外交ビザ、公用ビザはどちらも外国政府の職員などに与えられる在留資格です。

また、外交ビザは高官用、公用ビザは職員用というように、組織の中の身分等で区切りを設けられています。

在留資格:外交

入管法上での外交ビザの表現は下記の通りです。

日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構成員、条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動

外交ビザの創設目的は、外国政府の要人を迎え入れるためです。

また、法律の条文にもある通り、外交ビザには特権&免除があります。これは、国際法上(外交関係に関するウィーン条約)に認められている特権で、出入国制限や外国人登録の免除等の特権及び免除が認められています。

外交特権ってやつですね。外交官・領事館には外交特権が認められています。

外交ビザの該当範囲

①日本国政府が接受する外国政府の外交使節団の長及び外交職員
大使、公使、参事官、書記官等の外交職員

②日本国政府が接受する外国政府の領事官
総領事、領事、副領事、代表領事等の領事官(名誉領事は含まない)

③条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者
・国家元首、閣僚、議会(地方議会を除く。)の議長及びこれらの者と同格以上の者並びにこれらの者の随行員として本国政府から派遣された者
・本邦に出張して外交用務に従事する者(外交伝書使を含む)
・日本国政府又は国際機関主催の会議に出席する外国政府又は国際機関の代表団の構成員
・国際連合の事務総長及び事務次長
・国際連合の専門機関の事務局長(その不在の間これに代わって行動する職員を含む。)
・その他個別の条約その他の国際約束により外交使節と同様の特権及び免除を受けることが定められている者

④上記アからウまでに該当する者と同一の世帯に属する家族の構成員

①と②に「接受」という見慣れない言葉がありますね。詳しくは省略しますが、一般的にはただの外交職員には「接受」しません。そのため、通常、外交職員は外交ビザではなく公用ビザになります。

また、家族にも外交ビザが与えられることになっています。

外国人の方のご家族の日本在留については「家族滞在ビザ」があるのですが、外交ビザの場合はご家族も外交ビザを取ることができます。しかも、家族滞在ビザであれば「配偶者と子供」しか当てはめることができませんが、外交ビザでは「同一の世帯に属する家族の構成員」となっていますので、ご両親などにも外交ビザが取れることになっています。

在留期間

外交活動を行う期間が在留期間となります。

一般的にビザは3ヶ月、1年、3年、5年という一定の在留期間が定められていますが、外交ビザの在留期間は外交活動期間とされています。

個人的使用人

外国人のメイド・コック・運転手を直接雇用する場合、その外国人の方は特定活動ビザが付与されます。

領事館等の機関が用意する場合は公用ビザとなります。

在留資格:公用

入管法上での公用ビザの表現は下記の通りです。

日本国政府の承認した外国政府若しくは国際機関の公務に従事する者又はその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動(この表の外交の項に掲げる活動を除く。)

外交ビザは外国政府の要人を迎え入れるためのものですが、公用ビザは要人以外を対象としています。また、大使館・領事館勤務の職員とその家族にも外交特権(特権&免除)があります。

公用ビザの該当範囲

  1. 日本国政府が承認した外国政府の外交使節団の事務及び技術職員並びに役務職員
  2. 日本国政府が承認した領事機関の事務及び技術職員並びに役務職員
  3. 日本に本部の置かれている国際機関の職員
  4. 日本国政府が承認した外国政府又は国際機関の日本にある出先機関に公の用務のため駐在する当該外国政府又は当該国際機関の職員
  5. 日本国政府との公の用務のため日本国政府が承認した外国政府又は国際機関から派遣される者
  6. 日本国政府又は日本国政府が承認した国際機関が主催する会議等に参加する者
  7. 上記①から⑥までに該当する者と同一の世帯に属する家族の構成員

外国政府や国際機関の職員等が公用ビザに該当します(外交ビザに該当する場合を除く)。

また、これらの外国人の方々は「来日」する必要はなく、日本に既に住んでいる外国人たちもこうした機関で働く場合は「公用ビザ」を取ることが可能になります。つまり、現地採用=日本で採用した場合も公用ビザです。

また、家族にも公用ビザが与えられることになっています。
外交ビザと同じように「同一の世帯に属する家族の構成員」となっていますので、配偶者や子供だけでなく、ご両親などにも公用ビザが取れることになっています。

在留期間

15日、30日、3ヶ月、1年、3年、5年

外交ビザ・公用ビザの特殊性

どちらのビザも一般外国人向けではなく、「日本・外国政府、国際機関が深く関わる外国人」向けのビザです。そのため、ビザの手続き全般は一般的に外務省が窓口になりますので、行政書士事務所など民間が関わることはありません。外国人本人が入局管理局に出向いて手続きするということも無いと思います。

しかし、外交ビザ、公用ビザでの活動の終了後、日本に住み続けたいという場合は、他のビザに切り替えなくてはなりません。例えば、家族が日本の学校に通学していて、そのまま日本住み続けたい場合であったり、公用ビザで現地採用された方が転職する場合などです。

こうしたケースでは行政書士も申請取次が可能になりますので、お近くの申請取次の資格のある行政書士等にご相談してみてくださいね。