引用元: 国際結婚はお互いの国で結婚を成立させなければなりません。

そして、どちらの国から結婚するかを自由に選べる場合がほとんどです。でも、お二人の状況と国籍に応じて「どちらから結婚すべき」と言える場合がありますので、ここでは状況別に開設させていただきます。

国際結婚のとあるワンシーン

men「結婚しよう!」

women「いいよ♡」

men「じゃあ結婚手続きしようか」

women「いいよ♡でも、あなたは日本、私は海外にいるけど、どこで手続きするの?」

「確か、お互いの国で手続き必要なんだよね?」

men&women「どうしたらいいんだろう…」

 

国際結婚の手続き

同じ国籍同士の結婚、例えば日本人同士の結婚であれば、結婚手続きは単純です。日本に対して婚姻届を提出するだけ(お住いの市区町村など)。

でも、国際結婚であれば、お互いの国に対して結婚手続きをすることが基本です。そうしなければ。結婚手続きをしていない側の国では、お二人は結婚していない・独身のままです。

ただし、国によっては「他国で成立した結婚は有効な結婚とみなす」として手続き不要なことも。また、最初に結婚する側での結婚手続きを創設的届出、後でする側での手続きを報告的届出と言います。そして、報告的届出の手続きは簡単になります。なぜなら、すでにお二人は他国で結婚しているから。

あくまでも「他の国で結婚したから登録しといてね」という意味合いが強いため、手続きは簡略化されているケースが多いです。

 

お互いの国で結婚手続きしないと、どうなる?

「そんなのどうでもいいよ〜とりあえず住んでいる国だけで結婚すればいいでしょ?」と思われる方もいらっしゃると思います。

確かに、お二人が住む国によっては、一方の国でだけでの結婚でも問題無いケースもあります。それは、「他国で成立した結婚は有効な結婚とみなす」と規定がある国だけ結婚手続きが不要になります。ちなみに、日本は結婚手続き必須の国ですので、外国で結婚した場合も必ず日本側へも結婚手続きをしてください。

どちらの国も結婚手続きが必須とされている場合、一方の国だけでの結婚では、ビザ(在留資格)が取れないなどの弊害が生じる可能性があります。

基本的にどの国でも、自国籍の人と結婚した人に対しては結婚ビザ・配偶者ビザを発行できますが、このビザはどちらの国でも結婚していることが発行の最低条件。何か別のビザを持っていれば一緒に住むことができますが、結婚して日本に住むのであれば配偶者ビザは取った方がいいです。就労制限が無くなりますし、永住ビザや帰化の近道でもあります。

という事ですので、2カ国で結婚手続きすることは必須と考えて下さい。

配偶者ビザのメリットについてはこちら

 

日本側の結婚手続きができる場所

日本人と外国人の方との結婚だと、日本側の結婚手続きができる場所は以下の3箇所です。

  1. 日本人の本籍のある市区町村役場
  2. 日本中全ての市区町村役場
  3. 海外にある日本国大使館/領事館

1の本籍のある市区町村役場が手続き的には最も簡単です。婚姻届と身分証明書と外国人の方の必要書類があればオッケー。

2の日本中全ての市区町村役場は、本籍地を除いだ全国という意味です。こちらは本籍のある役場ではありませんので、日本人の戸籍謄本も必要になります。

3の海外にある日本国大使館/領事館は、あくまで領事業務(婚姻届の受理など)を行なっていることが前提です。領事婚と呼ばれる婚姻手続きですが、届出場所が本籍地ではありませんので日本人の戸籍謄本が必要になります。そして、入籍したことが戸籍に反映されるまで1ヶ月以上かかります。

 

ベストな方法は国籍毎に違う

結婚成立のルールは国によって違います。例えばこんな感じ。

  • 日本のように書類を出すだけの国
  • 本物の神父の前で宣誓する国
  • 手続き開始から結婚完了まで1ヶ月以上かかる国

などなど。

書類提出だけで結婚できる日本は結婚手続きが楽な国と言えます。そのため、「他国で成立した結婚は有効な結婚とみなす」国の人との結婚であれば、日本側で結婚手続きをするのがベストのケースが多いですね。

ベストと言い切れないのは、相手国から結婚した方が書類の準備や結婚後の手続きが簡単な場合があるからです。

また、結婚手続時、必ず2人揃っていなければ手続きできない国もあります。お二人が住んでいる国の手続きであれば問題はあまり無いでしょうが、遠距離だと大変ですよね。お二人出席が必須の手続きは、お二人がその国に住んでいる場合以外は避けた方が無難です。

 

じゃあどうしたらいいの?一般論

国籍毎にベストな方法は違いますので、大使館/領事館や市役所に聞いたりして確認して下さい。

ここでは、あくまで一般論として結論付けますね。

 

ケース1 :日本国内で交際中

日本で日本側から結婚手続きすることがベストです(創設的届出)。

市区町村役場で日本側の結婚手続きを完了させ、お相手の外国人の方の国に対して手続き(報告的届出)をします。日本にある相手国の大使館/領事館が婚姻手続きを行っていれば日本国内で国際結婚を完了させることができます。

ただし、書類を揃えられないなどの理由で日本からの手続きが出来ないという例外は除きます。

 

ケース2 :海外で交際中で、そのままその国で結婚生活突入

その国で外国側から結婚手続き(創設的届出)した方がいいです。

その後の生活上での手続きが楽になるケースが多いです。
また、せっかく異国で結婚するわけですから、その国のルール・慣習に従った方がいいですよね?
周りも経験者だらけですので、きっと力になってくれます!

一方、その国での結婚手続き(創設的届出)が大変な場合は、その国にある日本国大使館/領事館から結婚(領事婚)した方がいいですね。

 

ケース3 :海外で交際中だが、結婚後は日本で生活する

日本に来てから日本側の結婚手続きをするという選択肢が現実的になりますね。
だって帰国するんだから。

でも、少なくとも相手の国側の結婚手続きは済ませておいて下さい。
日本にお二人が来てから2カ国で結婚手続きをするには時間が足りません!
なぜなら、外国人の方が日本滞在するにはビザが必要で、そして、ビザには滞在期間の制限があるからです。

結婚していない段階で取れるビザだと、最長で90日です(必ず90日で取れるとは限りません。また、ノービザ対象国出身者も最長90日です)。
一見、十分時間がありそうに見えますが、実はそうでもないんです。
日本人と結婚した外国人の方は配偶者ビザの申請が可能になりますが、日本に帰国後に申請してからビザが取れるまで、

  • 在留資格認定証明書交付申請で1ヶ月〜3ヶ月(基本的にはこちらの申請)
  • 在留資格変更許可申請で2週間〜1ヶ月(例外。できない人も多いです)

かかります(申請名の違いは別の機会に)。

つまり、当初の滞在期間内にビザが取れない可能性があるんです。
取れなければ、外国人の方は帰国するしかありません。
渡航費が無駄になっちゃいますね。

ということで、結論。

渡航費を無駄にするリスクを0にする為には、配偶者ビザを取ってから来日すること。したがって、ケース2と同じように海外で結婚完了させてください。
そして、結婚手続きが完了後に日本人配偶者が先に帰国して、在留資格認定証明書交付申請をします。もしくは、日本にいる専門家や両親に代理申請してもらいます。

無事に申請が通れば配偶者ビザの在留資格認定証明書が申請をした方に届きますので、それを海外に送ってもらいます。
あとは、お住いの国にある日本国大使館/領事館でビザを発給してもらって日本に行くだけです。

 

ケース4:日本と海外で遠距離恋愛中かつ交際期間が短いカップル 結婚後は日本で生活する

このタイトルだと、かなり言葉足らずです。

客観的に、
「本当の結婚なの?」
「騙されてない?」
と見えてしまう結婚をする方を取り上げさせていただいています。
交際期間が短いだけでなく、逢瀬の回数が極端に少ない人も対象です。
「本人の勝手でしょ」としたいところですが、そうはいかないのです。

実はこのケース、配偶者ビザが取れない可能性が高いのです。いわゆる、偽装結婚に見られる可能性が高いんですね。
日本人が騙されて、もしくは日本人も結託して結婚を偽装したのではないかと見られます。偽装結婚と見なされてしまうと日本で暮らすために必要な配偶者ビザが許可されません。

その対策として、お相手の国で外国から結婚手続き(創設的届出)をして下さい。
そして、日本人が実際に行ってください。なぜかというと、その方が客観的に結婚の真実味が増すからです。
詳しい理由は省きますが、偽装結婚の可能性が客観的に下がることになり、配偶者ビザが取りやすくなります。

 

ケース5 :日本と海外で遠距離恋愛中 海外で結婚生活を送る

ケース4の逆バージョンですね。でも、タイトルは短め。

なぜなら、日本人が結婚を機に海外に移住する場合は偽装結婚の確率がグッと下がるからです。
外国人が偽装結婚してまで日本に住みたい理由の多くは、好条件、高待遇の日本で働きたいからです。
そうした条件で日本で暮らせるとは限りませんが…

逆に、日本人はというとなりふり構わず他国に移住するという選択肢はほぼあり得ませんし、他国から信頼の厚い国です。
理由はご想像の通り。
ということで、それほどナーバスに考えなくても大丈夫です。

手続きが楽で、お金もかからない方法を探してもいいですね。

また、相手国の結婚手続きが煩雑で、日本人が1ヶ月以上滞在もしくは2回渡航しないと結婚できない国もあります。こうした場合は日本から結婚手続きをして、相手国側への結婚手続きを報告的届出にすることで手続きの簡略化を図れますね(結婚後の報告になるので儀式などの手続きが不要になるため)。

ただし、基本的には相手国に行って、相手国から結婚手続きをすることをお勧めします日本側へは大使館/領事館で手続きをしましょう。その後の手続きが楽になるケースも多いですし、今後、その国で長く生活するわけですから、その国特有のセレモニーがあるのであれば体験しておくべきです。

 

ケース6 :日本と海外で遠距離恋愛中で、どう見てもカップル 日本で結婚生活を送る

偽装結婚の疑いはない訳ですから、普通の交際形態(交際期間が長い、頻繁に会っているなど)であれば何も気にする必要はありません。

基本的には、日本で日本から結婚手続きをした方がいいです。
日本の結婚手続きは他国と比べると簡単なのがその理由です。

 

終わりに

国際結婚の手続きは煩雑で、しかも国籍ごとに異なりますので大変です。しかも、法改正があったり運用の変更があったりしますので、その国の専門家でなければ明確な答えは正直出せません。私もいろいろと調べてはいますが、正確な情報の入手も難しく、お客様からのお問い合わせにも応えられないケースが多いです。

間違った情報をお伝えしてしまう可能性もありますので、基本的にはお客様自身で大使館等にお問い合わせいただくようにしています。

とは言え、手続きにはある程度の傾向・流れがあります。いきなり手続き方法を役場等に確認したとしても言っている意味が分からないということも多いので、国際結婚をされる方自身がある程度の理解をされている必要があると思います。

今回は国際結婚の手続きの起点についてまとめましたが、一般的な流れについてはこちらの記事も参考にしてくださいね。