帰化申請では出生届・婚姻届・離婚届・死亡届などの記載事項証明書の提出が必要となります。
証明書は法令などで定められた特別な理由がある場合や、各届書の記載事項を確認する必要がある場合にのみ請求でき流という扱いになっていますので、通常は交付してもらえません。ただし、帰化申請に使用するという理由があれば交付してもらえます。
記載事項証明書とは?
記載事項証明書とは、出生届・婚姻届・離婚届・死亡届などのコピーに役所が捺印した書類です。各届出名称を先頭にして、婚姻届記載事項証明書、離婚届記載事項証明書、死亡届記載事項証明書と呼びます。また、各届出をコピーしたものになりますので、出生届の写し、婚姻届の写しという表現もあります。他にも、戸籍届書記載事項証明書、戸籍記載事項証明書、届出記載事項証明書など、役所によっても表現が若干変わります。
戸籍や住民票に反映される情報の元になる書類のため、戸籍や住民票よりも情報量も多く、また、役所のデータベースに登録前の情報ということで転記ミスもありませんので、信頼性の高い書類です。
また、戸籍という言葉が出てきましたが、日本人であれば戸籍がありますので、出生や婚姻・離婚については戸籍で確認できるとして記載事項証明書は不要とされます。外国人の方は戸籍がありませんので、今回取り上げている各記載事項証明書で出生や結婚を証明することになっています。
各記載事項証明書ごとに必要となる方
記載事項証明書は出生届・婚姻届・離婚届・死亡届ごとに取得対象となる方が決まっています。
家族構成・状況、また帰化申請する法務局によって対象者は変わりますが、ここでは基本的なケースを想定して説明します。
また、帰化申請の事前相談の際に法務局から必要書類の提示がありますので、法務局に事前相談に行く際には簡単な家系図(祖父母・両親・兄弟・子とそれぞれの国籍・結婚歴・帰化の有無をまとめたもの)を作っておけばその後の書類集めがスムーズになります。
出生届記載事項証明書(出生届の写し)
帰化申請人本人が日本で生まれた場合に必要となります。地域によっては兄弟姉妹の分も必要とされるようです。
書類の請求先は出生届を提出した市区町村役場となります。提出先が不明な場合、母子手帳で確認することができます。
婚姻届記載事項証明書(婚姻届の写し)
帰化申請人本人と両親の分が必要となります。
ただし、日本人と結婚した場合は不要です(その日本人の戸籍謄本で確認できるため)。
書類の請求先は婚姻届を提出した市区町村役場となります。提出先が不明な場合は、結婚したと思われる時期に住まわれていた住所を参考に問い合わせしていくことになります。
離婚届記載事項証明書(離婚届の写し)
帰化申請人本人と両親の分が必要となります。
ただし、日本人と離婚した場合は不要です(その日本人の戸籍謄本で確認できるため)。
書類の請求先は離婚届を提出した市区町村役場となります。提出先が不明な場合は、別居前後の住所を元に問い合わせしていくことになります。
死亡届記載事項証明書(死亡届の写し)
帰化申請人本人の両親・配偶者・子が死亡している場合に必要となります。
書類の請求先は死亡届を提出した市区町村役場となります。基本的に亡くなられた最後の住所地の役場に届出がされているはずです。
その他の記載事項証明書
養子縁組・養子離縁についても記載事項証明書が存在します。
書類の請求先は養子縁組届や養子離縁届を提出した市区町村役場となります。
記載事項証明書を請求できる方
記載事項証明書を入手できる方は下記の通りです。
- 本人
- 請求する証明書に記載された方
- 法令等に定めのある目的に使用する親族の方
- 代理人(本人からの委任状必要)
- 行政書士等の士業
基本的には記載事項証明書に名前のある人しか請求できません。ただし、「法令等に定めのある目的に使用する親族の方」として親の婚姻届記載事項証明書や死亡届記載事項証明書はその子どもであれば帰化申請を目的として請求できると思います。
ちなみに、記載事項証明書は役所は通常交付しないとしている程の秘匿性の高い情報を扱う書類です。悪用される可能性(名簿業者・興信所等)がありますので、記載事項証明書の取得のみのご依頼については私の事務所ではお断りしています。
記載事項証明書の取得場所・方法
記載事項証明書は届出を提出した市区町村役場に請求して取得します。
手数料は350円です(私が知っている限りはこの価格です)。
取得方法は窓口請求と郵送請求があります。
郵送請求時は、請求書(下図)、定額小為替(350円)、返信用封筒(切手を貼っておくこと)、本人確認書類、委任状(代理人の場合)を同封します。郵送請求の場合は定額小為替で手数料を支払うことが一般的で、郵便局で購入します(350円の定額小為替を購入する場合は450円必要)。
(大阪市 戸籍全部事項証明書等交付請求書)
記載事項証明書の請求書の記入について
大阪市の場合は戸籍謄本などの請求と同じフォーマットとなります。
窓口に来られた方・請求者
→フォーマットの通り記入します。
本籍
→日本人の分を取得する場合は日本人の本籍地を記入します。住民票で本籍地を確認できます。
→外国人の分を取得する場合は証明書を必要とされる方の国籍を記入します。
筆頭者の氏名
→日本人の分を取得する場合は戸籍の筆頭者の氏名です。住民票で本籍地とともに確認できます。
→外国人の分を取得する場合は証明書を必要とされる方の氏名を記入します。
請求の理由
→「その他」にチェックを入れ、帰化申請とします。
→詳しい理由については帰化申請者本人の氏名と今回請求する記載事項証明書の内容と帰化申請者本人の関係性について説明します(例:帰化申請者〇〇の両親の婚姻届を確認するため、など)。
→提出先欄は「法務局」にチェックを入れます。
必要な証明書の種類
→届書記載事項証明書にチェックを入れます。
→「婚姻」「離婚」「出生」「死亡」「その他」の必要な箇所にチェックを入れます。
→届出日の年月日はおおよそでも構いません。
→届出の区役所が不明な場合は空欄でも構いません。
請求する枚数
→記載事項証明書は原本とコピーを帰化申請時に提出しますので、「1通」としてください。
→出生届・婚姻届など複数を一度に請求する場合は「各1通」としてください。
もし探しても見つからない場合は?
「絶対にここに出したはず」という場合でも、記載事項証明書が見つからないことも。
私も、帰化申請者のご両親の婚姻届記載事項証明書を見つけることができなかったことがあります。ご両親が「子供が生まれた年に〇〇区役所に出した」と言っているのにも関わらずです。
このように探したけれども見つからないということはよくある話です。市役所も膨大な書類を保管しているわけですから、古くなれば古くなるほど紛失のリスクが増してきます。
こうした場合は、「無いことの証明」を市区町村役場からもらいます。市役所によって書き方は異なりますが、「○年○月から○年○月までを探したけれど保管がありませんでした」という趣旨の証明書を発行してもらってください。その際、「いつからいつまでを探した」ということを必ず記載してもらってください。
無料で発行してもらえる場合もありますし、記載事項証明書の正規手数料を求められることもあります。