外国人の方が日本の小学校、中学校、高等学校などで先生をする場合は、教育ビザ(在留資格「教育ビザ」)が該当します。
ただし、「外国人の先生」が全て教育ビザとは限りません。大学の先生であれば「教授ビザ」。民間の語学学校であれば「技術・人文知識・国際業務ビザ」。働く場所によってビザの種類が異なります。
また、先生になる外国人の方の学歴等もビザ取得の要件となりますので、誰でも教育ビザが取れるとは限りませんので注意してくださいね。
入管法上での教育ビザの表現は下記の通りです。
本邦の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において、語学教育その他の教育をする活動。
教育ビザの諸条件
まずは教育ビザの条件概要をご紹介します。
職業 | 先生(非常勤も含む) |
仕事内容 | 語学教育など、教育をする活動 |
雇用機関 | 本邦の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関 |
報酬(給料) | 日本人と同等額以上必要 |
在留期間 | 3ヶ月、1年、3年、5年 |
教育ビザは、名前の通り先生のためのビザです。
ビザの取得条件を考えるにあたっては、働く学校の種類によって異なりますので、学校ごとに見ていきます。
また、どの学校で働くにせよ、報酬(給料)についての規定があります。
日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
このような規定がありますので、外国人教師だからといって不当な給料設定にすることは許されていません。
パターン①教員免許が必要な学校で働く場合
対象となるのは下記の通りです。
- 小学校
- 中学校
- 高等学校
- 中等教育学校
- 特別支援学校
- 専修学校
これらの学校で教師として働くには、教員免許が必要です。
また、申請上では「カテゴリー1」と区分され、ビザ申請は簡略化されています。ただ、外国人の方で日本の教員免許をお持ちの方は少ないと思います。
外国の教員免許を持っていれば日本の教員免許を取得できる可能性がありますし、科目について一定の経験を積まれていれば、教育職員検定を受験・合格すれば特別免許状を取得して教師として働くことができます。ALTの外国の先生は日本での教育実績を積んだ後に特別免許状を取得される方が多いみたいですね。
また、大学や短期大学、高等専門学校(高専)については教授ビザが該当します。
非常勤講師の場合
先ほどの小学校〜高校でも、教員免許無しでも働くことができます。それは、非常勤講師として働く場合です。教育職員免許法では、非常勤の講師は免許不要とされています。ALTの先生はこれに該当します。
学校で働くための教育免許は不要になっていますが、外国人の方の素養について何らかの確認をする必要があります。そこで、ビザ申請にあたっては、外国人の方は下記の2つの枠内の内容のどちらにも該当しなければなりません。
①経験:下記いずれかに該当が必要
・外国語教師になる場合は12年以上の教育を受けていること
・それ以外の科目の教師になる場合はその科目教師経験5年以上
②学歴等:下記いずれかに該当が必要
・大卒または大卒同等以上の学歴
・担当科目に関する日本の専修学校の専門課程を修了
・教員免許
パターン②教員免許がそもそも不要な学校で働く場合
「各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関」が該当します。
平たく言えばパターン①で紹介した学校以外の学校です。常勤で働く場合は「カテゴリー2」、非常勤で働く場合は「カテゴリー3」に分類されます。
ただし、「学校」と名前が付けばなんでもいいという訳ではありません。設備及び編制の観点から、おおむね学校教育法(各種学校規程)に適合している必要があります。
ちなみに、外国大学の日本分校については教育ビザ適応外です(かつては対象校が存在しましたが、2018年2月現在においては存在しません)。
また、外国人の資格等については問われませんが、下記の2つの枠内の内容のどちらにも該当しなければなりません。
①経験:下記いずれかに該当が必要
・外国語教師になる場合は12年以上の教育を受けていること
・それ以外の科目の教師になる場合はその科目教師経験5年以上
②学歴等:下記いずれかに該当が必要
・大卒または大卒同等以上の学歴
・担当科目に関する日本の専修学校の専門課程を修了
・教員免許
パターン③インターナショナルスクールで働く場合
インターナショナルスクールとは、海外から来日した子供達向けの学校で、外国語で授業が行われる学校ですね。日本人のためのインターナショナルスクールでは教育ビザに該当しませんのでご注意ください。また、インターナショナルスクールの場合は、特別に幼稚園の先生も教育ビザの対象となります。
常勤で働く場合は「カテゴリー2」、非常勤で働く場合は「カテゴリー3」に分類されます。
また、外国人の方の条件は少し簡略化されており、下記枠内のいずれか1つに該当すればOKです。
学歴等:下記いずれかに該当が必要
・大卒または大卒同等以上の学歴
・担当科目に関する日本の専修学校の専門課程を修了
・教員免許
教育ビザの在留期間
教育ビザの在留期間は3ヶ月、1年、3年、5年です。
ただし、雇用形態が非常勤であれば1年以下の在留期間しか取得できません。
教育ビザと他のビザとの関係性
教育ビザは「仕事内容」「日本人と同等の報酬」「教育機関」の3つが揃っていなければ取得できません。そのため、1つでも要件が欠けると他のビザを検討することになります。
教授ビザ
教鞭を執るけれど、教える場所が大学・大学に準ずる機関・高等専門学校という外国人の方は研究ビザが該当します。
技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)
一般企業など(つまり教育機関以外)との契約に基づいて教育活動する場合は技術・人文知識・国際業務ビザが該当します。
よくあるパターンは英会話教室など語学スクールの教師などですね。
短期滞在ビザ
無報酬の場合で一時的に日本滞在する場合(90日以内)は短期滞在ビザです。
日本の教育現場の視察のケースが当てはまります。
家族滞在ビザ
家族滞在ビザは就労ビザや留学ビザなどを所持している外国人方の扶養を受ける配偶者や子供のための在留資格です。
教育ビザの申請
外国から招聘する(在留資格認定証明書交付申請)
他のビザ所持の外国人を採用する場合(在留資格変更許可申請)
在留期間を延長する場合(在留期間更新許可申請)