日本の大学等に通うほとんどの外国人の方は留学ビザを(在留資格:留学)持っています。勉強するだけであればビザについてあれこれ悩むことはありませんが、アルバイトや就職、中には起業といったシーンで在留資格の問題に直面することになります。せっかく勉強・就職・将来のために来日しているのに、ビザについて無知のせいで不安な日々を過ごしたり、帰国しなくてはならなくなったりすると目も当てられません。
そこで、留学ビザを所持する外国人留学生たちが抱えるビザの問題についてまとめた内容がこちら。アルバイトから就職、起業まで留学生が直面する岐路についてビザを交えて解説します。
入管法上での研修ビザの表現は下記の通りです。
本邦の大学、高等専門学校、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期過程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期過程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動
留学ビザとは
留学ビザは、学校で教育を受ける活動をする外国人の方に与えられる在留資格です。勉強するためのビザですので、後でご説明する資格外活動許可を得なければアルバイトはできません。外国在住の外国人の方が留学ビザを取得して来日する場合が大半ですが、就労ビザなどで日本滞在中に留学ビザに変更するケースもあります。
対象の学校
留学ビザは日本にある学校に在籍しすることが前提です。例えば、アメリカの大学生だからと言って留学ビザで来日できるわけではありません。また、海外から留学してくる外国人の方の留学ビザは、基本的に通われる学校がビザの手配をしますので、外国人本人はビザに該当する学校かどうかを気にする必要はありません。
◆留学ビザ対象の教育機関
- 大学院、大学、大学付属の研究施設、短期大学、高等専門学校
- 大学と同等と認められる教育機関(水産大学校、国立看護大学校、職業能力開発大学校など)
- 高等学校、中学校、小学校
- 特別支援学校(高等部、中等部、小学部)
- 専修学校、各種学校、設備及び編制に関してこれらに準ずる教育機関、準備教育機関
- 大学の聴講生、研究生(受講時間規定あり)
- 准看講師養成学校(全日制)
一般的にイメージができる学校は留学ビザの対象となります。
5.に列挙した学校・機関は日本語学校などの専門学校も含まれます。日本語学校、準備教育機関、日本語学校を除いた設備及び編制に関してこれらに準ずる機関については法務省により留学ビザ対象となる学校が定められています。
→法務省が対象校を告示(選定)しています(法務省告示:留学ビザ対象となる日本語学校など)。
◆留学ビザ対象外の学校
- 夜間学校
- 通信教育
- 職業開発開発校
- 各省庁 ・地方自治体所管の教育 ・研究 ・研修機(警察大学校、消防大学校)
- 留学ビザの対象となっていない日本語学校など(法務大臣の告示対象外校)
- 書道教室など
- 准看講師養成学校(全日制以外)
夜間や通信教育であれば、勉学以外のメインとなる活動があるはずですよね?留学ビザはあくまでも勉強がメインですので、その他のビザで日本滞在する必要があります(例:技術・人文知識・国際業務ビザ)。ただし、入学した大学の大学院研究科を、主に夜間通学をする場合は留学ビザに当てはまる場合があります。
また、学びの場所ではあるものの学校教育上の学校に含まれない〇〇教室なども留学ビザの対象外です。留学ビザで規定されている一番基準の緩い学校は「設備及び編制に関してこれらに準ずる教育機関」です。各種学校規定がその基準となりますが、校舎の広さや人員配置の規定があり、個人宅で行っているような書道教室や英語教室などは当てはまりません。
いずれにせよ、5、6については法務省告示を確認し、掲載されていなければ対象外と判断できます。
留学ビザの要件 ①経費支弁能力
留学生は学校の授業料の他に、日本滞在費用も必要になりますよね。そのため、留学全体の費用を用意、または見通しを立てておかなくてはなりません。
ビザの審査対象となる留学費用の概要
学費はもちろんのこと、教材費、住居費、交通費、食費、その他一切の生活費、そして渡航費用についても費用の計算対象です。
経費支弁能力の算出根拠
経費支弁能力とは、ここでは留学費用をまかなう経済力のことを指します。留学当初に用意した金額+留学中に得られる収入の両方を合算して考えることができます。
留学当初に用意した金額は、留学生本人名義の預貯金、または奨学金(研究助成金なども含む)です。
留学中に得られる収入は、アルバイト等の収入ですね。ただし、留学ビザでのアルバイトでの収入は就労制限(後述)のために高額を得ることは難しく、経費支弁能力は入学当初に用意した金額が主な算出根拠となります。
また、上記は留学生本人が留学費用を負担するという前提ですが、留学生の両親等が留学費用を負担してもOKです。
留学ビザの要件 ②年齢制限・学歴要件
義務教育制度は世界共通ではなく、各国独自の制度です。また、日本は義務教育が定着していており、かつ固定的ですので年齢と共に学年が上がっていきますが、これについても各国独自となっています。そこで、高等学校以下の学校では一定の年齢以下を要件にしています(例:小学校は14歳以下)。
ただし、交換留学生やスポーツ特待生などについては年齢制限はありません。
また、高等学校以下は若年層を前提としていますので、日本に監護権者がいること、教育機関に外国人児童(生徒)の常勤の生活指導者がいることなどの要件が設けられています。
留学ビザの要件 ③日本語能力
中学校以下の学校に関しては日本の義務教育期間ということもあり、日本語能力は問われません。高等学校や専修学校、各種学校(日本語学校、インターナショナルスクールを除く)については、一定の日本語能力や日本語学習期間が必要です。ただし、高等学校における交換留学生やスポーツ特待生などは日本語能力は不要となっています。
大学等についてはビザ審査上に日本語能力の要件はありません。
在留期間
ビザ取得、更新時に定められる在留期間は在籍予定期間を基準に決められますが、国費留学や学校そのものが適正校(不法滞在など不良留学生数が一定数以下)である、また本人の日本在留状況や在学状況に応じて決定されます。
在学中のビザの更新について
在学中のビザの更新は学校側の手配であったり学校側から指導がありますが、更新できるかは本人の状況次第となります。また、アルバイト状況や留年といったこともビザに関係してきます。
留学ビザの更新(在留期間更新許可申請)
学業に問題がなければ許可されます。大学だと成績、小学校・中学校だと出席状況が判断の基準になります。ただし、違法・違反行為があれば不許可になる場合があります。また、基本的に外国人本人が申請しますが、学校によっては学校側が代理する場合もあります。
申請期間
在留期間の満了する日以前(おおむね3ヶ月前から)
申請者(入国管理局に申請に行く人)
- 本人
- 本人が在籍する申請取次の資格を持つ学校
- 16歳未満の場合は親族、同居者、地方入国管理局長が適当と認めるもの
- 疾病(注)その他の事由により自ら出頭することができない場合は親族、同居者、地方入国管理局長が適当と認めるもの
結果が出るまでの期間(標準処理期間)
2週間〜1ヶ月
必要書類
下記書類が必要になります。また、申請時に手数料4,000円が必要です。
共通書類 | 在留期間更新許可申請書 |
写真 | |
パスポート | |
在留カード | |
大学の学部生、大学院生、短期大学生、準備教育機関生、高等専門学校生等の場合 | 在学証明書(在学期間の明記されたもの) |
成績証明書 | |
大学の別科生、専修学校の専門課程生 | 出席・成績証明書 |
研究生 | 在学証明書(在学期間の明記されたもの) |
成績証明書 | |
大学の学部等の機関が発行した研究内容についての証明書 | |
聴講生 | 在学証明書(在学期間の明記されたもの) |
成績証明書 | |
大学の学部等の機関が発行した聴講科目及び時間数を記載した履修届出写し等の証明書 | |
高等学校生、専修学校生(高等課程又は一般課程)等 | 在学証明書(在学期間の明記されたもの) |
成績証明書 | |
出席証明書 | |
中学生、小学生等 | 在学証明書(在学期間の明記されたもの) |
出席証明書 | |
日常生活を営む宿泊施設の概要を明らかにする資料 | |
適宜 | 日本在留中の経費支弁能力を証する文書 |
留学ビザの更新(留年した場合)
留年した場合はビザの更新が難しくなります。留年を2回したならば在留期間更新許可申請をしても不許可を覚悟して下さい。
出席率が悪いなど、勉強をする姿勢があまり見受けられない状態での留年は不許可の可能性大です。「何しに日本に来たの?留学は偽装で仕事目的?」など、勉学の意思が無い、留学ビザの要件を満たさない状況と見られてしまうのです。
ただし、勉強が難しくて進級ができなかったという理由や、病気等の合理的な理由があるのであれば更新できる可能性は高いです。
そこで、留年した場合の在留期間更新許可申請は上記の必要書類以外に理由書を提出するべきです。理由書の中で、審査側に下記内容などを説明しましょう。
- 留年した原因・理由(成績や出席状況の説明)
- 留学生活を送り続けたい理由
- 今後の対応(勉学に専念する、など)
必要書類だけでは見えない事情を、理由書で審査側に伝えるわけです。
ただし、嘘は絶対ダメです!虚偽の申請は、更新云々以前に、ビザ(在留資格)の取消理由に該当するほど、重い違法行為です。取消となれば、出国しなければなりません。仮に、アルバイトや他の事に勤しむあまりに留年してしまったのであれば、ビザの更新申請を良い機会として心を入れ替えて下さいね。
また、ご自身での申請に不安な方は、弊所に在留期間更新許可申請を依頼して下さいね。
留学中の帰国(みなし再入国許可)
夏季休暇などに母国に一時帰国、または海外旅行に行かれる場合もありますよね。通常、日本から出国するとビザは取り消しされます。この場合、再入国時には改めてビザの申請が必要となり、とても面倒です。
そこで、留学生の方は出国時にみなし再入国許可制度を利用してください。出国後1年以内(在留期限内に再入国することが前提)であれば出国前のビザのまま再来日が可能となる制度です。申請方法は空港での出国審査時に再入国出国用EDカードのみなし再入国許可希望欄にチェックを入れるだけです。
1年以上日本を離れる場合は、事前に入国管理局にて再入国許可申請が必要です(みなし再入国許可とは別の制度)。
アルバイト(資格外活動)
留学ビザは就労禁止となっているビザです。勉強が本分ですので。ただし、資格外活動許可を事前に取得することでアルバイトすることが可能になります。資格外活動許可を取っていない方は、入国管理局にて申請・許可をもらいましょう。
アルバイトできない職種
就労ビザであれば特定の仕事しかできませんが、留学ビザで資格外活動の許可を得ればほぼ自由に仕事を選ぶことができます。
ただし、下記内容の店舗や仕事内容のアルバイトはできません。
- 風俗営業・客の接待をして飲食させるキャバレー ・スナックなど、店内の照明が10ルクス以下の喫茶店 ・バーなど、麻雀屋 ・パチンコ屋 ・スロットマシン設置業等
- 店舗型性風俗特殊営業:ソープラン ド、ファッションヘルス、ストリップ劇場、ラブホテル、アダル トショップ等
- 特定遊興飲食店営業:深夜において客に遊興 (ダンスを含む。)をさせ、かつ、客に酒類の提供を伴う飲食をさせるナイトクラブ等
- 無店舗型性風俗特殊営業出張:派遣型ファッションヘルス、アダルトビデオ通信販売業等
- 映像送信型性風俗特殊営業:インターネット上でわいせつな映像を提供する営業等
- 店舗型電話異性紹介営業:いわゆるテレホンクラブの営莱等
- 無店舗型電話異性紹介営業:いわゆるツーショットダイヤル、伝言ダイヤルの営業等
ギャンブル店や夜のお店、性風俗関連やギャンブル関連ではアルバイトできないということですね。
資格外活動の申請場所
海外から留学ビザで入国された方は、空港での入国審査時に資格外活動許可の申請ができます。他のビザから留学ビザに変更された方は、入国管理局にて申請することになります。
留学ビザの資格外活動(包括的許可)
留学ビザの場合、資格外活動については下記条件の包括的許可を得ることができます。許可されると、在留カードの裏面に「許可 (原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」と記載されます。
- 就労時間は1週間28時間以内
- 学校の長期休業期間は1日8時間以内
- キャバクラ、パチンコ屋、雀荘などの風俗営業店や性風俗店などでは就労不可
時給1,000円のアルバイトだと、最大約11万円/月の収入になりますね。夏休みなどでは就労時間の制限が週単位ではなく1日あたりの制限に変わりますので、20万円稼ぐことも可能です。
留学ビザの資格外活動(個別許可)
留学ビザの場合は上記の包括的許可が一般的ですが、勤務先や活動内容を個別に許可を得ることも可能です。個別許可は下記条件を満たした場合に許可されます。
- 留学中の学費や必要経費を補う目的であること
- 語学教師、通訳、翻訳、家庭教師、専攻科目と密接な関係のある職種、社会通念上学生が通常行っているアルバイトの範囲内にある職種であること
この場合、個別に審査されます。また、就労時間の制限が緩和される可能性があり、働きやすくなるかもしれません。ただし、個別許可は職種や勤務先を特定しますので、包括的許可のように自由に違うアルバイトをしたりはできません。その場合は再度資格外活動の許可申請をすることになります。
許可されますと、在留カードの裏面に「許可 ( 資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」と記載されます。
また、資格外活動の個別許可は空港では申請できず、入国管理局にて申請することになります。
資格外活動の取り消し
資格外活動の許可内容に対して繰り返し違反していた場合、資格外活動を取り消しされる可能性があります。
また、違法行為を行っていた場合や仮放免の条件に違反した場合、その他引き続き許可を与えておくことが適当でないと認められる場合にも資格外活動を取り消しされます。
アルバイト以外の収入について(入管法施行規則第19条の3)
留学ビザは就労禁止です。資格外活動の許可(包括的許可)を得れば1週間28時間の範囲で就労できますが、例外規定があります。つまり、アルバイト以外の収入もOKなケースがあります。
その規定がこちら。
◆出入国管理及び難民認定法施行規則 第19条の3
①業として行うものではない次に掲げる活動に対する謝金、賞金その他の報酬 ・講演、講義、討論その他これらに類似する活動 ・助言、鑑定その他これらに類似する活動 ・小説、論文、絵画、写真、プログラムその他の著作物の制作 ・催物への参加、映画又は放送番組への出演その他これらに類似する活動 |
②親族、友人又は知人の依頼を受けてその者の日常の家事に従事すること(業として従事するものを除く。)に対する謝金その他の報酬 |
③留学の在留資格をもつて在留する者で大学又は高等専門学校(第四学年、第五学年及び専攻科に限る。)において教育を受けるものが当該大学又は高等専門学校との契約に基づいて行う教育又は研究を補助する活動に対する報酬 |
難しい表現ですが、①、②は「業でなければお金貰ってもOK」=「仕事じゃなければお金貰ってもOK」という意味です。線引きが難しいケースもありますが、日本人でも特に手続きなしで貰えるお金があると思います。いわゆる謝礼金ですね。「手伝ってくれてありがとう」「参加してくれてありがとう」という範囲であれば問題になるケースはほとんどありません。ただし、年に数十万・数百万も謝礼金を手にしていれば、もはや仕事ですので資格外活動と見なされる可能性が高いです。
③については、特に大学院生に可能性のある項目です。ティーチングアシスタント(TA)など、授業のお手伝いや研究のお手伝いに対して報酬を得ることができますが、これらの活動については留学ビザであれば報酬を貰っても問題ありません。
インターンシップ
インターンシップは大学の単位認定有無、短期長期、報酬の有無などでいくつか体系化できますが、留学ビザにおいては報酬の有無について注意しておかなくてはなりません。
※↑日本在住の留学生を前提として解説しています。外国在住の学生が日本でインターンシップをする場合は別のビザになります。
報酬なしのインターンシップ
一般的なインターンシップですね。交通費等の実費支給は報酬に含まれません。よほど長期・長時間拘束されない限り、ビザの問題は生じませんので申請等は不要です。
報酬ありのインターンシップ(資格外活動1週間28時間以内)
報酬がある場合は注意しなければなりません。報酬があるということは資格外活動となりますので、アルバイトとインターンシップの就労時間の合計が1週間28時間以内(夏季休暇中などであれば1日8時間以内)に収まらなくてはなりません。
そのため、インターンシップ期間中はアルバイト時間を抑えて下さい。
報酬ありのインターンシップ(資格外活動1週間28時間以上)
実は、条件を満たせば新たに資格外活動の個別許可を受けることができます。
その条件はこちら
◆対象者
- 留学ビザを持つ卒業年度の大学生(短期大学を除く)で、9割以上の単位を修得している場合
- 留学ビザを持つ卒業年度の大学院生
- 特定活動ビザ「継続就職活動」を持つ方
- 特定活動ビザ「内定者」を持つ方
※上記に該当しない方であっても、単位を修得するために必要な実習等、専攻科目と密接な関係がある場合等には、許可を受けることができます。つまり、専修学校生、短期大学生でも対象となる場合があるということです。
◆対象となる活動
- 大学等で学んだ専門的知識等を生かす活動
- 専修学校の専門課程を修了した方については、専攻した科目との関連性が認められるもの
無報酬のインターンシップであれば、学校で学んだ内容とは全く異なるものでも可能ですが、報酬があるインターンシップの場合は学校での専攻内容も問われます。見方を変えれば、就労ビザを取れる仕事内容でなければ報酬ありのインターンシップは出来ないとも言えます。
家族のビザ
留学ビザであっても、家族帯同することができます。
ただし、留学ビザ所持者が大学や専門学校に通っている場合のみに限られますので、高校以下の学校では家族帯同は不可です。
子供・配偶者のビザ(家族滞在ビザ)
家族滞在ビザを取得することで、外国籍の配偶者や子供を日本に連れてくることができます。また、留学中に日本在住の外国人の方と結婚して、その方のビザを家族滞在ビザに切り替えることも可能です。
ただし、家族滞在ビザ所持者を扶養する義務がありますので、現実的にはそれなりにお金を準備しておく必要があります。また、留学ビザの経費支弁能力と同じく、親などの第三者からの援助も含めることは可能です。
両親・親族のビザ
留学ビザ所持者の両親など親族用のビザ(在留資格)は存在しません。
短期滞在ビザで来日してもらうか、就労ビザなど本人に起因するビザ(在留資格)を取得してもらう他ありません。短期滞在ビザの場合は「親族訪問」を来日の理由にしましょう。
また、査証免除国はノービザで来日することが可能です。ちなみに、短期滞在ビザ・ノービザのどちらも日本滞在期間は最大90日間です。
学校を卒業したら?
留学ビザは学校に所属していることが前提の在留資格です。そのため、今後の進路に応じて行動しなければなりません。
また、学校卒業時に入国管理局に「活動機関に関する届出」をしなければなりませんので、忘れずに行いましょう(退学・卒業後14日以内、罰則有)。
卒業後、すぐに帰国する場合
在留期間が残っていることが前提ですが、すぐに帰国するのであれば特にビザの申請は不要です。
卒業後、しばらくしてから帰国する場合
短期滞在ビザへの変更を検討します。短期滞在ビザへの変更で最大90日の在留期間を得ることができる可能性があります。
また、在留期間が残っているからといってビザの変更をせずに日本に住み続けていると、ビザが取り消される可能性がありますのでご注意くださいね。
卒業後、日本に滞在し続ける場合
学校を卒業してしまうと留学ビザの資格該当性を失っているわけですから、別のビザへ変更しなければなりません。
最も多いのが就職ですね。就職関連については後ほどまとめています。
他には、結婚している方であれば配偶者ビザへ変更することもありえます。また、更に別の学校に入学して留学ビザを継続するという方法もあります。
卒業後のアルバイトについて
留学ビザを持っている学生さんは資格外活動許可(包括許可)を得ていると思います。この許可は在学中のみ有効ですので、卒業後はアルバイトをしてはいけません。もしアルバイトをすると今後のビザ申請時に不許可になる可能性があります。就職が決まっていたとしてもです。
卒業後は在留期間が残っていてもアルバイト禁止!
日本で就活・就職・起業
学校在学中であれば留学ビザがありますので問題ありませんが、卒業と同時に就職できない場合は留学ビザでの日本滞在はできませんので、ビザの変更をしなければなりません。
また、卒業時に「活動機関に関する届出」を入国管理局に提出したように、入社時にも「活動機関に関する届出」「契約機関に関する届出」を提出しなければなりません。技術・人文知識・国際業務ビザの場合は「契約機関に関する届出 」となります。
就職活動時
在学中の就職活動時は留学ビザのままで大丈夫です。
卒業後(就職浪人1年目)
日本人でもしばしば話題に上がりますが、在学中に就職先が決まらなかった場合は就職浪人と言われる状態になります。また、学校を卒業してしまっているので、もはや留学ビザの要件には該当しません。
この状態は特定活動ビザ(就職活動目的)に該当します。留学ビザの在留期間が残っている場合でも、すぐにビザの変更申請をしましょう。留学ビザのまま卒業後3ヶ月を超えてしまうと、ビザ(在留資格)そのものを取消されてしまうこともあります。また、在留期間は6ヶ月、1回のみ更新が可能で、更新した場合は最長で卒業1年後までとなります。留学ビザと同様にアルバイトなど資格外活動も許可を得ることができます。
ただし、特定活動ビザ(就職活動目的)を得るためには、下記条件が必要です。
- 最終学歴が専修学校以上(高等学校以下は不可)
- 経費支弁能力があること
- 直前まで在籍していた学校による就職活動についての推薦状があること
- 就職活動を行っていること
卒業後(就職浪人2年目)
特定活動ビザ(就職活動目的)を持って卒業後1年間で就職できなかった場合には特定活動ビザ(告示外特定活動)に切替できる可能性があります。在留期間は6ヶ月、更新は1回まで、当ビザでの日本滞在は最長1年間となります。留学ビザと同様にアルバイトなど資格外活動も許可を得ることができます。このビザへの切替は「地方公共団体が実施する就職支援事業」に参加して就職活動を行うことが前提です。
就職ビザが不許可になって入社できなかった場合
就職活動を再開するのであれば、特定活動ビザ(就職活動目的)への切替ができる可能性があります。
大学による就職活動のための留年を認める措置があった場合
内定取り消しの救済措置等として留年を認めている大学があります。この場合は特定活動ビザ(就職活動目的)への切替ができる可能性があります。
卒業後(内定後)
特定活動ビザ(就職活動目的、告知外特定活動)で内定を得た後、すぐに働き始めるのであれば就労ビザに切り替えればいいですが、一般的に日本の企業の入社のタイミングは4月ですので、内定から入社まで数ヶ月も空くことになります。内定・入社間の期間を埋めるため、特定活動ビザ(就職内定者)が設けられています。
卒業が9月、在学中に内定を得ている場合も特定活動ビザ(就職活動目的)に変更することができます。卒業後に留学ビザのまま就職活動をして内定を得た場合は、なぜ特定活動ビザ(就職活動目的)に切替しなかったのかといったこともビザの審査対象となりますので、特定活動ビザ(就職内定者)への切替が難しくなることもあります。
また、留学ビザと同様にアルバイトなど資格外活動も許可を得ることができます。
特定活動ビザ(就職内定者)を得るためには下記条件が必要です。
- 入社タイミングが内定後1年以内、かつ、卒業後1年6ヶ月を超えない期間
- 内定取消した場合、企業が入局管理局に連絡をするなどの誓約書の提出
- 仕事内容が変更申請を予定している就労ビザに該当すること
就職時(就労ビザへの在留資格変更許可申請)
入社するまでに留学ビザから就労ビザに変更が必要ですので、在留資格変更許可申請をしなければなりません。この申請は雇用側ですることはできず、留学生本人が入国管理局に出向いて申請することになります。
留学ビザの更新に比べて就労ビザへの変更は手続き的に難しいケースが多く、また、会社規模によっては決算書や法定調書などの提出も必要で、従業員に持たせたくない書類もあります。そのため、申請取次行政書士にビザの変更申請を依頼されるケースも多いです。
また、日本では4月に入社が集中するので、申請が大変込み合うことになります。
そこで、入国管理局は1月から在留資格変更許可申請を受け付けています(東京入国管理局、大阪入国管理局は12月から受け付けしています)。3月に申請すると4月入社に間に合わない可能性が高いので、早めに申請するようにしましょう!
起業
日本人にも起業志向の方は増えてきましたが、外国人の方が相対的にその志向は強い傾向にあります。ということで起業を志す留学生もたくさんいらっしゃいます。
ただし、外国人の場合は経営・管理ビザを取得しなければならず(就労制限のない身分系ビザは除く。配偶者ビザなど)、要件も厳しいので注意しなくてはなりません。
起業して経営・管理ビザへ変更
起業する場合は在留資格:経営・管理に変更しなければなりません。
その要件の一部がこちら↓
- 会社が設立されていること
- 許認可が必要な業種については取得していること(確実に取得見込みであること)
- 事業の適正性、安定性、継続性があること
- 事務所があること(自宅は原則不可。バーチャルオフィスは不可)
- 次の条件のいずれかを満たすこと
- 社長以外に日本在住の社員がいること
- 資本金or出資額の総額が500万円以上
- 上記2つに準ずる規模であると認められるものであること
ただ、上記条件を満たさえる見通しが立ったしたとしても、留学生が起業するには大きく3つの問題があります。
- 会社設立・許認可に時間と労力がかかる
- 事業計画書の作成
- お金
会社設立や許認可については各法律を知る必要がありますが、法律は日本人でも理解・解釈するのが難しいです。行政書士などに依頼するのも手ですが、それでもある程度理解しなくてはなりません。また、手続きそのものに時間もかかりますので、卒業間近に起業準備すると留学ビザの在留期間内に手続きが終わらない可能性もあります。
事業計画書は、事業の実現性を第三者に伝える(プレゼンテーション)ための書類ですが、経営・管理ビザを取得するためにも必要となります。事業内容・見通しによってはビザが取れないのです。事業内容は違法性がなければ何でも構いませんが、事業が安定して継続していくということを、審査側である入国管理局を事業計画書上で説得できなければなりません。特に学生だと社会経験も乏しく、客観性も十分に持ち得ていないことも多いため、事業計画書の作成は十分に時間をかける必要があります。すぐに倒産するような会社と判断されると経営・管理ビザへの変更は不許可になりますので、しっかりと時間をかけて練り上げましょう。
お金は特にシビアな問題です。就労制限のある中では大金を貯めることは難しく、仮に貯めることができたとしても資格外活動違反や不法就労を疑われてしまい、経営・管理ビザが取れないだけでなく日本にもいられなくなる可能性もあります。基本的に、資本金・出資金の大部分は留学前に形成した預貯金や親などからの援助金にて賄うことになります。
また、注意してほしいのが、500万円の代わりに社員を2名雇用する場合です。友人を雇いたいとしても、留学ビザ所持の外国人の方は2名の中に計算できません。社員2名になれるのは、日本人や特別永住者、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者ビザの方でなければなりません。上記のビザに該当しない場合は、技術・人文知識・国際業務ビザなど就労ビザで雇う必要があります。
卒業後に特定活動ビザに変更して起業
卒業後、経営・管理ビザへの切替が可能になるまでのつなぎのビザも用意されています。「大学卒業後も継続して起業活動を行う留学生の卒業後の継続在留に係る取り扱い」として特定活動(告示外特定活動)へのビザの変更が可能です。
経営・管理ビザへ切替が見込める留学ビザ所持の外国人の方のみが対象となります。また、在留期間は6ヶ月ですので、その間に会社設立し、経営・管理ビザへの変更手続きをしなければなりません。
要件の一部はこちらです↓
- 留学ビザ所持者
- 大学(短期大学を除く)、大学院の卒業者
- 経営・管理ビザへの変更が見込まれること
- 事業計画書の提出
- 大学からの推薦
- 大学が起業支援をしていること、起業活動を月1回確認すること
- 帰国の手段の確保
大学側の協力が必須となりますので、卒業後に起業を検討している留学生は大学に確認してみましょう。