一度日本から出国すると、ビザは消滅します(消滅しない方法はもちろんあります)
外国人の方が日本で住む際、何らかの許可を貰っていますよね。ビザ(在留資格)と呼ばれるもので、取得する際にはみなさん苦労されたと思います。
このビザ(在留資格)って、日本から出国すると失われてしまうのはご存知でしょうか?「いやいや、そんなことないよ!ビザの再取得の手続き無しに何度も行ったり来たりしてます」とおっしゃる方もいると思いますが、それは再来日するため手続きをしているからです。
そして、再来日するための手続きは2パターンあります。出国手続き中の3分で終わる手続きと、わざわざ別のところで事前手続きをする方法。
ビジネスや海外旅行、ちょっとした帰省であれば、前者の3分の手続きで済みます。あまりにも簡単で手続きという感じはしませんが、非常に大事なことです。これをしていないとビザ消滅ですから。
みなし再入国許可
先ほどお話しした3分手続きがこれです。
日本から出国する際、空港や港で提出する「再入国出国記録(EDカード)」という紙に書くだけ。来日する時には「外国人入国記録」という紙に渡航目的等を書いて日本の空港などで提出しているはずですが、それの出国バージョンです。
再入国出国記録(EDカード)の書き方
いたって簡単です。名前等の個人情報を書くのは当然ですが、最初の選択肢は次の通りです。
■出国予定期間
- 1年以内
- 1年超2年以内
- 2年超
いずれか1つにチェックを入れます。
次の質問はこちらです。
1.一時的な出国であり、再入国する予定です。
2.再入国許可の有効期間内に再入国の予定はありません。
(地方入国管理官署で「再入国許可」を受けており、その有効期限内に再入国予定のない方はチェックしてください)
どちらかにチェックを入れます。
そして、最後に署名すればOK。
「1年以内」「一時的な出国であり、再入国する予定です。」を選べば「みなし再入国許可」手続き完了です(特別永住者は「1年以上2年以内」でも可)。
また、この用紙にはキリトリセンが入っており、「DEPARTURE」と書いてある方は出国手続き時に、「ARRIVAL」と書いてある方は再入国時に空港等で提出します。
みなし再入国許可の対象者
誰でも「みなし再入国許可」をできるわけではありません。
まず、大前提が「日本を出国した日から1年以内に再入国する人(特別永住者は、2年以内)」であることです。1年を超える場合は別の手続きが必要になります(後述する再入国許可という別の手続きが必要)。
次に、「短期滞在以外のビザ(在留資格)を持っている人」かつ、「在留期間が3ヶ月を超える人」が「みなし再入国許可」の対象となります。簡単に言えば、みなし再入国許可は「日本に住んでいる外国人が、1年以内に日本に戻ってくる場合」にできる手続きとなります。
短期滞在ビザは「一時滞在」です。日本に住んでいるという扱いにはなりませんので、みなし再入国許可手続きはありません。
他にも、下記に該当する方は利用できません。
- 在留資格取消手続中の者
- 出国確認の留保対象者
- 収容令書の発付を受けている者
- 難民認定申請中の「特定活動」の在留資格をもって在留する者
- 日本国の利益又は公安を害するおそれがあること その他の出入国の公正な管理のため再入国の許可を要すると認めるに足りる相当の理由があるとして法務大臣が認定する者
みなし再入国許可の注意事項
1年以内に再入国しないと、もう一度ビザ(在留資格)を取りなおさなければなりません!
何らかの都合で1年以上来日しないことになってしまったけど、ビザは失いたくない場合。この場合は、ビザが消滅しないようにするためだけに来日することが必要です。
再入国許可
日本へ再入国予定があるが、みなし再入国許可の対象外の方。
つまり、日本を1年以上離れる方ですね。こちらは出国前に「再入国許可」の手続きをすることになります。みなし再入国許可手続きよりも時間も手間もかかります。
再入国許可の対象者
ざっくり言うと「日本に住んでいる外国人が、1年以上日本に戻ってこない場合」が対象者となります。
また、いつまでもと言う訳ではありません。まず、現在お持ちのビザ(在留資格)の在留期間内に限ります。そして、最長は5年です(特別永住者は6年)。在留期間が3年の方は、3年以上日本を離れる場合は再入国許可は貰えず、再度ビザを取得しなければなりません。永住ビザを持っている方は5年以内に再来日しなければ永住権を失います(特別永住者は6年)。
短期滞在ビザをお持ちの方は、先ほどのみなし再入国許可と同様に対象外です。
再入国許可にはシングルとマルチがあります
再入国許可には2種類あります。
①シングル(1回限り)・・・1回だけ再入国が許可されます。
②マルチ(何回でもOK)・・・期間中であれば何回でも再入国できます。
期限内に再入国できなくなったら
再入国許可の場合だと、期限内に再入国できない場合は事前に申請すれば、期間延長が可能です。
ただし、「相当の理由があると認めるとき」に限って延長できますので、病気や怪我、介護等の理由が必要になります。また、延長できる期間は1年間または日本を離れてから6年以内となっています。
手続き先は滞在している国の日本大使館/領事館になります。
再入国許可の申請方法について
申請場所
空港ではありません。入国管理局となります。
正確には、(出国しようとしている)申請人の住所を管轄する入国管理局となります。先ほどの「みなし再入国許可」では、空港などでの出国手続きの中の一つとして組み込まれている手続きですので、特に手続きという意識はないと思いますが、「再入国許可」手続きは事前に入国管理局で手続きを済ましておく必要があります。
申請者
申請できる人は以下の通りです。入国管理局に行かなければなりません(郵送×)。
また、申請日当日に許可が出ます。
- 本人
- 地方入国管理局長から申請取次の承認を受けている勤務先の職員
- 行政書士などの専門家
- 法定代理人
- 本人の親族又は同居者若しくはこれに準ずる者で地方入国管理局長が適当と認めるもの
- ※本人が16歳未満の場合や、疾病その他の事由により自ら出頭することができない場合に限る
提出書類
- 再入国許可申請書
- 在留カード
- パスポート(ない場合は、提出できない理由書を用意)
申請費用
- シングル:3,000円
- マルチ:6,000円
※手数料納付書に収入印紙を貼って支払います。
許可証を無くした場合
みなし再入国許可・再入国許可のどちらも、再入国許可期限の証明を入国管理局で受けることができます。
当然、本人は海外にいますので、入国管理局で手続きできるのは本人以外となります。
- 本人と同居する親族
- 委任を受けた代理人(委任状が必要。また、委任状は原本不要)
みなし再入国許可と再入国許可の比較
文章でつらつらと説明してきましたので、分かりやすいように表にしてみました。
項目 | みなし再入国許可 | 再入国許可 |
対象者 | ビザ(在留資格)の有効期限が3ヶ月を超える人(3ヶ月以内は×)
※短期滞在ビザを除く |
ビザ(在留資格)を持っている人※短期滞在ビザを除く |
有効期限 | 1年(特別永住者は2年) | 最長5年(特別永住者は最長6年) |
有効期限の延長 | できない | できる(海外での病気などやむを得ない理由で再入国の期限内に日本に帰れない場合) |
申請できる場所 | 空港(海港) | 入国管理局 |
申請にかかる手数料 | 無料 | シングル:3,000円
マルチ:6,000円 |
ほとんどの場合、みなし再入国許可を利用することになると思います。仕事で何度も海外に行く方でも、1年以上日本を離れることは少ないですしね。
短期滞在ビザの場合
みなし再入国許可・再入国許可のどちらも、短期滞在ビザは除外と説明してきましたね。でも、短期滞在ビザも取得するのに苦労しますので、何度もビザの取り直しは避けたいところ。
ではどうするか。方法はあります。
それは、ビザ申請の時点で数次有効の短期滞在ビザを申請してください。みなし再入国許可・再入国許可は日本を出国する前の手続きですが、数字有効の短期滞在ビザ取得は来日前の手続きです。
また、目的によっては数次有効にはできません。観光目的や知人訪問目的ではダメですね。商用目的か、文化人・文化人等と定義されている人、もしくはこれらの配偶者と子供しか取れません。平たく言うと、日本に何度も仕事で来る人とその家族のための手続きです。お付き合いしている段階では数次有効の短期滞在ビザはとれませんのであしからず。