「外国人雇用状況の届出」とは

外国人雇用状況の届出は外国人を雇用する企業が外国人を雇い入れ時・離職時にハローワーク(公共職業安定所)へ行う手続きです。外国人について通常は入管法(出入国管理及び難民認定法)の管轄となりますが、労働者に関することですので雇用対策法に基づいた届出となります。

注意いただきたいのは、外国人が雇用保険に加入しない・していない場合でも必要な手続きであるということ。届出の名称も雇用保険加入の有無で異なります。

雇用保険に加入 雇用保険に非加入
雇用保険被保険者資格取得届 雇用保険被保険者資格喪失届 外国人雇用状況届出書

また、届出を怠ると罰則もありますので、外国人を雇用した際には必ず届出を行いましょう。

届出先・届出方法

外国人雇用状況の届出の提出先は事業所を管轄するハローワーク(公共職業安定所)ですが、オンラインでの電子申請も可能です。書式や届出方法の詳細は厚生労働省のホームページをご確認ください。

届出の内容

外国人雇用状況の届出は雇用時と解雇時、雇用保険加入の有無によって届出する内容は異なりますが、基本的には外国人の在留カードやパスポートに記載されている内容を転記する形になります。

届出の内容
被保険者氏名(ローマ字)、国籍、在留資格、在留期間(期限)、資格外活動許可の有無、就労区分(派遣・請負・それ以外)など

そのため、外国人を雇用する際には在留カードの確認が必須です。ただし、外国人が持っている在留資格(ビザ)によっては在留カードだけでは確認することができません。その場合はパスポートを見ることになります。

また、在留資格が「特定活動」の場合、パスポートに添付されている指定書を確認し、特定活動の分類を確認します。確認できましたら、以下のいずれかを届出用紙に記載します。

特定活動(ワーキングホリデー)
特定活動(EPA)
特定活動(高度学術研究活動)
特定活動(高度専門・技術活動)
特定活動(高度経営・管理活動)
特定活動(高度人材の就労配偶者)
特定活動(建設分野)
特定活動(造船分野)
特定活動(外国人調理師)
特定活動(ハラール牛肉生産)
特定活動(製造分野)
特定活動(就職活動)
特定活動(介護)
特定活動(その他)

届出の期限

外国人雇用状況の届出は雇用保険の加入有無によって異なります。

雇用保険加入の場合雇い入れ・解雇のあった月の翌月10日まで
雇用保険未加入の場合雇い入れ・解雇のあった月の翌月末日まで

罰則

届出を怠ったり、虚偽の届出をした場合は30万円以下の罰金が科せられます。

外国人雇用状況の届出の対象

届出が必要となる会社と雇用形態

外国人雇用状況の届出の提出は、全ての事業主の義務とされています。国又は地方公共団体が外国人を雇用する場合のみ不要となります。

また、雇用形態は問われません。契約社員やアルバイトであっても必要です。

派遣社員の場合は登録型派遣と常用型派遣で届出する事業主が異なります。

登録型派遣(一般的な派遣)派遣先の会社が届出
常用型派遣(派遣社員の社員をクライアントに派遣)派遣元の会社が届出

届出が必要となる外国人

ほとんどの外国人が対象となります。留学ビザや配偶者ビザ、就労ビザなどを持っている外国人を雇用する場合はもちろん届出が必要です。

一方、特別永住者の方や外交ビザ、公用ビザの場合は不要です。

特別永住者は在日韓国人や在日朝鮮人などが持つ在留資格(ビザ)です。これとは別に永住ビザがありますが、永住ビザの場合は届出が必要となりますのでご注意ください。また、外交ビザや公用ビザは特殊なビザですので、一般の企業等の採用活動の中で見かけることはほとんどないと思います。

また、見た目が「外国人」であっても国籍が「日本」であれば不要です。帰化された外国人を雇用する場合は、日本人を雇用するということになりますので、もちろん届出は不要です。

「雇用」でなければ届出不要

そもそも外国人雇用状況の届出は「雇用」について届け出るものです。そのため、事業主(企業など)と雇用関係にない代表取締役など会社役員は不要です(※会社役員であっても会社と雇用契約を締結している場合であったり、実態として労働者として見なされる場合は外国人雇用状況の届出が必要)。また、研修で迎え入れる場合も雇用関係になければ不要です。

ただし、これらの場合は「中長期在留者の受入れに関する届出」という努力義務の手続きがあります。