はじめに

日本人とブラジル人との結婚は、どちらの国からでも手続きをスタートできます。

どちらから手続きしてもいいよーと言いたいところですが、ブラジルでの結婚手続きは申請してから1か月以上かかりますので、お二人ともブラジル在住のカップル以外は日本から手続きした方がいいです。

まあ、他にも理由はありますが…後述します。

結婚適齢期について

ブラジル人は16歳から結婚可能です。

ただし、18歳未満は両親または後見人の同意書が必要です。

ビザについて

ブラジルは査証免除国ではありませんので、ブラジル人が日本に来るにはビザが必要になります。

そして、日本人がブラジルに行く場合も、同様にビザが必要です。

また、外国人が日本で永住権を取るには何年も日本で暮らすなどの制限があるのですが(日本人と結婚すれば期間短縮)、ブラジルでは日本人配偶者がブラジル人の被扶養者であれば永住ビザがとれますので、移住のハードルが低いですね。

署名の公証

ブラジルはハンコではなくて署名する文化なのですが、「本当に本人が署名したのか」ということに敏感な国です。こういうと筆跡鑑定を思い浮かべる方が多いと思いますが、違います。

正解は「公証」です。

方法はいろいろあるのですが、身分証明書などで本人であることを確認の上、第三者の前で署名を行い、この第三者が「この署名は本人が署名したものに間違いありません」と証明することです。公証役場という専門の機関で行います。

長々と書いてしまいましたが、理由があります。

日本でブラジル人と結婚する際、婚姻要件宣誓書(独身を証明する書類)をブラジル領事館で取得するのですが、その際に証人が2名必要となります(結婚するお二人は証人になれません)。

日本の婚姻届にも証人欄がありますが、ブラジルではより厳格なものを要求されます。

ブラジル式の証人の署名は、なんと領事館に行って署名しないといけないんです。もしくは、事前に証人2人を公証役場に連れていって公証した書類を領事館に持っていくか。他にも方法はあるのですが、それは後述するとして…まあ大変ですよね。サインだけじゃ済まないのです…

日本から結婚手続きをスタートする場合

日本から結婚手続きをする場合は、市区町村役場に婚姻届を提出し、在日ブラジル総領事館へ報告的届出を行います。

①婚姻届を出す予定の市役所に必要書類を確認してください。

日本の市役所でブラジル人と日本人が結婚に必要とされる一般的な書類は下記の通りです。まずは婚姻届提出予定の市区町村役場に必要書類を確認しましょう。

  • 婚姻届
  • 両親の同意書(18歳未満の場合)
  • 在留カードまたは外国人登録カード
  • パスポートまたは国籍証明書と日本語訳(訳は誰でもOK)
  • 婚姻要件宣誓書と日本語訳(訳は誰でもOK)
  • 日本人の戸籍謄本(本籍地の市役所に届出の場合は不要です)

②ブラジル人の出生証明書を入手

パターン①日本生まれの方

出生届を提出した在日ブラジル領事館で入手可能です(名古屋であれば名古屋でのみ入手可能)。

出生届を出されていない方は、出生証明書を発行してもらうために今から出生届を出すことになります。また、領事館で発行された証明書がブラジルの第一登記所に転記されている場合は領事館では入手できません。

パターン②ブラジル生まれの方

日本では入手できません。本人がブラジルにいないのであれば、ブラジルにいる親族や知人にお願いしましょう。頼る人がいなければ…専門家に依頼するのも手です。

③ブラジル人の婚姻要件宣誓書を入手。

婚姻要件宣誓書とは国際結婚で一般的に必要となる婚姻要件具備証明書(独身証明書)の事です。この書類を貰うのはちょっとややこしいです。

日本にあるブラジル総領事館で入手することになります。

【ブラジル人の必要書類】

  • ブラジル人の来館(代理人申請は不可)
  • ブラジル人のパスポート(原本、期限内のもの)
  • 在留カード、又は住民票の原本。
  • 申請者の婚姻状況を証明する6ヶ月以内に発行されたブラジルの書類(原本とそのコピー)

※未婚者(solteiro(a))は、出生証明書の第二版 (2ª via da certidão de nascimento)。

※離別者(divorciado(a))は、離婚の記載事項のある婚姻証明書の第二版が必要。

※死別者(viúvo(a))は、①配偶者の死亡の記載事項がある婚姻証明書の第二版、又は②配偶者の死亡の記載事項がない婚姻証明書の第二版及び配偶者の*死亡証明書が必要。

※在外公館で発行された証明書(出生、婚姻、死亡など)を提出する場合は、事前にブラジルの第一登記所(Cartório do 1º Ofício)にそれらの証明書を転記する必要があります。また備考欄に記載事項がある場合、「備考欄に記載事項あり」と記載されているのみでなく、その記載事項すべての内容が明記されている必要があります。

【証人の必要書類】

書類に署名する方です。婚約者とは別に2名の証人が必要です。

  • 証人がブラジル国籍の場合:証人の来館とパスポートとコピー
  • 証人が外国籍(RNE所持者):RNE(ブラジルの外国人登録証)とコピー
  • 上記以外の証人:申請用紙の署名を日本の公証人役場にて公証人の面前で行う(面前認証)。
    • 来館不要。ただし、証人の身分証のコピーが必要(パスポート・在留カード・日本発行の運転免許証)

※証人は、18歳以上です。また、婚約者は証人にはなれません。

※2010年以降に領事館に来館し職員の面前で署名の認証したことがある証人は照合認証という来館不要の手続きができる可能性があります。

④日本人の戸籍謄本を入手

本籍地の市区町村役場で日本人の戸籍謄本を入手します。郵送請求することが可能です。

⑤市区町村役場に婚姻届を提出

日本側の結婚手続きです。

【日本人の必要書類】

  • 婚姻届
  • 印鑑
  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • 戸籍謄本(婚姻届を本籍地以外の市区町村役場で出す場合) 1通

ブラジル人の必要書類】

  • 在留カードまたは外国人登録カード
  • パスポートまたは国籍証明書と日本語訳(訳は誰でもOK)
  • 婚姻要件宣誓書と日本語訳(訳は誰でもOK)

⑥市役所で下記書類を入手

  • 婚姻届記載事項証明書(添付書類の写し付き)
  • 婚姻届受理証明書
  • 戸籍謄本(本籍地の市役所でしか入手できません。結婚によって新戸籍が作成されますので、婚姻届が受理されてから1週間~10日以降からしか入手できません)

⑦在日ブラジル領事館に報告的届出をする →国際結婚完了!

夫婦揃って窓口に行く必要があります。また、必ず提出前に書類の事前審査が必要となり、パスポート等の身分証明証以外は原本の郵送が必要です。審査には約2週間程度かかります。これで国際結婚が完了します。

→必要書類:

  • 婚姻登録申請用紙(ブラジル領事館にあり)
  • 婚姻届記載事項証明書(添付書類の写し付き)
  • 婚姻届受理証明書
  • 夫婦の身分証明書(パスポート/運転免許証/健康保険証/RNE)
  • 90日以内に発行された戸籍謄本の原本

ブラジルから手続きをスタートする場合

ブラジルではCartórioという役場で手続きをします。

書類を集めるのも大変で、結婚の申請をしてからも待機期間が1か月以上あるため、移住前提でなければブラジルから手続き開始するのは現実的に難しいです。また、役場の対応も地域によってはひどいようで…日本のように均一の対応はもらえないと覚悟してくださいね。

ですので、私からは既にお二人でブラジルに住まわれている場合しかお勧めできません(日本に帰らないで国際結婚手続きを完了させたい人のみ)。また、公証、翻訳にお金がかかりますし、役場には何度も足を運ぶことになります。そして、日本とは違って手続きはタダではないのでご注意を!

ブラジルでの結婚は、大きく7つのステップが必要です(全てブラジル国内です)。また、一連のステップを全て完了させるのに2~3か月は見ておいた方がいいです。

  1. 日本で戸籍謄本の入手、外務省で認証
  2. ブラジルで各書類の入手、準備する書類。そしてCartórioで認証
  3. Cartórioで結婚申請
  4. 待機期間(約1~2か月)
  5. 結婚式の実施と婚姻証明書の入手
  6. Cartórioで婚姻証明書の認証、翻訳の用意
  7. 日本大使館/領事館で婚姻届の提出

①日本で戸籍謄本を入手、外務省で認証。

戸籍謄本は日本人の本籍地の市区町村役場で入手します。郵送でも入手可能。委任状があれば本人以外でも入手できます。

そして、入手した戸籍謄本を外務省でアポスティーユ認証してもらいます。詳しくはこちら

※戸籍謄本は最低3部は貰いましょう。結婚手続きにおいて、ブラジル側への提出が最低1部、日本側への提出が最低2部必要です。

※アポスティーユ認証が必要となるのはブラジル側への提出分のみです。

②ブラジルで各書類の入手と準備する書類。そしてCartórioで認証

日本の書類は翻訳が必要ですが、ブラジル公認の翻訳家に依頼することになります。

お金がかかりますね。

また、Cartórioとは日本で言う市役所のようなところです。Cartórioによって言ってくることも必要書類も変わるようですので注意が必要です。

【日本人の必要書類】

  • 婚姻要件具備証明書
    • 日本大使館/領事館で入手。戸籍謄本とパスポートが必要。ポルトガル語表記で貰えます。
  • パスポートのポルトガル語訳文
  • 戸籍謄本とポルトガル語訳文

【ブラジル人の必要書類】

  • 出生証明書  3部
  • 公共料金等の請求書
  • CPF(納税者番号)の原本
  • IDの原本

※Cartórioで認証

上記の書類全て、Cartórioで認証してもらいます。また、出生証明書は3部となっていますが、日本側への婚姻手続きで2部使用するためです。

③Cartórioで結婚申請

②の書類をCartórioに提出して結婚の申請をします。

その際、証人2人を連れていかなければいけません。親族か友人にお願いしましょう。また、証人もID、CPFの提示が必要となります。

④待機期間(約1~2か月)

待機期間は時期やCartórioによってまちまちです。

90日というところもあるようです。

⑤結婚式の実施と婚姻証明書の入手

【結婚式】

待機期間終了時に結婚式をします。結婚式というよりは儀式ですね。Cartórioで宣誓や指輪交換を行います。また、この時にも結婚の申請時の証人2人に同席してもらうことになります。結婚式終了後、婚姻証明書を貰えば結婚成立です。

⑥Cartórioで書類の認証、翻訳の用意

日本側へ提出するため、下記書類を認証してもらいます。

  • ブラジル人の身分証明書(Cópia Autenticada) 2部
  • 婚姻証明書 2部

また、ポルトガル語の書類は全て日本語訳を用意します(自分たちでも可)。

⑦日本大使館/領事館で婚姻届の提出 →国際結婚完了!

ブラジルで結婚完了後、3か月以内に日本大使館/領事館へ届出をしましょう。これで国際結婚が完了します。

以下は在ブラジル日本国大使館/領事館で届出するときの必要書類です。

【日本人の必要書類】

  • 婚姻届書(証人欄は不要) 2部
  • 戸籍謄本 2部(1部はコピー可。発行後6か月以内のもの)
  • 身分証明書
  • 印鑑

【ブラジル人の必要書類】

  • 婚姻証明書(Certidão de Casamento)の認証済み写し(Cópia Autenticada)  2部
  • 婚姻証明書の日本語訳文  2部
  • ブラジル人の身分証明書認証済み写し(Cópia Autenticada)  2部
  • 身分証明書の日本語訳文  2部

※ご注意点

手続き内容については、弊所が確認した段階での情報です。

手続き内容が変更されている可能性や、お二人の状況によって手続き方法が変わる可能性がございます。

必要書類のご確認等、結婚の手続きについては、手続きをされる役所に必ずご確認ください(ちなみに、日本の市区町村役場によっても必要書類が異なることもあります)。

弊所にお問い合わせいただいてもお答えできませんのでご了承お願い致します。

関連役所情報

大使館・各領事館には管轄エリアがありますので、お住まいがそのエリアに入っているかご確認してくださいね。

また、どこの大使館/領事館でも手続きができるとは限りませんので、事前にお問い合わせすることオススメします。

在日大使館・領事館情報

いわゆる領事業務(出生・死亡・婚姻手続きなど)を行っている領事館は東京、浜松、名古屋の3か所にあります。区分けは東日本は東京、西日本は名古屋、そして静岡県のみ浜松です。

なんで静岡だけ?という指摘はあろうかと思いますが、静岡は外国人が多い県ランキング8位で、その半数がブラジル人なんです。日本にいるブラジル人の約20%が静岡にいることになりますので、確かに静岡に領事館を作った方がいいですよね。

また、西日本は大阪ではなくて名古屋というのは分かりますね。なんせTOYOTAをはじめとする自動車王国で働くブラジル人がたくさんいらっしゃるというのはニュースなどで見ますからね。

在名古屋ブラジル総領事館

住所:〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内1-10-29 白川第八ビル2階

管轄:愛知県、愛媛県、福井県、福岡県、岐阜県、広島県、兵庫県、石川県、香川県、鹿児島県、高知県、熊本県、京都府、三重県、宮崎県、長崎県、奈良県、大分県、岡山県、沖縄県、大阪府、佐賀県、滋賀県、鳥取県、徳島県、島根県、富山県、和歌山県、山口県

ブラジル大使館

住所:〒107-8633 東京都港区北青山2-11-12

電話:03-3404-5211

在東京ブラジル総領事館

住所:〒141-0022東京都品川区東五反田1丁目13-12いちご五反田ビル2階

管轄:北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県、新潟県

在浜松ブラジル総領事館

住所:〒430-0946静岡県浜松市中区元城町115-10元城町共同ビル5階

管轄:静岡

ブラジルの日本大使館/領事館

在ブラジル日本大使館

住所:SES Quadra 811, Lote 39 Brasília – DF CEP: 70425-900 BRASIL

代表電話:(55-61)3442-4200

在サンパウロ総領事館

住所:Av. Paulista 854 – 3º andar CEP: 01310-913 São Paulo – SP

電話:(11) 3254-0100

管轄:サンパウロ州、マット・グロッソ州、マット・グロッソ・ド・スール州、ミナス・ジェライス州中アラグァリ、カンピーナ・ベルデ、カンポ・フロリード、コンセイソン・ダス・アラゴアス、コンキスタ、エストレーラ・ド・スール、フルタール、インディアノポリス、イッイウターパ、ノバ・ポンテ、プラタ、トリバテー、ツパシグァラー、ウベラーベ、ウベルランディア及びウェリッシモの各行政区

在リオデジャネイロ総領事館 

住所:Praia do Flamengo, 200 – 10º andar CEP: 22210-901 Rio de Janeiro – RJ

電話: (21) 3461-9595

管轄:リオ・デ・ジャネイロ州、エスピリト・サント州、ミナス・ジェライス州中在サンパウロ総領事館管轄に属さない地域

在マナウス総領事館

住所:R. Fortaleza, 416 – Adrianópolis CEP: 69057-080 Manaus – AM

電話:(92) 3232-2000, 3232-8582

管轄:アマゾナス州、ロンドニア州、ロライマ州、アクレ州

在ベレン領事事務所

住所:Av. Magalhães Barata, 651 Edif. Belém Office Center, 7º andar CEP: 66060-281 Belém – PA

電話:(91) 3249-3344

管轄地域は在ブラジル大使館と同じ

在クリチバ総領事館

住所:Rua Marechal Deodoro, 630 – Ed. CCI, 18º andar CEP: 80010-912 Curitiba – PR

電話:(41) 3322-4919

管轄:パラナ州、サンタ・カタリーナ州、リオ・グランデ・ド・スール州

在ポルトアレグレ領事事務所

住所:Av. João Obino, 467 – Petrópolis CEP: 90470-150 Porto Alegre – RS

電話:(51) 3334-1299

管轄:管轄地域は在クリチバ総領事館と同じ
在レシフェ総領事館

住所:R. Padre Carapuceiro, 733 – 14º andar Ed. Empresarial Center I, Boa Viagem CEP: 51020-280 Recife – PE

電話:(81) 3207-0190

管轄:セアラ州、リオ・グランデ・ド・ノルテ州、パライバ州、ペルナンブコ州、アラゴアス州、セルジッペ州、バイア州