日本に住み続けようと考えた場合、永住権を取るか、それとも帰化するか悩みどころですね。
日本に帰化するということは外国籍を放棄することになりますので、祖国に行ったり住んだりするためには外国側でビザが必要になるなど、これまで祖国側で普通にできていたことができなくなります。その代わり、日本で住むための在留資格の更新や出国の手続きが無くなったり、参政権を得るなどのメリットも。
一方、永住権を取れば、在留資格の更新が無くなる、ローンや融資を受けやすくなるなどメリットだらけです。デメリットはありません。とはいえ、日本国から見ればこれまで通り「外国人」のままですので、扱いが大きく変わるわけではありません。
帰化と永住ビザの比較
項目 | 帰化 | 永住 |
①国籍 | 日本国籍(2重国籍はできないよ) | 外国人のまま |
②戸籍 | ○ | 作成不可。日本人と結婚しても自分の欄は作成されず、配偶者として名前が載るだけ |
③ビザの更新 | 無し | 無し |
④在留カード | 無し | 必要(有効期限があります。7年に1度の更新が必要) |
⑤公務員 | ○ | 可能な職種がある。ただし、管理職になれないなどの制限あり |
⑥選挙権 | ○(被選挙権も○) | × (外国人には参政権無し) |
⑦パスポート | 日本のパスポートを持つことになるので、海外での有事の際、日本政府による庇護がある | 外国人のまま |
⑧再入国許可 | 不要になる | 必要(永住権を取っても変わらない) |
⑨強制退去リスク | 無し | 退去強制制度の適用あり |
⑩ローン・融資 | 日本人と同等 | 他のビザより優遇 |
①国籍
帰化をするときに、元の国の国籍を放棄する手続きがありますので、二重国籍にはなりません。国籍は個々のアイデンティティに深くかかわることですが、どのように捉えるかは人それぞれ。覚悟を持って帰化される方もいれば、フランクに帰化される方もいたりとまちまちです。
永住ビザを取るだけであれば、国籍はそのままです。「母国の国籍は捨てたくない」という方は永住権を狙ってくださいね。
②戸籍
日常生活を送るにあたって、戸籍を意識することは日本人でもまずありません。
意識するとすれば、それは子供がいる/生まれた時ですね。「同じ戸籍に入りたい」「同じ戸籍に入れておきたい」という要望を叶えるためには帰化しかありません。
一方、永住ビザを取ったとしても戸籍の取り扱いは従来通り変更ありません。つまり、外国人は戸籍に入れません。詳しくはこちら。
③ビザの更新
帰化すれば日本人になりますので、ビザそのものがありません。
永住ビザは、永住権を取ったということです。つまり、日本に住むための審査が今後無くなるということですので、ビザの更新手続きは無くなることになります。
④在留カードの更新
帰化は言わずもがな、ありません。日本字は在留カードが無いんですもん。
永住ビザは、永住権を得たものの外国人ですので在留カードが引き続き必要となります。また、免許証などと同じように在留カードそのものには有効期限があります。有効期限が切れる前に在留カードの更新手続きが必要です。
もっとも、これまでの在留期間の更新手続きのような審査が無くなりますので、手続きに怯える必要はありませんよ!
⑤公務員
公務員って、日本人しかなれないイメージがありませんか?
実は、一部の職種を除いて外国人の方でも公務員になれることができます。と言っても公務員用の就労ビザはありませんので、仕事内容に応じた就労ビザや配偶者ビザ、定住者ビザなどの身分系ビザ、もしくは永住ビザを持っている必要があります。
また、外国人不可の公務員は、国家公務員や公権力の行使をする警察官、自衛官などが挙げられます。こうした職種は「国家を担う」「国家権力を行使する」ということで、日本人しか就くことができません(一部雇用形態などで例外あり)。
ということで、帰化して日本人になればどの公務員にもなれる道が開かれることになります。ただし、職種によっては元の国籍や経歴によっては応募はできるものの選考ではじかれる可能性が高いと思われます。また、応募要件が30歳までなど若めの年齢制限がありますので、これらの職業を目指すのであれば早めに帰化しなくてはなりません。
⑥選挙権
帰化すれば投票することもできるようになりますし、立候補して選挙に出ることも可能です。
公職選挙法 第九条 日本国民で年齢満十八年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する。 第十条 日本国民は、左の各号の区分に従い、それぞれ当該議員又は長の被選挙権を有する。 |
法律を見ると、選挙権・被選挙権共に「日本国民」となっていますね。知事や地方議員も同じように「日本国民」となっています。
また、永住ビザは残念ながら選挙権はありません。ただし、一部の自治体では永住ビザを持っているなどの条件を満たせば、選挙ではなく住民投票に参加できる自治体が一部あります。
⑦パスポート
帰化すれば、日本国のパスポートを持つことになります。日本のパスポートは強いので、以前よりも色々な国に行きやすくなるかもしれません。また、帰化された方も日本人ですので、海外でテロや災害が起こった際には日本国から様々な支援を受けることができます。よくニュースで「日本人はいませんでした」と言いますよね。これにカウントされるようになります。
永住ビザはどうかというと、日本のパスポートを持てませんので全く変わりありません。
⑧再入国許可
帰化すればこの制度を利用することはありません。日本人は当然に日本に入国できるからです。
永住ビザはこれまでと同じ扱いを受けます。特に優遇措置はありません。また、外国人の再入国許可で異なる扱いを受けるのは特別永住者のみとなります。
再入国許可について詳しくはこちら。
⑨強制退去のリスク
帰化した場合、強制退去させる先がありません。だって日本人だもの。ということで、帰化の場合は強制退去無し。逮捕されても刑務所行きです。
永住ビザの場合は、その他のビザの方よりもリスクが低くなります。法律を見れば出入国管理及び難民認定法の第50条に永住者ビザを持っていれば元日本人と同等の扱いを受けることが明記されているんです。どういう扱いというと、通常のビザを所持する外国人であれば退去強制されることでも、元々日本人だった人や永住権を持っている外国人の方は退去強制されずに日本にとどまり続けることができる可能性があるということです。
⑩ローン・融資
外国人に対するはローンや融資は銀行からするとリスクです。なぜなら国外に出てしまって行方が分からなくなるなど返済されないリスクが高いから。また、外国人の方は在留期間がありますので、意図的ではなくとも国外に出なければならない状況、もしくは日本に戻ってこれない状況もあります。
こうしたことを踏まえると分かり易いと思います。
帰化された方は基本的に日本人と同じようにローンや融資を組めることになります。日本国籍を持っていないというハンデは無くなります。ただし、
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