飲食店の外国人留学生の不法就労の摘発が相次いでいます。今回は大阪の串カツ屋さんでの摘発ニュースについてお伝えします。

大阪の人気店、串カツだるま。

コワモテの社長の大きな看板を掲げている店です。店内が明るすぎて、お酒を飲むとすぐに赤くなる私にとっては少し恥ずかしい店なのですが、味はお墨付き!
裏切らない、これぞ、ザ・大阪の味です!

大阪に旅行に来た際は是非お立ち寄り下さい!

さて、本題です。串かつだるまの外国人従業員の裁判

串かつだるま社長が謝罪 大阪簡裁初公判(毎日新聞)

こんなニュースが目に飛び込んできましたので、身近なところで働く外国人の方のビザ(在留資格)について書いていきたいと思います。

と、その前に、外国人の方と仕事とビザについてお話しさせて下さい。

外国人の方が日本で働くためにはビザが必要

そもそも、外国人の方には日本人と同じような職業選択の自由がありません。
そして、仕事をするためには様々な条件をクリアしていなければなりません。

いわゆる、ビザです。在留資格とも言います。

仕事目的で日本に来るためには、働くためのビザを取らなければなりません。
ビザと言えば、海外旅行を思い浮かべると思いますが、海外旅行では観光ビザという種類のビザを取ることになります。旅行用の許可をもらう、と言うイメージですね。

仕事用のビザは就労ビザという言い方をしますが、仕事内容によって分けられています。通訳や技術屋、日本で言う総合職的サラリーマン向けの技人国ビザ、ダンサーなどの興行用ビザ、コックさん用の技能ビザ…

「じゃあ、やりたい仕事に応じてビザを取ればいいの?」と思われるかもしれませんが、選択の余地はあまりありません。

例えば、4年生大学卒業、かつ、その専攻と仕事がマッチしていること、さらに実務経験○年必要などなど、というビザもあれば、あるスポーツで世界大会出場、などが必要になるビザがあります。

つまり、日本で働くためのビザは簡単に取れません。これまで築いてきたキャリア次第とも言えますね。

そして、意外なことに単純労働や肉体労働などの工場や工事現場で働くためのビザはありません(技能実習生という仕組みがありますが、これについては改めて)。

また、接客業や冒頭のだるまのような飲食店で働くためのビザもありません(外国料理専門店は専用のビザあり)。
このような仕事の就労ビザは日本に存在しないんです。

よく目にする外国人の店員さんが持っているビザとは?

じゃあ、コンビニや飲食店で見かける外国人は何のビザ(在留資格)を持っているのでしょうか。

答えは、就労ビザ以外のビザを持っている外国人の方。つまり、仕事目的のビザではないビザを持っている外国人の方々です。

具体的に言うと、次のビザ(在留資格)を持つ方々です。

◎日本人の配偶者等
◎永住者
◎永住者の配偶者等
◎定住者
◯家族滞在
◯留学生 など

これらのビザに共通しているのは、どれも仕事目的ではないということです。日本にゆかりのある人、ゆかりができた人、勉強目的の人向けのビザですね。

これらのうち、日本人の配偶者等など◎としているビザの人は、法律の許す限り、様々な仕事に就くことができます。学歴も実務経験も関係無し。

◯が付いている家族滞在ビザや留学生ビザの人は、ビザとは別に入国管理局から許可(資格外活動)を得れば、就労時間の制限があることと、風営法関連の仕事はできませんが、◎のビザと同じように様々な仕事に就くことができます。
就労制限時間は週28時間以内です。

こうしたビザを持っている外国人の方が、コンビニや飲食店で働いているんですね。ビザ無しで働いている外国人の方もいますが、それは違法行為です。不法就労と言います。

串カツだるまの留学生は何が問題だったか

今回、入管難民法違反の疑いで逮捕されたり書類送検された人たちは次の通りです。

  • 雇用側の法人と幹部6人
  • 就労資格無しで働いていた留学生
  • 就労制限を超えて働いた留学生(など)

時系列にまとめると、こんな感じです。現在進行形。

2017/3/14「法定時間を超えて外国人留学生を働かせたなどとして、入管難民法違反(不法就労助長)などの疑いで書類送検」

就労資格が無いとして、留学生3人を逮捕

就労制限時間を超えて働いたとして、14人を書類送検

2017/6/21「入管難民法違反(不法就労助長)の罪で、大阪簡易裁判所で初公判が開かれた → 今ここです。

今回の捕まった方々、不法なことをしていたことを全員知っているはずです。

記事によると、雇用側は「知ってはいたけど、労働者が集まらないから」「不法行為と分かっていたが、認識が甘かった」と認めていましたね。雇用側の問題とは言え、労働者が集まりにくい外部環境が左右した結果とも捉えることができます。

仕方なくとは言え、不法行為は罰せられます。そして、外国人の方を扱う法律は日本人が思っているよりも厳しいです。特に、雇用する外国人の方の人生を左右させてしまうこともあり得るので、雇用主の方々、法令遵守でお願いします。

また、外国人の方を雇いたい企業さんは、一度、この厚生労働省のページを見て下さい。分かり易くまとめられています。

労働者側(留学生)はどうなるの?

最悪の場合、留学ビザが取り消されて帰国しなければならなくなります。取り消しされなくても、ビザの更新手続きの際に更新不許可となってしまうかもしれません。

せっかく日本に来たのに勿体無いですね。一般的な感覚からしたら大した罪でも無いのに…

いやしかし、外国人の方には日本人以上に法令遵守を求めていますので仕方がありません。政治が決める世界です。日本の治安維持のためには取らざるを得ない選択です。

なんでバレたの?なんでバレるの?

今回の事件は、道端での職務質問から発覚しています(残念ながら、外国人の方って職務質問されやすいんです)。

その時に所持していた給与明細からバレたらしいです。おそらく、警察官は職務質問の際に、在留カード(日本在住の外国人の方の身分証明書)の提示を求めたと思います。外国人の方には携帯義務があるカードです。

これを見れば、何の目的で、もしくはどういう身分で日本に住んでいるかが、ある程度分かります。そして、仕事に就くことが許されているかどうかも。

留学生ビザや家族滞在ビザの場合、就労時間の制限付きで入国管理局から許可をもらわなければならないという話をしましたが、この許可をもらうと、在留カードの裏に許可されたこと、就労時間の制限について書かれます。

普通、週28時間までと書かれますので、労働時間と給与明細を付け合わせれば就労制限時間内かどうかをある程度は判断できます。月に約120時間しか働けないのに、給料が20万、30万もあると、どんな仕事をしているんだ?となりますよね。職務質問で給与明細を見たっていうのが不思議ではありますが…

また、
「職務質問でバレるなんて不運なやつだ」
「資格外活動をしているか、就労時間を超えているかなんてバレないじゃないの?」
と、思われるかもしれません。

でも、留学生にはビザの更新手続きなど、日本に住み続けるかぎりビザの更新が必要です。更新手続き時には日本滞在状況の審査がありますので、この時にバレる可能性があります。

ただし、留学生ビザの更新手続きに必須の書類には労働時間や収入に関する資料はありません。つまり、普通はバレません。

しかし、追加資料としてアルバイト状況を示す書類や通帳のコピーなどの提出を求められることも。となると、バレます。

こうした書類を求められたということは、審査側は怪しんでいるということですので、下手に誤魔化しても無駄です。学校の成績が悪かったり、不法就労が多い学校に在学してる方は、こうした書類を求められる傾向にあります。

終わりに

予想以上に長くなってしまいましたが、不法就労はやめときましょう!これを言いたかっただけです。

雇用側も、このニュースのように捕まる可能性もあります。
留学生なども、日本で住み続けたいという思いがあるのであれば、法令遵守でお願いします。

また、「やばい、私どうしよう?」と思った方、まずは不法就労をやめましょう。話はそれからです。と言っても外国人の方は日本語ブログは読まないと思いますので、日本人の友人や恋人の方、伝えてあげて下さいね!