日本での永住権が与えられる永住ビザ(在留資格:永住)。通常だと日本在住歴10年以上、収入問題無し、素行善良、納税問題無しの方が取得できるビザです。

一見すると、長期間日本に住んでいれば取れそうですが、実は皆さんが思っている以上に許可率は低いです。なんと2017年度では約57%!非常に難しいことが分かると思います。

永住ビザ所持の外国人数

2018年6月の在留外国人の永住ビザは下記の通りです。

在留外国人数(短期滞在を除く)2,637,251人
在留資格:特別永住者759,139人
在留資格:永住者326,190人

※参照:e-stat(在留外国人統計)

在留資格:特別永住者は在日韓国・朝鮮人の方のビザですが、こちらは約29%です。

在留資格:永住者はその他の国籍の方が取られる永住ビザですが、こちらは約12%です。

永住ビザは在留資格:永住者、特別永住者の総称です。つまり、日本に住む外国人の10人に4人は永住ビザを持っていることが分かりますね。

永住許可申請の許可率の推移

永住許可申請の申請数や許可/不許可数は公表されています。

直近5年の許可率を見てみましょう。

2013年度約72%
2014年度約70%
2015年度約71%
2016年度約68%
2017年度約57%

※参照:e-stat(出入国管理統計)

順調に悪化していますね。2015年度であれば10人中7人は永住権を取れていたのに、2017年度では10人中6人未満です。

また、都心部では不許可の傾向があり、東京入国管理局管轄内では約54%、名古屋入国管理局では約52%、大阪入国管理局では約54%となっています(いずれも2017年度)。

実際はもっと低い?専門家が代行申請している場合は許可率9割以上

行政書士の仕事の一つに永住ビザの申請代行があります。プロが申請しますので許可されて当たり前。仕事柄、難しい案件の比重が大きくなるのはしょうがありませんが、ビザを専門に扱っている申請取次行政書士であれば許可率90%以上はあると思います。

統計上、行政書士が手掛けた申請数は不明ですがトータルの許可率を押し上げていることは明白です。

そのことを踏まえると、一般の方が永住申請をされた場合は50%前後になるのではないでしょうか。つまり、2人に1人しか許可されないということです。

なぜ不許可率が高いの?

2017年の不許可率は40%以上。どうしてこんなにも不許可になってしまうのでしょうか。

やはり一番の理由は、永住許可要件を満たしていないことです。

永住許可要件はとても複雑で、しかも年数を要します。また、配偶者ビザや定住者ビザ所持者、高度人材外国人などでは要件が変わりますので、混乱させる原因ともなっています。

要件を正しく理解するためには法律特有の曖昧な表現を理解しなければなりませんし、専門書などでしっかりと学ぶ必要があります。

許可されるための条件そのものが難解でややこしいため、一般の方の不許可率が高くなるのは仕方がないのかもしれませんね。

また、「永住許可要件を満たしている」ことを説明しきれていないことも理由の1つです。

書類の不備や説明不足であったりなど、ビザ申請に慣れていないと許可される申請書を仕上げるのも困難なんです。

おわりに

永住許可申請は許可が出るまで半年前後かかります。不許可になると時間も労力も無駄になってしまいますね。

そのため、永住ビザの申請は慎重に進める必要があります。

また、専門家に相談や依頼をすれば不安や心配、手続きの労力などが一気に片付きますので、お金をかけるというのも一つの手段だと思います。