帰化ってどういうこと?

帰化とは・・・国籍を得てその国民になること

日本においては、外国人が日本人になることを帰化というわけです。そして、今までの国籍を捨てることになります。

その代わりに日本人になれますので、今まであった在留カードやビザの更新が無くなります。参政権もありますし、社会保障サービスも日本人と全く同じようにに受けることができます。

また、帰化したい場合、申請をして許可されなければなりません。法務大臣が許可を出すと官報に告示され、その告示日より日本人となります。ちなみに官報とは国(内閣府)が発行する機関誌で、法律・政令・条約に関する記事や会社の決算に関する事項などが掲載されます。印刷物はもちろんインターネットでも閲覧できます。

帰化が許可されると、帰化した人の①住所 ②氏名 ③生年月日 が官報に掲載されるんです。この時点で晴れて日本人に帰化できたことになります

よく似ている「帰化」と「永住」を比較してみました

日本に長期滞在する外国人はビザ(在留資格)を持って日本に住んでいますが、ビザの更新や変更リスクを抱えています。そしてさらにはビザ取消のリスクも…そこで、将来的には永住権を得るか、帰化するか悩まれる方も大勢いらっしゃいます。

ここでは帰化と永住権(永住ビザ)を比較してみます。

【帰化と永住の比較表】

帰化 永住ビザ
国籍 日本国籍になる 外国籍のまま
ビザ(在留資格)の更新 無し 不要
在留カード 無し 必要
再入国許可 不要 必要
職業 自由 自由(ただし、公務員は条件あり)
選挙権・被選挙権 あり なし
申請の条件(居住条件) 原則5年 原則10年

国籍

帰化すれば日本人になりますので、日本人と全く同じ扱いになります。パスポートも日本のものを持つことができるようになります。

永住ビザはあくまでも外国人ですので、パスポートは母国のままです。各公的サービス・民間サービスも外国人として扱われることになりますので外国人というハンデはしっかりと残ることになります。

ビザ(在留資格)の更新

帰化はありません。

永住ビザもビザの更新は不要になります。だって永住権を得たわけですから。ただし、外国人関係を扱う入管法の対象範囲のままですので、ビザの取消要件は残ります。つまり、犯罪等を犯せば永住ビザを取り消しされて国外に退去しなくてはならないリスクは残っています。

在留カード

帰化すれば外国人ではありませんので返納することになります。在留カードを身分証として重宝されていた方は少し困るかもしれませんね。

永住ビザは在留カードの携帯は引き続き義務となります。また、ビザの更新は不要になったものの、在留カードの更新は必要です。7年ごとに更新しなくてはなりません。

再入国許可(みなし再入国許可も含む)

帰化すればこの概念は消滅します。日本人は日本の出入国はパスポートさえあれば自由に日本ー海外を行き来できます。

永住ビザはというと、帰化と同様に再入国許可は不要と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、再入国許可は引き続き必要になります。また、再入国許可の有効期間もその他のビザと同じです(特別永住者のみ優遇あり)。

職業

どちらも自由です。

外国人は日本での就労制限に苦労していますので、助かりますよね。

ただし、永住ビザの場合は公務員の一部が不可です。裁判で判例が出ているのですが、外国人は「国の統治作用に直接関与する公務員」、「公権力行使等地方公務員(いわゆる管理職)」には就くことができないとされています。永住ビザには参政権が無いことからも理解いただけると思います。

選挙権・被選挙権

帰化は日本人ですので選挙権・被選挙権を得ることになります。

永住ビザの場合は無いままですね。地方議員や国会議員、知事などにはなれません。

申請の条件(居住条件)

外国人が何年住んだら申請できるか、という条件です。

帰化の通常の居住条件は「5年」であるところ、永住ビザは「10年」です。さらに永住ビザの場合は現在の在留期間が最長であること(ほとんどのビザは在留期間5年が最長。ただし、現在は在留期間3年でもOKです)が必要です。そのため、帰化の方が永住ビザよりも早く申請できる場合の方が多いと思います。

※帰化・永住ビザ共に日本人と結婚すると期間短縮されるなどの期間短縮条件あり。

番外編

帰化は日本人になることですので、犯罪や法律違反を犯した場合でも日本にいれます。ただし、日本の刑務所でしょうが…

永住ビザの場合はどうかというと、やはり外国人には違いありません。そのため、外国人専用の収容施設に入れられたり、出国を促されたり、強制的に国に帰らされる可能性があります(退去強制)。

帰化申請には3種類あり!

外国人の背景によって、帰化には3つの種類があります。

種類によって帰化の条件や必要な書類が異なります。

【帰化の種類一覧】

種類 該当例
①普通帰化 外国で生まれて留学生として来日、卒業後に日本で就職した場合・外国で生まれて就職のため来日した場合  など
②簡易帰化 特別永住者(在日韓国人・朝鮮人)の方・日本人と結婚している方・両親が帰化して日本国籍を取得している方 など
③大帰化 日本に対して特別に功労実績のある外国人※これまで許可された前例なし

「普通」と「簡易」がありますが、申請が簡単/難しいという意味ではありません。申請できる条件が緩和されているということです。帰化申請の大変さはほとんど変わりません。

大帰化、いつか扱ってみたいですね(´・ω・`)

まずは帰化条件をクリアしましょう

帰化するためには、いくつもの条件を満たす必要があります。

この記事をご覧の方々は、帰化を目指す方々だと思いますので、来るべき日に備えて条件を満たせるよう準備・努力しましょう。

①普通帰化の条件

(1)住所条件:引き続き5年以上日本に住んでいること

  • 正当なビザ(在留資格)を有していること
  • 途中で長期にわたり日本を離れていないこと(目安は半年程度)
  • 留学ビザで来日した方は、就労ビザに切り替えてから3年程度経過していること

(2)能力条件:年齢が20歳以上であること。かつ,本国でも成人の年齢に達していること

  • 社会人である必要はありません。学生でもOKです。
  • 20歳に達していない未成年であっても親と同時申請であれば申請できます!

(3)素行条件:犯罪歴がない、納税状況に問題がない、暴力団と密接な関係がないなど

(4)生計条件:安定した収入があること

  • 申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の親族によって安定した生活ができればOKです。その場合、配偶者や親族の収入証明書などを提出する必要が出てきます。
  • 正社員である必要はなく、契約社員やアルバイトなどでも大丈夫。ただし、ある程度の収入が必要になります。
  • 給与明細や源泉徴収票など、客観的に収入を証明できる書類等が必要となります。
  • 生活保護を受けている場合は難しいです。ですが、状況次第では許可されることも。まずは法務局に申請可能かを確認することをオススメします。

(5)重国籍防止条件:原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失すること

(6)憲法遵守条件:日本国政府を暴力で破壊すること等を計画、主張等したことが無いこと

(7)日本語能力:日本語の読み・書き・会話など小学校低学年レベルの日本語能力があること

  • 申請受付後に面接を受けることになりますが、日本語能力が十分でない場合などは日本語のテスト(筆記試験)を受けなければならない場合があります。

②簡易帰化の条件

通常は、上記①普通帰化の条件で説明した(1)~(7)の条件を満たす必要があります。

ただし、日本人と結婚するなど、日本や日本人と縁が深い方は以下の「簡易帰化」に該当する場合があり、帰化の条件が緩和されます。

状況 緩和される条件
もともと日本国籍だった(現在は別の国籍)方の子どもで、引き続き3年以上日本に住んでいる(注)養子は除く ◆住所条件:5年以上日本に住んでいなくても、現に日本に住所を有していれば帰化申請できます!
日本で生まれ引き続き3年以上日本に住んでいる
日本で生まれ、実の両親(または父・母のどちらか)も日本で生まれた(注)養父母は除く
引き続き10年以上日本に居所を有している
日本人の配偶者で、引き続き3年以上日本に住んでいる(注)婚姻が日本の法律上有効に成立していることが必要です。内縁の配偶者には簡易帰化の条件は適用されません。 ◆住所条件:5年以上日本に住んでいなくても帰化申請できます!

◆能力条件:20歳未満でもOKです!

日本人の配偶者で、婚姻後3年経過しており、かつ、引き続き1年以上日本に住んでいる
日本人の子どもで、現に日本に住んでいる(注)養子は除く ◆住所条件:5年以上日本に住んでいなくても申請できます!

◆能力条件:20歳未満でもOK!

◆生計条件:安定した生活基盤を持っていることは問われません!

 

日本人の養子又は特別養子で、引き続き1年以上日本に住み、養子縁組時に本国法で未成年だった(注)

・養子縁組が日本の法律上有効に成立し、現に養親子関係が継続していること

・養子縁組後に養親が日本国籍を取得した場合にも適用されます。

日本で生まれ、かつ、出生時から無国籍で、出生時から引き続き3年以上日本に住んでいる
元日本人で現に日本に住んでいる(注)日本へ帰化した後に、日本国籍を喪失した者には適用されません。

日本と縁が深い方は、上記のいずれかに該当するか確認してみましょう。当てはまる方は日本に住んで3年以下であったり、もしくは即座に帰化申請することが可能です。

住所条件が満たされれば、そのほかの条件(収入や犯罪歴や納税状況、日本語能力)を満たすことができるかが焦点となります。

帰化申請方法を確認してスケジュールを立てましょう!

帰化許可申請の概要

帰化許可申請の概要は以下の通りです。

  • 提出時期:申請準備が整い次第いつでも
  • 申請手数料:無料
  • 提出方法:本人が法務局に出向いて申請書を提出する

※帰化しようとする人が15歳未満のときは法定代理人(親権者、後見人など)が申請

また、帰化申請では大量の書類を準備しなくてはなりません。詳しくはこちらのページをご確認くださいね。

帰化申請の全体スケジュール

帰化申請から結果が出るまでの手続きの流れは以下の通りです。まあ、1年掛かりの申請ですね。

申請から許可が出るまでの期間はご本人の状況や書類の内容などによって異なりますので、以下のスケジュールは目安としてお考えください。

①帰化申請準備(書類取得、作成など)

↓ 目安:1~数か月

②帰化申請(ご本人に法務局に出向いていただきます。行政書士による代理はできません。)

↓ 目安:2~3カ月

③面接

↓ 目安:6カ月~1年

④許可!

帰化申請については姉妹サイトで詳しく解説しています。ご依頼をご検討中の方もぜひご覧ください。