能ビザ(在留資格:技能)は特別な技術を持っている職人や日本以外の料理人など、「高度な技術」を持っている方のビザです。身近なところでは外国籍の料理屋のコックさんがお持ちのビザです。

また、職人であればなんでもいいという訳ではなく、特定の分野であること、熟練した技能が必要とされています。

■能力:熟練した技能が必須

■産業分野:いずれかに該当が必要

  • 外国特有の産業分野
  • 日本の水準よりも優れた産業分野
  • 日本に職人が少ない産業分野

入管法上での技能ビザの表現は下記の通りです。

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動

技能ビザの諸条件

まずは技能ビザの条件概要をご紹介します。

  • 料理人(コック・シェフ)、菓子職人(パティシエ)
  • 外国建築の大工
  • 職人(ペルシャ絨毯・ヨーロッパ製ガラス製品)
  • シューフィッター
技能ビザが該当する職業■外国特有の産業分野
・料理人(コック・シェフ)
・菓子職人(パティシエ)
・外国建築の大工
・職人(ペルシャ絨毯・ヨーロッパ製ガラス製品)
・シューフィッター
■日本の水準よりも優れた産業分野
・宝石・貴金属・毛皮加工
・調教師
・スポーツトレーナー
・気功指導者
・ソムリエ(ワイン鑑定等)
■日本に職人が少ない産業分野
・石油・地熱等掘削調査
・パイロット(航空機操縦士)
技能ビザの取得条件実務経験10年以上(外国の教育機関での専攻した機関を含む)、国際コンクールの受賞、など
報酬(給料)日本人が従事する場合に受ける報酬と同等以上
在留期間3ヶ月、1年、3年、5年

技能ビザ取得のための職業毎の条件

技能ビザは様々な分野の職人などに与えられるビザのため条件は一律には決められておらず、職業毎に異なります。基本的には10年以上の実務経験が必要とされています。

外国料理のコック、パティシエのビザ条件

料理人の場合は外国料理、例えば中華料理やフランス料理、インド料理など海外特有の料理でなくてはなりません。日本料理やもともと外国料理だったが日本に定着した料理(ラーメンなど)はダメですよ。パティシエは洋菓子職人のことですのでOKです(和菓子職人はダメよ)。

これらの職業の場合は下記の全ての条件を満たす必要があります。

・10年以上の実務経験(外国の教育機関において当該料理の調理または食品の製造にかかる科目を専攻した期間を含む)

・その技能を要する業務に従事するもの

タイ料理人のビザ条件

タイ人のタイ料理人については、日本とタイ王国の協定によって実務経験10年ではなく5年に短縮されています。

下記の全てを満たす必要があります。

・タイ料理人として5年以上の実務経験 (タイ労働省が発行するタイ料理人としての技能水準に関する証明書を取得するための要件を満たすために教育機関において教育を受けた期間を含む)

・初級以上のタイ料理人としての技能水準に関する証明書を取得 していること。

・直近までタイにおいてタイ料理人として妥当な報酬を得て働いていること

外国建築の大工のビザ条件

外国に特有の建築または土木に関する建築技術者は実務経験10年または5年以上必要です。

下記のいずれかを満たす必要があります。

・10年以上の実務経験

・10年以上の実務経験を有する外国人の指揮監督を受けて従事する者の場合は5年以上の実務経験

※どちらも外国の教育機関において外国に特有の建築又は土木に係る科目を専攻した期間を含む

外国特有製品の製造・修理技術者のビザ条件

外国特有の製品の職人(ペルシャ絨毯・ヨーロッパ製ガラス製品)やシューフィッターは実務経験10年以上必要です。

下記の条件を満たす必要があります。

10年以上の実務経験(外国の教育機関において外国特有の製品の製造又は修理に係る科目を専攻した期間を含む)

宝石・貴金属・毛皮加工職人のビザ条件

宝石・貴金属・毛皮加工の職人は実務経験10年以上必要です。

下記の条件を満たす必要があります。

10年以上の実務経験(外国の教育機関において宝石・貴金属・毛皮加工に係る科目を専攻した期間を含む)

調教師のビザ条件

動物の調教師は実務経験10年以上必要です。

下記の条件を満たす必要があります。

10年以上の実務経験(外国の教育機関において動物の調教に係る科目を専攻した期間を含む)

スポーツトレーナーのビザ条件

スポーツトレーナー(指導者)は実務経験で条件を満たす場合と、国際大会出場経験があれば条件を満たすことができます。また、指導者ということで監督・コーチなども該当しますが、アマチュアのみが技能ビザに該当します(プロの監督・コーチは興行ビザになります。)。

下記のどちらかの条件を満たす必要があります。

・スポーツ指導に関する3年以上の実務経験(外国の教育機関においてスポーツの指導に係る科目を専攻した期間、報酬を受けてそのスポーツに従事していた期間を含む)

・スポーツの選手として国際大会に出場経験があること(親善試合は除く)

ソムリエのビザ条件

ワイン鑑定などのソムリエはテイスティングだけでなくワインに関して幅広い業務が可能です(ワイン選定・管理など)。ただし、仕事内容はソムリエ業務に特化している必要があります。また、ビザの条件は実務経験と合わせて、実績や資格も条件の要素となります。

下記の全ての条件を満たす必要があります。

・実務経験5年以上(外国の教育機関においてワイン鑑定等に係る科目を専攻した期間を含む)

・下記のいずれかに該当すること

 ・国際ソムリエ大会で入賞

 ・国際ソムリエ大会(1カ国1名が参加)に出場

 ・公的の資格所持者

石油・地熱等掘削調査のビザ条件

石油・地熱等掘削調査や海底調査などの技術者は実務経験10年以上必要です。

下記の条件を満たす必要があります。

・実務経験10年以上(外国の教育機関において石油・地熱等掘削調査や海底調査等に係る科目を専攻した期間を含む)

・下記のいずれかに該当すること

 ・国際ソムリエ大会で入賞

 ・国際ソムリエ大会(1カ国1名が参加)に出場

 ・公的の資格所持者

パイロットのビザ条件

パイロット(航空機操縦士。機長または副操縦士)は年数ではなくフライト時間による条件が設定されています。また、航空法第2条第17項に規定する航空運送事業の用に共する航空機に乗り組んで操縦者としての業務に従事する場合に限られます。

下記の条件を満たす必要があります。

航空機の操縦に係る技能について250時間以上の飛行経歴を有する者で、航空法(昭和27年法律第231号)第2条第17項に規定する航空運送事業の用に供する航空機に乗り組んで操縦者としての業務に従事するもの

技能ビザと他のビザとの関係性

既に説明してきました通り、役員であることや一定以上の役職に就いているからといって経営・管理ビザが取れるとは限りません。

技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)

大学などで学んだ知識を活かせる仕事の場合は技人国ビザを取得できる可能性があります。例えば栄養学を学ばれた方が加工食品の新製品の開発に携わる場合などですね。ただし、肉体労働・単純労働はNGの在留資格ですので注意が必要です。

経営・管理ビザ

料理店などを経営する場合は経営・管理ビザとなります。

家族滞在ビザ

家族滞在ビザは就労ビザや留学ビザなどを所持している外国人方の扶養を受ける配偶者や子供のための在留資格です。

技能ビザは取得が難しい

技能ビザは取得が難しい在留資格です。なぜかというと実務経験の証明が難しいからです。

調理師を例にとって挙げますと、母国で料理人としての経歴を証明しようとした時に、働いていた店から証明書を貰えないケースが往往にしてあるからです。証明に協力してくれなかったり、すでに閉店になっていたり、さらに10年間の証明が必要ですので、いくつものお店から証明してもらわなくてはなりません。

そして、経歴を証明するものが揃えられないということで書類の偽装が多く見受けられることが審査を厳しくしてしまっています。

また、実務経験が10年以上必要な職業であれば、必ず「10年以上」なければなりません。9年6ヶ月では条件を満たしていないとして不許可となります。

技能ビザは慎重に申請しなければならないんです。

技能ビザの申請

外国から招聘する(在留資格認定証明書交付申請)

他のビザ所持の外国人を採用する場合(在留資格変更許可申請)

在留期間を延長する場合(在留期間更新許可申請)