2019年7月3日の読売新聞の朝刊の1面、32面に「介護と日本語学び 備える」という記事がありました。内容は、フィリピン人女性が在留資格「特定技能」(以後、特定技能ビザ)の第1回の介護分野の試験に合格したこと、昼夜勉強に励んでいること、日本に行っていっぱい稼ぎたいとの思いが語られています。

この記事で気になったのは、彼女の日本語学習や介護分野を学ぶための費用が無料だったこと。フィリピンで登録した人材派遣会社が特定技能ビザの介護分野の試験対策を行っているのですが、その授業料は無償、地方から出てきた人のために寮も無償にしているそうです。そして、実際の負担は日本の受け入れ先とのこと。

特定技能試験の合格者はどういう人?

特定技能ビザでは外国人人材に求める要件として、日本語要件(日本語能力検定N4以上)と、就労する分野の特定技能評価試験に合格していることが必要です。

日本語の習得が難しいことは当然ですが、特定技能評価試験もそれなりに勉強しなければ合格は難しいです。合格率7割と報道されていますが、例えば日本で行われた外食分野の試験では日本で外食業のアルバイトをしている留学生が多く受験しているでしょうから合格率が高くなるのも納得できますし、フィリピンで行われた介護分野の試験は上記の記事にあるように勉強をしている人が多く受験していると思います。

あくまで私の考えですが、その分野でアルバイト経験のある留学生や、本国でしっかりと勉強されている人たちが特定技能試験に合格しているのではないでしょうか。

特定技能人材を集めるための先行投資

特定技能試験の合格のためには勉強が必要とすると、海外で特定技能ビザが取得できる人材を集めるためにはどうしたらいいでしょうか?

日本で働きたい人は簡単に集まるそうですが、特定技能評価試験と日本語能力検定N4を取得できる人、取得している人を集めるのは難しいです。となれば、教育もセットで人材を集めるとが特定技能ビザの人材を集めることの近道かと思います。

今回紹介した記事では、「受け入れ先が授業料・寮費を負担している」とされていましたが、直接負担しているのは日本の人材紹介会社だと思います。自社に来るかも分からない人に投資するのは難しいですしね。

おそらく、まず人材紹介会社が費用負担し、実際に特定技能ビザで雇用ができた段階で、人材紹介会社が受け入れ先から費用回収または利益を乗せて請求するのではないでしょうか。

特定技能ビザを狙っている人材紹介業の先行投資方法

特定技能ビザを取れる人材を取り扱っている現地の人材会社や、特定技能ビザを取れる素養のある学生がいる教育機関と提携することが一番の近道だと思いますが、そうしたところは技能実習制度時代から付き合いのある監理団体や、古くからパイプのある人材紹介会社が既に手を結んでしまっています。

そのため、これまで以上の人材確保や人材の安定供給を目指す場合、 後発組の人材紹介会社は先行投資が重要になると思います。

例えば、現地に学校を設立する。これだと費用がかさみますので、 現地の学校に出資したり、 授業のコマを買い取って特定技能取得のための授業を開催することも考えられます。また、記事のように現地の人材会社に教育を依頼し、その費用を負担する方法もあります。

これらの投資は費用面で難しいと思われるかもしれませんが、日本より物価が低いので想定されているよりも安く済みます。そして、物価が低い国であればあるほど損益分岐点を低く抑えることが可能ですね。

おわりに

特定技能ビザは一度に何人も雇用があります。また、就労期間が5年という制約がありますので入れ替わりでの雇用があり、人材紹介業にとっては安定した売上が見込める分野です。そして、特定技能ビザで雇用するためには日本で生活するための支援が必要で、人材紹介会社は「登録支援機関」になっておけば紹介料以外にも紹介先からの売上も生まれます。

弊所は特定技能ビザの取得はもちろん、登録支援機関になるためのお手伝いも可能です。相談料は無料で行っていますので、是非お気軽にお問合せください。