「能力条件」とは?

帰化申請が許可されるためには、能力要件を満たす必要があります。

国籍法の帰化条件の条文を見てみましょう。

年齢が20歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。

帰化申請は20歳以上になってからしか申請できません。自分の意思で帰化申請するのは大人になってからということです。

「本国法」とあるのは帰化申請される方の母国の法律です。国によって成人として扱われる年齢は異なりますので、「本国法によって」という表現になっています。日本・母国の両国で大人(行為能力を有する)になってからしか単独で帰化申請できません。

また、20歳未満でも緩和条件(簡易帰化)が設けられています。

◆POINT

帰化申請は20歳から。例外規定あり。

20歳未満での帰化申請について

帰化申請は大別すると「普通帰化」「簡易帰化」の2パターンあるのですが、「簡易帰化」に条件が該当すれば様々な帰化要件が緩和されます。

ここでは条件毎に説明していきます。

親が日本人or家族一緒に帰化申請する場合

「子供の時に帰化した人を知ってるよ」という方もいると思います。未成年時に帰化した方は、親と一緒に帰化しているはずです。もしくは親は先に日本に帰化していると思います。

能力要件には緩和条件が定められており、「日本人の子」は20歳未満でも帰化できます(特別養子を含む)親が既に日本に帰化していれば、その子供は自動的に「日本人の子」になりますのでこの要件を満たします。また、親と一緒に帰化した場合であれば、親が許可されるのであれば同じく「日本人の子」と扱われますので、親と一緒に帰化申請すれば未成年の子供でも日本人に帰化することができるのです。

また、養子の場合は少し条件が付け足されます。親が帰化すれば「日本人の養子」になるわけですが、この場合は「引き続き一年以上日本に住所を有していること」「養子縁組時、本国法で未成年だったこと」が必要になります。

第八条(国籍法 一部改変)

次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が住所要件、能力要件及び生計要件を備えないときでも、帰化を許可することができる。

一 日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの

二 日本国民の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時、本国法により未成年であつたもの

結婚後に帰化申請

日本人と結婚した外国人の方も20歳未満で帰化できる緩和条件が設けられています。

3年以上日本に住み続けていること

日本に住み始めて3年以上経ってから日本人と結婚すれば、20歳未満であっても帰化申請することができます。

例えば14歳で来日し、18歳で日本人と結婚すれば帰化申請が可能になります。

(日本在住歴4年、身分:日本人の配偶者、結婚歴0年)。

第七条(国籍法 一部改変)

日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が住所要件及び能力要件を備えないときでも、帰化を許可することができる。

結婚して3年経過、かつ、1年以上日本に住み続けていること

日本人との結婚歴が3年以上になれば、日本に住み始めて一年以上経過した段階で帰化申請することができます。

例えば16歳で日本人と結婚後に18歳で来日。その一年後には未成年であっても帰化申請が可能になります。

(日本在住歴一年、身分:日本人の配偶者、結婚歴3年)

第七条(国籍法 一部改変)

日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が住所要件及び能力要件を備えないときでも、帰化を許可することができる。

その他のケース

次の2パターンに該当する場合も20歳未満での帰化申請が可能です。

  • 元日本人(元々外国人の方で、一度日本に帰化した方は除く)
  • 日本生まれで出生時から無国籍の方が3年以上日本に住み続けた場合

第八条(国籍法 一部改変)

次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が住所要件、能力要件及び生計要件を備えないときでも、帰化を許可することができる。

三 日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く。)で日本に住所を有するもの

四 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き三年以上日本に住所を有するもの