帰化申請では住所要件(日本に引き続き○年住んでいる)を確認するためなどに住民票の写しが必要となります。

平成24年7月以前は外国人登録原票記載事項証明書が住所要件の確認資料として必要だったのですが、現在は住民票の写しとなっています。これは、法改正によって外国人の方も日本人と同じように住民基本台帳で住所や結婚などの身分事項を管理するようなり、外国人の方でも住民票の写しを取得できるようになったからです。

また、「いつから」「誰の」住民票の写しが必要かは法務局の事前相談で確認することができます。

現住所に住民票を移していますか?

住民票の写しを取得する前に大前提なことがあります。住民票の住所は現住所と一致していますか?長年住んでいる方は問題ないと思いますが、学生さんや新社会人は実家に住民票住所を残したままに、頻繁に引越しされている方などは住民票の移転を疎かにしがちです。まだの方はすぐに届出てください。また、法的な引越しの届出(転入届)の期限は引越し後14日以内です。この期間に届け出ていないと最大5万円の過料に科せられる可能性があります。

住民票を移す方法は以下の通りです。郵送でも可能ですので詳しくは引越し前・引越し後の市区町村のホームページで確認してくださいね。

同一市区町村内での引越し

→転居届けを提出

別の市区町村への引越し

→引越し前の市区町村役場へは転出届を提出、引越し後の市区町村役場へは転入届を提出

住民票の写しの種類について

住民票は住民の登録情報が記載されている書類ですが、状態によって呼び方が変わります。

住民票

市区町村が管理する現在の住民登録情報の管理票です。

住民票の除票

転出届や死亡届を提出すると、提出先の市区町村役場に登録されている住民登録が抹消されます。ただし抹消と言っても住民登録情報そのものは残っており、これを住民票の除票と言います。また、保存期間は抹消されてから5年間となっていますので古い情報の取得は難しいです。過去の住所や元配偶者などとの婚姻期間中の住民票が必要な場合に取得します。

改製前住民票

現在の住民票が破損や様式の変更、電子化等で作り直しがあった場合、その作り直す前の住民票のことを改製前住民票といいます。新しい住民票に引き継がれない情報があれば必要となります。

戸籍の附表

戸籍の附表では戸籍上に登録される住所履歴がわかります。過去の住所が住民票で確認できなくなった場合に必要となります。ただし、戸籍に関する書類ですので日本人にしか存在しません。配偶者が日本人である場合などに必要となる場合があります。また、戸籍に移動があった場合は保存期間は5年間です。

誰の住民票が必要?

帰化申請で必要とされる住民票の写しは本人の分だけではありません。

◆帰化申請で住民票収集の対象となる方

  • 本人
  • 同居者全員
  • 配偶者
  • 元配偶者

また、配偶者と元配偶者については婚姻期間中の住民票の写しが必要となります。

いつからの住民票が必要?

現在の住所が確認できればいいというものでもありません。住所要件を確認するための資料となりますので、何年日本に住んでいるかを確認できないとなりません。引越しをしていない方は現在の住民票の写しでOKですが、引越しをされた方は以前の住所の住民票の除票が必要となる場合があります。

基準は平成24年7月以降かどうか。これ以降に引越しが無い場合は現在の住民票の写しのみとなりますが、平成24年7月以降に引越しがある場合は移転前の住民票の除票が必要です。何度も引越しされている場合はその都度の住民票の除票が必要となります。

住民票の写しを請求できる方

住民票の写しを入手できる方は下記の通りです。

  • 本人
  • 本人と同一世帯の方
  • 法定代理人
  • 代理人(委任状必要)
  • 行政書士等の士業

基本的には自分と一緒に住んでいる同一世帯の分しかとれません。つまり、同居していても違う世帯であったり、元配偶者の分は自分で取れないということになります。これらの場合は、住民票の写しの取得をお願いするか、委任状を貰って対応するか、行政書士等の専門家(士業は職権で住民票を取得可能)に依頼するしかありません。ちなみに、住民票の写しのみの取得は悪用される可能性(名簿業者・興信所等)がありますので、私の事務所ではお断りしています。

住民票の写しの取得場所・方法

住民票の写しはお住いの市区町村役場で入手できます。過去に住んでいた場所の住民票は過去に住んでいた場所の市区町村役場になります。引越しを何度もしている場合は住民票収集だけでも結構な労力となります。

取得のための手数料は200円〜300円となります(市区町村によって異なる)。

取得方法は窓口請求と郵送請求、最近ではマイナンバーカードを使ってコンビニでの取得などがあります。

郵送請求の場合は定額小為替で手数料を支払うことが一般的ですのでご注意ください。定額小為替は郵便局で購入できます(300円の定額小為替を購入する場合は400円必要)。

コンビニの場合はコンビニ内にあるマルチコピー機でマイナンバーカードを使って印刷することになります。コンビニ交付に対応しているコピー機が置いてあればどこのコンビニでも可能です。また、手数料は窓口よりも安く、200円前後で住民票を取得することが可能です。ただし、自治体によってはコンビニでの各種証明書の交付に対応していませんのでご注意くださいね。

juuminhyou.mado大阪市のサムネイル(大阪市 住民票の写し請求書)

住民票取得時の注意点

住民票には以下の情報が必要です。

  • 氏名
  • 通称名
  • 生年月日
  • 性別
  • 国籍
  • 在留資格
  • 在留期間
  • 在留カード番号・特別永住者証明書番号
  • 訂正箇所(氏名・生年月日)がある場合は訂正前の情報

また、「いつからの住民票が必要?」でお伝えした通り、住所要件を満たしているかを確認できなければなりませんので、引越しされている方は過去の住民票の除票も必要となる場合があります。

住民票の写しの請求書の記入について

住民票の写しの取得は各市区町村の専用フォーマットに必要事項を記入して請求します。項目がたくさんあって迷われると思いますので、複数の選択肢がある項目について説明しますね。ここでは大阪市のケースでご説明します

世帯全員、世帯一部、記載事項証明書
「世帯全員」を選択します。

省略された記載事項の表示
マイナンバー以外を選択します。帰化申請にマイナンバーは不要です。
→世帯主との続柄、マイナンバー、本籍地等の表示、国籍・地域、在留資格等、在留カード等番号が省略されていますので、マイナンバー以外を住民票の写しに記載してもらうようにします。

様式等
「世帯連記式」を選択します。
住民票の除票の写しが必要な場合は「個人票(転出・死亡者を含む・住所履歴等の表記)」を選択します。
届出のタイミング的にあるはずの情報が記載されていない場合、「改製前住民票」が必要となります。

使用目的
→「その他」を選択し、「帰化」と記入します。

提出先
法務局を選択します。