生計要件とは

帰化申請が許可されるためには、生計要件を満たす必要があります。資産が多い・少ないが大きな影響を与えるわけでなく、あくまでも収支のバランスが審査されます。

国籍法の帰化条件の条文を見てみましょう。

自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。

難しい書き方になっていますが、それなりの収入があり、身の丈にあった生活をしていれば問題ありません。

本人のみの審査ではない。生計単位で審査される

生計条件は、帰化申請をする本人だけを対象としたものではありません。生計を一にする配偶者その他の親族で考えることになります。同じ生計であれば配偶者はもちろんのこと、親などの親族も含めることができます。

  • 独身者は基本的に本人の収入で審査されます。
  • 家族を持っている方は配偶者の収入も含めることが可能です。
    • 帰化申請する方に収入がなくても、配偶者に十分な収入があれば問題ありません。
  • 親の援助(仕送りなど)があれば収入に加えることもできます。

収入・支出について

はっきりとした基準はありませんが、給料の目安は独身者で月額18万円くらいですね。でも、この金額は参考程度にとどめておいてください。なぜなら、支出は家庭によって異なります。子供が多ければ支出も増えますし、親などを扶養している場合も然り。収支バランスを見られるということです。

例えば、住居が持ち家または賃貸で大きく変わりますよね。親と同居していれば家賃は0円でしょうし、賃貸なら数万〜十数万の出費が毎日発生しているはずです。慎ましい生活をしている家庭と派手な生活をしている場合でも支出金額には大きな隔たりがあるはずです。

特に、扶養家族の存在は支出を大きく増やす要因になります。そして審査側は「被扶養者1人につき支出は〇〇円」と想定して計算しますので、実態と異なる金額で判断されることもあります。そのため、節税対策で被扶養者を増やしてしまっている場合は扶養を外した方がベターな場合もあります。

いずれにせよ収入が少ないと不許可の可能性が高まりますので、無職であれば就職してから申請するようにしましょう。

帰化申請時に申告する収支情報

帰化申請時に提出する「生計の概要(その1)」という書類で毎月の収支情報を法務局に伝えることになります。

収入は同一の生計内の個人単位で記入します。「給料や報酬、不動産収入、仕送り」などを記入します。支出は「食費・住居費・教育費・返済金・生命保険等掛金・預貯金・その他」が予め記入されており、実態に沿って記入していきます。

そして、これらの収支や資産、または支出を証明するために各種証明書や課税証明書、通帳のコピーなどを提出します。また、属性によって帰化申請に必要な書類は変わります。

  • 会社員:給与明細書、源泉徴収票、など
  • 個人事業主:確定申告書の控え、など
  • 社長:在勤・給与証明書、決算報告書、など
  • 無職:課税証明書(非課税証明書)
  • その他:賃貸契約書、登記簿謄本、など

借金の有無について

借金やローンがあっても帰化はできます。重要なのは返済の遅れや滞納していないこと、そして総合的に収支バランスがとれていれば大丈夫です。

一方、借金の返済のために家計が赤字だと許可される可能性は低いです。

帰化申請時に提出する「生計の概要(その1)」に借入の目的・借入先・残額・完済予定を記入します。

破産後すぐに帰化申請はできない

借金を帳消しにする方法として破産するという選択があります。破産すれば借金がリセットされますが、失うものも多いです。その一つが帰化申請が遠のくことです。破産者になってからすぐの帰化申請はできず、破産手続き開始決定日から7年以上経過してからしか帰化申請できなくなります。