に依頼しようと思ったのに断られた。

これは、あくまでその専門家が「申請しても不許可になるだけ」と判断しただけであって、結論ではありません。
その専門家が、ご依頼された方に「許可されるべき理由」を見つけることができなかっただけなのです。

もちろん、絶対不可はあります。
就労ビザでの飲食店のホールスタッフは許可されませんし、タイ料理の経験しかない人がフランス料理のコックにはなれません(配偶者ビザなどの身分系ビザなら可能)。
薬物の売人と結婚しても、その方に配偶者ビザがおりることはありません。

ただし、何事にも微妙なゾーンはあるわけです。
就労ビザでの飲食店のホールスタッフは許可されませんと言いましたが、大手チェーン店などであれば、ある条件を満たせば可能です。
前科のある人でも配偶者ビザを取れる可能性もあります。

微妙なラインについては、専門家であっても判断が分かれます。
それに、判断するための知識にも差が出てきます。

ですので、1、2回断られたくらいでは諦めず、他の専門家の意見を聞くようにしましょう。
医師には内科、外科、小児科、耳鼻科etc…といった科目がある通り、専門性があることはご存知だと思います。でも、なぜ同じ専門科目の医師によって診察結果や治療方針が変わるのでしょうか。それは、診察手段と経験とノウハウに違いがあるのだと思います(私は病院関係者じゃないので、あくまで予想ですが)。

 

そもそも、この業界に「セカンドオピニオン」という制度はあるの?

答えは「無い」です。散々、あーだこーだ言っておきながらすいません…

医療業界では、法定される診療報酬の1つに「診療情報提供料」というセカンドオピニオン用の報酬項目が設けられている通り、制度としてありますし、もはや誰しもが知っている一般的なものです。

でも、私が携わっているビザ関係の仕事では、セカンドオピニオンという制度は存在しません。
それぞれの事務所が個別に「セカンドオピニオン、やっています」と謳っているだけです。

ちなみに、無料なところがほとんどです。
じゃあ、「セカンドオピニオン、やっています」と言っていない専門家にはセカンドオピニオンを頼めないのかというと、そんなことはありません。

ただ、言っていないだけ。
こうした専門家に「セカンドオピニオンをお願いしたい」と言っても通じないかもしれませんが、違う言い方をすれば大丈夫です。
「他の専門家にこう言われたのですが大丈夫でしょうか」
「他で断られてしまったんですが」
と、ご自身の不安や状況を言ってください。

誠実な専門家であれば、真摯に答えてくれると思います。

 

でも、「なんでサービスとして無いのに応えてくれるの?」

もちろん、「困っているから助けてあげよう」という気持ちがあるのは間違いありません。
ただ、経済活動として営業している限り、そんな綺麗事だけでは済みませんよね。

有料でセカンドオピニオンを扱うのであれば、収益になりますので説明できます。
また、無料であっても、セカンドオピニオンを受けられた方は、自分たちのお客様になる可能が十分にあります。

つまり、マーケティング的に言えば「見込み客」と言えるんです。
見込み客は全員がお金を落としてくれる訳ではありません。
そのうちの大半が契約に至らずとも、何%かは契約になります。

また、評価いただければ他の見込み客を連れてきてくれるかもしれませんし、何らかのプラスに作用する可能性が十分あるのです。

そうした期待がある限り、専門家は真摯に応えるはずです。
応えてもらえなければ、古い体質だと蔑んでやってください。

ただし、「セカンドオピニオンを有料でやっているなんてけしからん!」とは思わないでください。
そうしたメニューを持っている専門家は、費用対効果から「有料」にしているだけです。営利活動ですので、セカンドオピニオンより優先することがあれば当然そちらを優先しますので、有料とすることで費用対効果のバランスを取っているのだと思います。

ちなみに、私のところはメニューとしてセカンドオピニオンは設けていませんが、全然ウェルカムです。

そして、もちろん無料です。

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