技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)は雇用する会社の規模に応じて、ビザ申請に必要な書類が異なり、会社規模に応じてカテゴリー1、2、3、4に分類されています。会社規模が大きくなれば申請書類は少なくなっています。

また、ビザの申請は3種類あります。

  • 在留資格認定証明書交付申請(海外から外国人人材を呼ぶ場合)
  • 在留資格変更許可申請(在日外国人人材のビザの種類を変更する場合)
  • 在留期間更新許可申請(ビザの在留期間の延長する場合)

ここでは、各カテゴリーと申請の種類毎の必要書類をご紹介するとともに、採用方法(海外から/国内から)の違いによる申請方法についてもご説明します。

技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)の詳細はこちら

ビザの各種申請と外国人人材の採用方法の違いについて

ビザの申請の種類は在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請の3つあると説明しましたが、外国人人材を海外で採用するか、国内で採用するかで申請方法が変わります。

また、日本滞在期間の延長の場合は状況に大きな変化が無く、ビザの更新する場合に申請となります。

技人国ビザ申請の前準備 雇用企業のカテゴリーを確認

申請書類を確認する前に、まず会社がどのカテゴリーに属しているかを確認します。

カテゴリー1①日本の証券取引所に上場している企業
②保険業を営む相互会社
③日本又は外国の国・地方公共団体
④独立行政法人
⑤特殊法人・認可法人
⑥日本の国・地方公共団体の公益法人
⑦法人税法別表第1に掲げる公共法人
⑧高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)
⑨一定の条件を満たす企業等
カテゴリー2前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収票合計表の源泉徴収税額が1,000万円以上ある団体・個人
カテゴリー3前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)
カテゴリー41~3のいずれにも該当しない団体・個人

海外在住の外国人人材を採用し、日本に連れてくる場合

この場合は日本滞在するためのビザを持っていませんので、在留資格認定証明書交付申請をします。

技術・人文知識・国際業務ビザの場合、外国人本人の審査だけではなく会社側も審査対象となるため、必要書類は膨大となります。ただし、会社がどのカテゴリーに属しているかによって必要書類が省略されています。また、外国人人材本人は外国にいますので、会社が申請するか、行政書士等に依頼することになります。

在留資格認定証明書交付許可申請の一連の流れについてはこちら

【カテゴリー1・2の必要書類】

カテゴリー1カテゴリー2
以下のいずれかの文書   ① 四季報の写し
② 上場していることを証明する文書
③ 設立の許可を受けたことを証明する文書
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
在留資格認定証明書交付申請書 1通
写真(縦4cm×横3cm) 1葉
返信用封筒+392円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの 1通
専門学校を卒業し専門士又は高度専門士の称号を持っている場合は、それを証明する文書 1通

【カテゴリー3・4の必要書類】

カテゴリー3カテゴリー4
直近の年度の決算文書の写し 1通直近の年度の決算文書の写し 1通
(新規事業の場合は事業計画書)
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料
外国法人の源泉徴収に対する免除証明書   上記資料が無い/提出できない場合は以下のいずれかの資料
給与支払事務所等の開設届出書の写し
直近3カ月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書
納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料
在留資格認定証明書交付申請書 1通
写真(縦4cm×横3cm) 1葉
返信用封筒+392円分の切手(簡易書留用)を貼付したもの 1通
専門学校を卒業し専門士又は高度専門士の称号を持っている場合は、それを証明する文書 1通
以下のいずれかの資料
①労働契約を締結する場合:雇用契約書 1通(労働者に交付される労働条件を明示する文書)
②日本法人である会社の役員に就任する場合:役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し 1通
③外国法人内の日本支店に転勤する場合及び会社以外の団体の役員に就任する場合:地位(担当業務),期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書 1通
会社の登記事項証明書 1通
会社概要 1通
※会社の事業内容を明らかにする資料。勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が詳細に記載された案内書など
履歴書 1通
※申請に係る技術又は知識を要する職務に従事した機関及び内容並びに期間を明示
学歴又は職歴等を証明する次のいずれかの文書(学歴・実務経験の証明資料)
①大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書。なお,DOEACC制度の資格保有者の場合は,DOEACC資格の認定証(レベル「A」,「B」又は「C」に限る。) 1通 (全ての業務:学歴の証明)
②在職証明書等で,関連する業務に従事した期間を証明する文書(大学,高等専門学校,高等学校又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に係る科目を専攻した期間の記載された当該学校からの証明書を含む。) 1通 (技術・人文知識:実務経験10年の証明)
③IT技術者については,法務大臣が特例告示をもって定める「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書 1通 (技術・人文知識:指定資格取得者) ※専門士・高度専門士称号を証明する資料を提出している場合は不要
④外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事する場合(大学を卒業した者が翻訳・通訳又は語学の指導に従事する場合を除く。)は,関連する業務について3年以上の実務経験を証明する文書 1通 (国際業務:実務経験3年以上)

カテゴリー毎の比較

カテゴリー1・2とカテゴリー3・4で必要書類の量が違うことに驚かれたと思います。

カテゴリー1・2の会社等では、ビザの要件に適合しているかどうかの証明書の提出は必要なく、どのカテゴリーに属しているかを証明すれば良い、となっていますね。

一方のカテゴリー3・4の会社等では 、外国人人材がビザの要件に適合しているかを書類によって証明しなければなりませんし、雇用契約の証明、さらには雇用会社の存在証明+説明もしなければなりません。

日本在住の外国人人材を採用する場合

この場合は日本滞在するためのビザを持っていますので、外国人人材が所持しているビザの種類によって対応が異なります。パターンは以下の4つとなります。

パターン① 就労制限のないビザを持っている場合

就労制限のないビザとは、日本人の配偶者等ビザ、永住者の配偶者等のビザ、定住者ビザ、永住者ビザのことを指します。これらのビザは、就労の観点でビザが発給されているのではなく、日本または日本人との関連性によってビザが発給されており、就労については自由とされています。そのため、どこの会社でどのような仕事をしようが問われないことになっています(不法なものを除く)。

これらのビザをお持ちの場合は、ビザの手続きは必要ありません。

ちなみに、見た目などが外国人であっても日本に帰化していれば日本人ですので、ビザはもはや存在しません。念のため。

パターン② 所持している就労ビザの範囲内での転職の場合

同業他社から同職種で転職者を募る場合でしたら、外国人人材本人は所持している就労ビザの要件を満たしているはずです。このように転職後も仕事内容が変わらない場合であれば、ビザの手続きは必要ありません。

ちなみに、特定活動ビザの特定の職業・職種の場合も、その活動範囲内であればビザの手続きは必要ありません。

また、転職先での仕事内容や報酬、さらには雇用側について審査されていない状況ですので、次回のビザ更新が不許可になる可能性があります。不許可となれば雇用継続/働き続けることができなくなりますので、リスク軽減のためにも就労資格証明書交付申請をすることが望ましいです。

「就労資格証明書」

この証明書は入局管理局に申請して発行してもらう書類です。転職者の申請の場合は、転職先でも合法に働くことができることを審査した上で証明してもらうことになります。就労資格証明書を取得しておけば、次回のビザ更新の審査が簡略化されます。反対に、就労資格証明書を取得していなければ、次回のビザ更新の審査は就労ビザ取得時と同レベルの審査を受けることになります。

転職時の場合、就労資格証明書の発行まで1〜3ヶ月要します。
また、外国人人材本人、転職先の両方が交付申請できます。

また、ビザの手続きは不要としましたが、「契約機関等に関する届出」や「活動機関に関する届出」は必須ですので忘れずにしましょう。こちらは外国人人材本人が申請し、退職時や転職時など就職先の変更があった時から14日以内に届出をしなくてはなりません。

パターン③ 特定活動ビザの一部(ワーキングホリデービザ)の場合

ワーキングホリデービザであれば、風俗営業関連の仕事ができない以外は身分系ビザ所持者と同じ働き方ができますので、ビザの手続きは必要ありません。

ただし、日本滞在期間が短期間(6ヶ月〜1年)であること、就労ビザへの切替が難しく長期間の雇用は困難なケースが多いことは念頭に置いておく必要があります。

パターン④ その他のビザの場合(在留資格変更許可申請)

現在所持しているビザでは働くことができず、在留資格変更許可申請をしてビザの変更が必要です。

留学生を雇用する場合や、所持している就労ビザの範囲外での転職、就労制限のあるビザ所持者を雇用する場合などですね。仕事内容に該当する就労ビザへの切替が必要となります。

必要書類については技術・人文知識・国際業務ビザを例に挙げますね。

技術・人文知識・国際業務ビザへの在留資格変更許可申請の場合、上述の「 海外在住の外国人人材を採用し、日本に連れてくる場合」でご紹介した在留資格認定証明書交付申請の必要書類+在留カード+パスポートが必要となります。

申請できるタイミングは転職後すぐとなります。また、この申請は外国人人材本人または行政書士等が申請することになっていますので、会社側で申請する場合は行政書士等に依頼する必要があります。

雇用している外国人人材のビザを延長(更新)する場合

ビザには期限がありますので、満期(在留期限)を迎える前に延長の手続きが必要です。この手続きを在留期限更新許可申請と呼びます。

こちらも変更の場合と同様に、外国人人材本人または行政書士等が申請することになっていますので、会社側で申請する場合は行政書士等に依頼する必要があります。

【カテゴリー1・2の必要書類】

カテゴリー1カテゴリー2
以下のいずれかの文書
① 四季報の写し
② 上場していることを証明する文書
③ 設立の許可を受けたことを証明する文書
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(受付印のあるものの写し)
在留期間更新許可申請書 1通
写真(縦4cm×横3cm) 1葉
パスポート 掲示
在留カード 掲示

【カテゴリー3・4の必要書類】

カテゴリー3カテゴリー4
以下のいずれかの文書
① 四季報の写し
② 上場していることを証明する文書
③ 設立の許可を受けたことを証明する文書
無し
在留期間更新許可申請書 1通
住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通
写真(縦4cm×横3cm) 1葉
パスポート 掲示
在留カード 掲示

※転職等、状況の変化があった場合は上記以外の書類が必要になります。