日本人と結婚した外国人の方に絞って永住ビザについて解説します!
永住権、取りたいですよね?
永住ビザは在留資格の最高位ですので当然メリットは大きなものとなります。ビザの更新は無くなりますし、就労制限も撤廃。また、更新ができないかもという不安もなくなります。
そこで、今回は永住権について詳しく見ていきましょう。
永住ビザへ変更した場合の3つのメリット
①在留期間の制限がなくなります→ビザの更新が不要に!
ビザを持っていると、毎年または何年かに1度、更新の手続きが必要ですが、永住ビザを取ればビザの更新は不要です。だって永住権を持っているから、定期的な審査が無くなるんです。
これ、大きいですよね?申請の手間暇もそうですし、結果を待つのも気持ちのいいものではありません。
一方で変わらないこともあります。例えば在留カード。これは永住権が取れたとしても在留カードの更新は引き続き必要ですので忘れずに!他にも、日本から出国するときも引き続き再入国許可が必要になりますのでご注意くださいね。
②社会的信用力がアップ→ローンが組める!
平たく言えば、融資やローンを組みやすくなります。
国から数年しか滞在許可されていない外国人にお金を貸すということはハイリスクです。そのため、金融機関は永住ビザを持っていないと融資しないという規定を持っている場合が多いです。
ただし、あくまでも信用力がアップするだけで必ず融資されるという訳ではありませんので悪しからず。お金を借りたい金融機関にご相談お願いしますね。
③配偶者と死別・離別しても永住権はそのまま!
配偶者ビザを持っていても、その配偶者が亡くなってしまったり、そもそも離婚してしまったりすると、ビザの変更をしなければなりません。こうした場合、必ず変更できる訳でもありませんので、最悪の場合は帰国を余儀なくされるかも。しかも、大変な時期にビザの心配をしなくてはならない…
しかし、②の「就労制限がなくなる」でも少し触れた通り、永住ビザを持っていれば、死別しても離婚してもビザの変更はありません。
配偶者ビザが持つ永住ビザのメリット
以下の永住ビザの2つのメリットは、もともと配偶者ビザにも備わっているメリットです。
①就労活動の制限がなくなる
永住ビザには配偶者ビザと同じように就労活動の制限がありません。違法行為でなければどんな仕事をしても大丈夫です。
また、就労ビザでは「学歴・経歴」と「仕事内容」をリンクさせなくてはならないため転職は慎重にならざるを得ませんし、無職だと就労ビザの在留資格該当性が無くなりますので再就職を急がなくてはなりません。下手をするとビザの変更や更新ができなくて帰国を余儀なくされるリスクがあります。
永住ビザを持っていれば転職先の仕事内容を気にする必要はありませんし、無職になってもビザについて不安を抱く必要はありません。
②退去強制される確率ダウン
日本に住む外国人の方は、何か過ちを犯してしまった場合はビザを取り消される可能性があります。永住ビザであっても、再入国期限を過ぎてしまったり、犯罪を犯しまえば対象となります。ただし、配偶者ビザと同様に永住ビザは在留特別許可を受けやすく、他のビザよりも退去強制されにくくなりますので、これもメリットととらえることができますね。
永住ビザの取り方
永住ビザへ変更(永住許可申請)をするためには、様々な条件を満たさなければなりません。ただし、日本人と結婚している外国人の方は条件が緩和されます。できるだけ早期に変更するようにしましょう!
※これからご説明する条件緩和は、配偶者ビザをお持ちでなくても日本人の配偶者であれば適用されることになっていますが、実際の審査では適用されないこともあり得るようです。おそらく「日本人の配偶者への優遇措置」として設けられている条件緩和にもかかわらず、配偶者ビザ取得時に本来されるであろう「日本人の配偶者」としての審査を経ずに条件緩和を受けるためだと推測します。そのため、こちらの記事では配偶者ビザを取得した上で永住ビザを取得する流れでご説明します。
※配偶者ビザを取るために偽装結婚される方もいらっしゃいますが、偽装結婚では配偶者ビザは取れません。おなじく、偽装結婚では永住ビザも取れません。
ステップ① 配偶者ビザを取得する/更新し続ける
国際結婚をして日本に住むのであれば、配偶者ビザを取得しましょう。就労ビザなど他のビザの多くは「就労制限」がありますので、職業選択の自由があまりありません。そのため、知らず知らずのうちに不法就労をしてしまうリスクがあります。
また、配偶者ビザを取得すればすぐに永住ビザを取得できるわけではなく、下記条件を満たさなくてはなりません。条件が満たされるまでは配偶者ビザを更新し続けましょう。
◆日本人と結婚している外国人の方の永住許可条件
- 条件① 実態の伴った婚姻生活が3年以上継続し、継続して1年以上日本に滞在している場合
- 条件② 3年または5年の在留期間を持っていること
条件① 婚姻期間と日本在住期間の要件
永住ビザの申請条件の1つである日本滞在期間は、日本人と結婚していれば次の条件でOKです!
・実態の伴った婚姻生活が3年以上継続し、
・継続して1年以上日本に滞在している場合
永住ビザは通常、日本に10年以上いないといけないんですが、日本人と結婚している外国人の方は日本滞在期間が大幅に短縮されるんです♪
また、婚姻生活3年は日本での3年ではありません。国際結婚して海外に住んでいれば、その期間もカウントされます。海外での結婚生活が2年以上あれば、日本に来てから1年後には永住ビザの申請が可能になります。この場合、もちろん配偶者ビザをお持ちだと思いますので、来日2年目で永住ビザの申請ができることになります。
ご注意してほしいのが「継続して1年」という条件。1年の半分も日本にいなかったり、一度に3か月以上も日本から離れてしまうと「継続して1年」と見なされなくなってしまいますので要注意です。
条件② 現有の在留資格の期間条件
現在お持ちののビザで「3年または5年の在留期間をもっている」ことが必須になります。
「3年または5年」とは日本滞在の残り期間ではありません。在留カードの「在留期間」に記載されている年数です。ここが3年か5年になっていればOKです。配偶者ビザを取ってすぐに3年以上の在留期間をゲットできることは少ないので、在留期間3年になるまでしばらく我慢ですね。
ちなみに、永住許可に関するガイドラインでは「最長の在留期間をもって在留していること」と表現しています。つまり、配偶者ビザの最長の在留期間は5年ですので、ガイドラインの通りであれば在留期間5年を取らないと永住申請できないはずです。しかし、現時点での運用では条件緩和されており、配偶者ビザの場合は在留期間3年とされています。
ステップ② 永住ビザのその他の申請要件を満たす
ステップ①の条件を満たせるのであれば、以下のその他の条件を確認しましょう。
①罰金刑や懲役刑などを受けていないこと
②納税義務等公的義務を履行していること
③公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
①罰金刑や懲役刑などを受けていないこと
犯罪歴があると、永住権を取れない可能性が高くなります。
まったくダメという訳ではなく、例えば年数が経過していたり、反省文などを申請時に提出したりなどで、永住権を取れる可能性があります。
また、交通違反は?となりますが、交通違反は少なければOK。明確な基準はありませんが、軽い違反が3,4回程度であれば大丈夫です。
②納税義務等公的義務を履行していること
未納があれば、最低1年は遡って納税しましょう。国民年金、健康保険、住民税などなど。
会社員であれば会社が代わりに支払っているはずですが、経営者や個人事業主、被扶養者やアルバイトをされている方などの場合は注意が必要です。
③公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
感染症羅患者などが該当します。
通常必要な永住ビザ申請の条件の免除について
永住ビザの許可条件には通常、「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」がありますが、日本人と結婚された外国人の方は免除されています。というのも、この要件については配偶者ビザの審査時に問われる内容ということで免除されているのだと思われます。
ここで法務省が出しているガイドラインの一部を見てみましょう。オレンジ色の文字だけ読めばOKです。
1 法律上の要件
(1)素行が善良であること 法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。 (2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること 日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。 (3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし,この期間のうち,就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。 イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。納税義務等公的義務を履行していること。 ウ 現に有している在留資格について,出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。 エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。 ※ ただし,日本人,永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には,(1)及び(2)に適合することを要しない。また,難民の認定を受けている者の場合には,(2)に適合することを要しない。
2 原則10年在留に関する特例 (1)日本人,永住者及び特別永住者の配偶者の場合,実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し,かつ,引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること |
(参照:法務省 永住許可に関するガイドライン(平成29年4月26日改定))
コメ印に(1)の素行善良要件、(2)の独立生計要件は「適合することを要しない」とある通り、配偶者ビザを持っていれば素行善良要件と独立生計要件は問われないことが分かりますね。
しかし、どちらも配偶者ビザ取得には必要な要件ですので、配偶者ビザから永住ビザへの変更時は当然要件を満たしているとして免除になっていると考えてくださいね。
ステップ③ 永住ビザの申請
必要書類
法務省が定める必要書類一式です。
また、状況に応じて他の資料が必要になる場合もあります。特に、永住許可が出にくい状況であれば他にも書類を用意することもあります。
1 永住許可申請書 |
2 写真(縦4cm×横3cm) 1葉 |
3 配偶者の方の戸籍謄本 1通 |
4 申請人を含む家族全員(世帯)の住民票 適宜 |
5 申請人又は申請人を扶養する方の職業を証明する次のいずれかの資料
(1) 会社等に勤務している場合 在職証明書 1通 (2) 自営業等である場合 a 確定申告書控えの写し 1通 b 営業許可書の写し(ある場合) 1通 ※ 自営業等の方は,自ら職業等について立証していただく必要があります。 (3) その他の場合 職業に係る説明書(書式自由)及びその立資料 適宜 ※ 申請人及び配偶者の方お二方とも無職の場合についても,その旨を説明書(書式自由)に記載して提出してください。 |
6 直近(過去1年分)の申請人又は申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する次のいずれかの資料
(1) 会社等に勤務している場合及び自営業等である場合 住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通 ※ お住まいの区役所・市役所・役場から発行されるものです。 ※ 上記については,1年間の総所得及び納税状況(税金を納めているかどうか)の両方が記載されている証明書であれば,いずれか一方でかまいません。 ※ また,上記の証明書が,入国後間もない場合や転居等により,お住まいの区役所・市役所・役場から発行されない場合は,最寄りの地方入国管理官署にお問い合わせ下さい。 (2) その他の場合 a 次のいずれかで,所得を証明するもの (a) 預貯金通帳の写し 適宜 (b) 上記(a)に準ずるもの 適宜 b 住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 各1通 ※ 注意点については(1)と同じです。 |
7 パスポート 提示 |
8 在留カード又は在留カードとみなされる外国人登録証明書 提示 |
9 身元保証に関する資料(1) 身元保証書 1通
※ 通常、日本人配偶者が身元保証人になります。 (2) 身元保証人の印鑑 ※ 印鑑を持っていない場合は署名(サイン)でもOKです。 (3) 身元保証人に係る次の資料 a 職業を証明する資料 適宜 b 直近(過去1年分)の所得証明書 適宜 ※a及びbの資料については,上記5及び6を参考に。 c 住民票 1通 ※ 上記4の資料と重複する資料となる場合は不要。 |
審査期間
約6か月前後です。
また、審査期間中に入国管理局から連絡が入ることも。申請書類の内容の確認や、追加で書類を用意してほしいetc…
行政書士に申請を代行してもらっていれば、この部分も対応してもらうことができます。
申請時の注意点
やはり虚偽の申告ですね。これだけは避けましょう。また、過去の在留資格の取得・更新手続きの資料もチェックされますので、過去の申請内容と一致させなければなりません。
それと、夫婦仲に問題が無いこと。夫婦仲が悪そうに見える申請内容だと、許可されない可能性が。永住ビザを取ったら離婚というケースも多いので慎重に審査されます。
おわりに
国籍変更することなく日本での永住権を手に入れることができるということで、永住ビザを希望されている外国人の方は多いです。
ただし、これまでの日本生活で感じられていると思いますが、日本政府は「外国人をあまり受け入れたくない」という方針ですので、一見問題なさそうな人でもビザの申請が不許可になることも。ましてや、永住ビザは在留期間の制限が無くなることもあって、日本政府側も慎重に審査することになります。
すいません。不安を煽ってしまいました…
皆様も口コミやネットの情報で永住ビザについて情報収集をされていると思います。そして、
「私たちの場合はどうだろう?」
「交通違反が多いけど大丈夫?」
「昔、オーバーステイしていたんだけど永住ビザとれないよね?」
「周りの友人が永住権の申請をしたけど不許可になった・・・」
など心配される方もいらっしゃると思います。状況は人それぞれですので、永住権が取得できるかどうかも人それぞれです。ビザ関係一般に言えることですが、許可を出す側(入国管理局)の裁量が認められていますので、条件を満たせば確実に大丈夫とも言えません。
ただ、私共のようなビザ専門の行政書士であれば、許可されるノウハウ、また、不許可にされないようにするノウハウを持っています。
申請しても永住ビザは取れないと思っている方は、まずは専門家に相談してみて下さいね。すぐにでも申請できると分かるかもしれませんし、何をすればいいか明確になるかもしれません。
その際には弊所にご連絡いただければ幸いです!!