帰化申請では家族の中に日本人がいる・帰化した人がいる場合に戸籍の情報が必要になります。
また、外国人の方には過去・現在に渡って戸籍は存在しません。あくまでも自分以外の家族の必要書類となります。
戸籍の写しの種類について
戸籍は日本人の身分関係を管理するもので、住所を主とする住民票とは異なります。1つの戸籍には夫婦と未婚の子までとなります。また、住民票と同じように状態によって呼び方が変わります。
戸籍謄本(戸籍抄本)
戸籍謄本は戸籍に記載されている戸籍全員分の身分関係を証明します。戸籍全部事項証明書とも呼びます。通常、帰化申請では戸籍謄本が必要とされており、戸籍謄本で必要な情報が集まらない場合は除籍謄本や改製原戸籍の収集が必要となります。
一方、戸籍抄本は戸籍に記載されている1人または複数人(全員ではない)の身分関係を証明します。帰化申請では必要ありません。
除籍謄本(除籍抄本)
結婚で別の戸籍を作る・別の戸籍に移ったり死亡などで戸籍から人がいなくなることを除籍と言いますが、除籍していてもその戸籍に入っていた人=除籍となった人の戸籍情報は残っています。除籍謄本は除籍によって最終的には誰もいなくなった戸籍に登録されていた全員分の戸籍情報を証明します。除籍全部事項証明書とも呼ばれます。
一方、除籍抄本は1人または複数人(全員ではない)分となります。
また、前の戸籍に誰か残っている場合に戸籍情報が必要な場合は、除籍謄本ではなく戸籍謄本の請求となります。
改製原戸籍
戸籍は法律の改正によって様式の変更があり、その場合は新しい様式に戸籍情報の移し替えが行われます。改製原戸籍は移し替えられる前の戸籍です。また、全ての情報が新しい様式に反映されるわけではなく、削除されるものもあります。そのため、削除されてしまっている情報が必要な場合に収集することになります。
ちなみに、呼び方は「かいせいげんこせき」「かいせいハラこせき」どちらでも大丈夫です。
誰の戸籍謄本が必要?
帰化申請で必要とされる戸籍謄本は家族関係の日本人分となります。
◆帰化申請で戸籍謄本収集の対象となる方
- 日本人
- 帰化申請者の配偶者
- 帰化申請者の元配偶者
- 帰化申請者の内縁関係者
- 帰化申請者の婚約者
- 帰化申請者の子(養子を含む)
- 帰化申請者の父母・義父母
- 日本人になった人(すでに帰化した人)
- 帰化申請者の親
- 帰化申請者の兄弟姉妹
- 帰化申請者の子
- 元日本人(元日本人の日本国籍喪失事項が記載された戸籍(除籍)謄本が必要)
- かつて日本人だった場合(国籍を失った)
- かつて日本人であった者の子(養子を含む)
帰化申請者から見て親・兄弟姉妹・配偶者・子までの範囲の日本人・元日本人が対象となります。
いつからの戸籍謄本が必要?
現在の戸籍謄本だけでは不十分な場合があります。身分関係の記載があることが必要です。日本人の元配偶者であれば帰化申請される外国人の方との婚姻の身分事項の記載が必要です。
また、結婚や養子縁組等の身分事項は必ず戸籍に載っているとは限らず、違う戸籍に移る(転籍)であったり新たに戸籍を作った、また法改正で戸籍の様式が変わったタイミングで身分事項が省略されることもあります。身分事項が消える有名なところで言えば、「離婚 バツイチ 消す方法」などがあります。また、死亡して戸籍が消滅してしまった場合は戸籍謄本はとれません。こうした身分事項が表面上見えなくなってしまった場合や戸籍そのものが消滅した場合でも、除籍謄本や改製原戸籍に残っていますので、これらの書類を取得することになります。
戸籍謄本などを請求できる方
戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍を入手できる方は下記の通りです。
- 本人
- 同一戸籍の方
- 直系尊属(父母や祖父母)
- 直系卑属(子や孫)
- 法定代理人(後見代理人)
- 代理人(本人からの委任状必要)
- 行政書士等の士業
基本的には家族しか請求できません。また、家族といっても同一戸籍から除籍した(結婚で別戸籍に移った場合など)兄弟姉妹分は請求できません。そのため本人の協力が得られない場合は、職権で戸籍謄本などを取得できる行政書士等に頼むしかありません。
ちなみに、戸籍謄本のみの取得依頼は悪用される可能性(名簿業者・興信所等)がありますので、私の事務所ではお断りしています。
戸籍謄本などの取得場所・方法
戸籍謄本は本籍地のある市区町村役場で入手できます。また、除籍謄本は除籍される時点で戸籍があった市区町村役場となります。改製原戸籍は改製される時点で戸籍があった市区町村役場です。戸籍を何度も転籍されている場合は戸籍関係書類の収集だけでも結構な労力となります。また、戸籍書類を見てみないとわからないことも多く、戸籍謄本を取得した後に戸籍除表を取得、さらに改製原戸籍を取得しなければならないなどのケースもよくあります。
ほとんどの自治体で戸籍謄本の手数料は450円、除籍謄本、改製原戸籍は750円としています。
取得方法は窓口請求と郵送請求があります。マイナンバーカードを使ってコンビニでの取得は戸籍謄本のみ可能です。
郵送請求の場合は定額小為替で手数料を支払うことが一般的ですのでご注意ください。定額小為替は郵便局で購入できます(450円の定額小為替を購入する場合は550円必要)。
コンビニの場合はコンビニ内にあるマルチコピー機でマイナンバーカードを使って印刷することになります。コンビニ交付に対応しているコピー機が置いてあればどこのコンビニでも可能です。また、手数料は窓口よりも安く、350円前後で戸籍謄本を取得することが可能です。ただし、自治体によってはコンビニでの各種証明書の交付に対応していませんのでご注意くださいね。(大阪市 戸籍全部事項証明書等交付請求書)
戸籍謄本等の請求書の記入について
住民票とは違い、戸籍謄本などの請求はシンプルです。ここでは大阪市のケースでご説明します。
本籍
→戸籍書類を請求するために必須です。住民票で本籍地を確認できます。
筆頭者の氏名
→戸籍の筆頭者の氏名です。住民票で本籍地とともに確認できます。
請求の理由
→「その他」にチェックを入れ、帰化申請とします。詳しい理由については帰化申請者本人の氏名と戸籍との関係を記入します。
必要な証明書の種類
→戸籍謄本が必要な場合は「戸籍」「全部事項証明書(謄本)」にチェックを入れます。
→除籍謄本が必要な場合は「除籍」「全部事項証明書(謄本)」にチェックを入れます。
→改製原戸籍が必要な場合は「改製」「全部事項証明書(謄本)」にチェックを入れます。
→部数は「1通」とします。帰化申請では「正」「副」の2部提出ですが、戸籍書類は原本1通、コピー1通となります。