企業内転勤ビザ(在留資格:企業内転勤)は「海外にある会社」から「日本にある会社」への転勤者用の在留資格です。あくまで「転勤用」のビザですので、制限はいくつかあります。少なくとも下記は満たす必要がありますのでご注意ください。

  • 全く関係ない会社からの出向等ではビザは取れないこと
  • 仕事内容は「技術・人文知識・国際業務ビザ」と同じであること
  • 1年以上の勤務者であること、転勤期間が有限であること
  • 日本人と同等の報酬

入管法上での企業内転勤ビザの表現は下記の通りです。

本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が、外国の事業所から本邦にある事業所に期間を定めて転勤して、当該事業所において行う技術又は人文知識・国際業務の在留資格に対応する活動

企業内転勤ビザの諸条件

まずは企業内転勤ビザの条件概要をご紹介します。

ビザの対象となる異動・出向など■同一企業内の異動
■グループ会社間の出向等
・親会社⇔子会社間
・親会社⇔孫会社間
・子会社⇔孫会社間
・子会社⇔子会社
・孫会社⇔孫会社
・曾孫会社⇔孫会社
・関連会社⇔親会社
・子会社の関連会社⇔子会社
※曾孫会社間は特殊事情必要
仕事内容在留資格:技術・人文・国際業務と同等
※異動前の事業所での業務も同様
報酬(給料)日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上
雇用期間転勤期間(出向期間)が決まっていること
在留期間3ヶ月、1年、3年、5年

転勤と言えば同一企業内ですが、子会社〜関連会社への出向なども企業内転勤ビザの対象となります。

企業内転勤ビザが該当する転勤・出向等

まず、同一企業内での異動、またはグループ会社間での出向等であることが必要です。

注意する点としては、グループ会社内の出向等が全て企業内転勤ビザに該当するわけでは無いということ。

  • 親会社⇔子会社間
  • 親会社⇔孫会社間
  • 子会社⇔孫会社間
  • 子会社⇔子会社
  • 孫会社⇔孫会社
  • 曾孫会社⇔孫会社
  • 関連会社⇔親会社
  • 子会社の関連会社⇔子会社

※曾孫会社間、孫会社⇔曾孫会社間の一部では特殊事情必要

図にするとこのようになります。

孫会社、曾孫会社間の一部の矢印の色を変えています。この会社間の出向等は通常は企業内転勤ビザには該当しません。該当する場合は親会社〜曾孫会社間の出資状況が100%の場合のみです。

関連会社も注意が必要です。直接の関連会社でなければ企業内転勤ビザには該当しません。関連会社間の異動、親会社⇔子会社の関連会社の出向等ではダメなんです。

子会社と関連会社について

子会社とは、親会社の支配を受けている会社です。具体的には、親会社が株を50%以上所有している場合や、株が50%未満であっても実質的に支配している場合です。

関連会社は、親会社からの支配が限定的な会社です。具体的には、親会社が株を20%以上〜50%未満を所有している場合や、財務・営業・事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合です。15%以上でも当てはまることもあり、この場合は株以外での影響力があるケースです。

企業内転勤ビザが該当する仕事内容

技術・人文知識・国際業務ビザと同じ仕事内容です。いわゆるホワイトカラーの仕事になります。そのため、ライン作業などの単純作業や飲食店の店員などはNGです。

3つに分けると次のとおりです。

  • 「技術」=理系の業務
  • 「人文知識」=文系の業務
  • 「国際業務」=外国人特有または特殊な能力を活かした業務

詳しくはこちらをご覧ください。

企業内転勤ビザの在留期間

企業内転勤ビザの在留期間は3ヶ月、1年、3年、5年です。

企業内転勤ビザの注意点

企業内転勤ビザは他の就労ビザと少し異なります。それは、学歴・実務経験などが問われないこと。つまり、大学卒などの学歴不要、また、学歴と仕事内容の一致も関係無しです。

ただし、その代わり条件があります。

注意点① 異動元で1年以上の勤務実績が必要

日本に転勤してくる直前に、海外にある異動元で1年以上継続して働いていないといけません。海外で採用して、すぐに日本に転勤・異動させることはできないんです。

また、学歴・専攻要件を満たせなかった外国人人材を雇用するために利用できる要件でもあります。

技術・人文知識・国際業務ビザを取れずに採用を断念するのではなく、1年間の海外勤務を経て研修ビザで日本に呼び寄せるという方法です。ただし、この方法を使えるのは海外に会社を持っている場合のみに限ります。

注意点② 異動元での業務が技術・人文知識・国際業務ビザ相当

日本での仕事内容が技術・人文知識・国際業務ビザの仕事内容でなければならないと説明しましたが、異動元でも技術・人文知識・国際業務ビザの仕事に就いていなければなりません

先ほどの注意点①で説明した「来日直前に1年以上勤務」という条件もかかっています。つまり、日本に来る直前に海外でブルーカラーで働いていた人はNGです。来日までの直近1年間以上はホワイトカラーの仕事をしていなければなりません。

注意点③ 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上

「日本人ならこれくらいの給料」という水準の給料が必要です。業種・業界によって異なりますが、大卒の初任給程度は必要と考えて下さい。特にアジア圏から転勤させてくる場合、賃金差があるでしょうから給料UPさせてあげてくださいね。

また、給料の支払元は日本にある法人、外国にある法人どちらでもOKです。どちらからもというケースもOKです。

注意点④ 転勤(出向)期間が決まっていること

一般的に日本の会社でしたら、異動・出向の辞令などは異動・出向先の名前程度で「いつまで」という情報が抜けていることが多いと思います。でも、企業内転勤ビザでは転勤(出向)期間が決まっていることが要求されていますので、会社側は「いつまで」という証拠を提出しなければなりません。

注意点⑤ 日本に事業所が既にあること

日本に勤務する場所がすでに確保されていないと企業内転勤ビザは取れません。日本に会社、支社、営業所等の設立時は観光ビザや経営管理ビザを利用したり、日本にいる協力者の助けを借りる必要があります。

また、事業所の準備段階でも、地方公共団体等が提供した施設を事業所として認められる規定がありますので、この場合は企業内転勤ビザでOKです。

企業内転勤ビザと他のビザとの関係性

企業内転勤ビザは「仕事内容」によって他のビザに該当する可能性があり、また、企業内転勤ビザの要件を満たせない場合は他のビザでの検討をすることになります。

外交ビザ、公用ビザ

「企業」を前提に説明してきましたが、公社、公団及びその他の団体 (JETR0、経団連等)、外国の政府関係機関、外国の地方公共団体 (地方政府を含む) 関係機関も含まれます。そして、外国の政府関係機関の中には外交ビザ、公用ビザに該当する場合がありますので、その場合は外交ビザまたは公用ビザとなります。

経営管理ビザ

日本で働く外国人の方が、日本で経営者等の立場で働く場合は経営管理ビザになります。

技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)

海外での勤務期間が1年未満の場合は企業内転勤ビザは取れませんので、この場合は技術・人文知識・国際業務ビザが取れないか検討することになります。

また、企業内転勤ビザとの比較は下記の通りです。

  企業内転勤ビザ 技術・人文知識・国際業務ビザ
雇用期間 異動・出向期間は有限(延長可能) 無期限
勤務先 変更不可
(変更する場合はビザの変更必要)
変更可
(同ビザの活動範囲内の転職であればビザ変更不要)
学歴・実務経験 不要
在籍要件 あり(直前1年以上) なし

短期滞在ビザ

短期商用目的( 日本に出張して行う業務連絡、商談、契約調印、アフターサービス、宣伝、市場調査など)で一時的に日本滞在する場合(90日以内)は短期滞在ビザです。

詳しくはこちら→

家族滞在ビザ

家族滞在ビザは就労ビザや留学ビザなどを所持している外国人方の扶養を受ける配偶者や子供のための在留資格です。

企業内転勤ビザの申請

外国から招聘する(在留資格認定証明書交付申請)

他のビザ所持の外国人を採用する場合(在留資格変更許可申請)

在留期間を延長する場合(在留期間更新許可申請)