帰化申請の許可/不許可状況
帰化申請の許可率。気になるところですよね。
下表は、法務省発表の帰化申請者数の統計です。
【帰化許可申請者数等の推移(出典:法務省民事局)】
帰化申請者数 | 許可者数 | 不許可者数 | |
平成23 | 11,008 | 10,359 | 279 |
平成24 | 9,940 | 10,622 | 457 |
平成25 | 10,119 | 8,646 | 332 |
平成26 | 11,377 | 9,277 | 509 |
平成27 | 12,442 | 9,469 | 603 |
許可・不許可数が申請者数より少ない年がありますが、これは帰化申請は許可されるまで時間がかかるため、申請した年と結果が出た年が違うことが多いことが要因です。
そのせいで正確な確率は分からないのですが、とりあえずこの5年間のトータルの数字で計算してみましょう。
- 申請者数 5年間合計 54,886人
- 許可者数 5年間合計 48,373人 許可率約88%
- 不許可者数 5年間合計 2,180人 不許可率約4%
4,333人、約8%の人はどこにいったんだ~!やはり正確な数字は出ませんね(;^ω^)
でも、申請と許可/不許可の年が異なると言っても8%も差が出るはずがありませんよね。ではどこに行ったのか?
答えは第3の選択、申請の取り下げです。
申請受付後、審査が始まり面談も実施されるのですが、不許可の可能性が高いと判断された時点で法務局より取り下げを打診されます。これ以上審査しても労力の無駄なので、止めときましょうよ、ということですね。これだと許可/不許可の結論は法務局からは出ません。
そのため、許可者数の数で見た方が良いということになります。ということで、本申請をした場合の実質の許可率は約88%となります。
しかし、まだ結論を出すには尚早です。「本申請をした場合」と但し書きをさせていただきました。なぜかというと、本申請=法務局に書類一式を提出する前に、申請をするのをやめる人が多数いるからです。帰化申請は申請が受理される前に法務局で事前面談をするのですが、その時に帰化条件を満たしていないことが発覚して本申請を断る=申請を受理されないこともかなりいらっしゃるからです。
明確な数字は持ち合わせていませんが、おそらく帰化申請を検討されている2~3割の方は、帰化条件を満たしておらず申請を受理されていないと思います。かなりの高確率ですね。仮に帰化申請を検討されている方の3割が条件を満たしていないのであれば、申請不受理も許可率に組み込んだ場合は帰化申請許可率は約6割となります。
以上のことから分かりますように、帰化申請は必要書類さえ集めれば簡単に許可されるものではなく、公表されている許可率通りの簡単な手続きではないということです。
では、何が原因で許可されないのかな??と思った方は、このまま読み進めてみてください!
帰化申請しても不許可になる可能性があるケース
申請内容の虚偽(これはあかん)!
帰化申請のときに提出した書類の内容は、審査官によって入念にチェックされます。ウラをとるわけですね。これまでに入国管理局に提出した在留資格(ビザ)関連の書類も見られますよ。
書類内容に虚偽があることが判明した場合や、過去の申請内容と一致しない場合などは不許可になる可能性が非常に高いです。
ビザ申請もそうですが、帰化申請も絶対に嘘をついてはダメです!犯罪歴や自己破産歴、職務経歴などに後ろめたいことがあっても正直に申告してくださいね。全て調べ上げられてしまうと思ってください。
行政書士などの専門家に依頼するときも、必ず正直にお話しするようにしてください。
状況的に許可される人であったとしても、無用な嘘のために不許可になることもありますので注意してくださいね!
収入や貯金に問題あり!
帰化の条件の1つに「生計条件:安定した収入があること」があります。これを証明しなければなりません。
ご本人に安定収入や十分な貯金があれば一番いいですけど、ご本人に限って求められている条件ではないのでご安心を。配偶者や親族などが支援してくれる場合でももちろんOKですので、これを証明することができれば大丈夫です。
また、「年収〇〇円以上でなければならない」というような明確な基準はありません。ご本人、その家庭の収支バランスが重要になります。そのため、たとえ収入が低くても支出が少なく安定した生活ができていれば大丈夫です。貯金などの資産も考慮されますね。
ちなみに、転職回数が多い場合や、転職して間もない場合、転職して給与条件などが下がった場合などは「安定していない」として審査に影響する可能性があります。
借金がある!
クレジットカードや銀行、消費者金融などからローンや借金は無いでしょうか?返済できる見込みが薄いと判断されると...不許可になる可能性があります。
帰化が許可されるためには「ローン/借金があっても問題ありません」と証明しなければなりません。返済計画を立てたり、返済をしながらも安定した生活ができることを証明することになりますね。
税金の滞納!
納税は日本国民の義務です。ですので、日本人になりたい外国人にも当然求められます。
税金や年金の未納がある場合は注意してくださいね。もし未納があれば遡って納付しなければなりません。税金であれば1~3年、年金であれば1年間の未納分を納付しなければ帰化申請は許可されません。
法律違反や交通違反!
法律違反や交通違反があれば帰化の審査に影響します。
軽微な交通違反が5年間で数回であればあまり影響はありませんが、窃盗・強盗・器物損壊などの罪で処罰された経験があったり、それから年数があまり経ってない場合は不許可になる可能性が高くなります。
犯罪の度合いにもよりますが、罪を償ってからある程度の年数が経過すれば帰化も許可される可能性が出てきます。もし犯罪を犯してしまったら帰化申請を遅らせたり、専門家に相談してくださいね。
年間の海外渡航日数が多い
1年間のうち約180日以上日本を離れたことがある場合、一度に3か月以上日本を離れたことがある場合は注意が必要です。帰化条件には日本在留歴が一定数必要なのですが、日本を離れてしまうと日本在留歴がリセットされてしまうことがあるからです。
仕事柄、頻繁に海外出張される方や、出産のために母国に帰国していた方は、一度専門家に相談してみましょう。
暴力団関係者と関わりがある
ご本人が暴力団構成員である、過去に所属していた、現在交流している、などは不許可になる可能性が非常に高いです。
帰化申請提出後の状況に問題発生!
帰化申請時には帰化の条件を満たしていたのに、申請後に申請内容と状況が変わってしまった方ですね。
生活状況が変わったり、外国に長期間行ってしまった、犯罪を起こしてしまった場合などは不許可になる可能性があります。
申請後も気をつけてくださいね~!
まとめ
不許可になるケースは様々ですが、それらをカバーして申請することは可能です。
そして、カバーする手段は様々です。条件を満たすために努力することはもちろんですが、「○○の理由で条件を満たせます」と申請側から提示することでも可能です。
そのため「これはちょっとヤバそうかな・・・」と思うことも、正直に法務局や行政書士に話してくださいね。
また、法務局では申請前の準備段階で書類をチェックしてくれます。冒頭の許可率についての部分でも少し触れましたが、法務局から「申請しても不許可になるからやめときましょう」と促されることがあるんです。逆に言うと、このチェックで問題なければ許可の可能性が高いと言えます。
帰化申請はかなり骨の折れる申請ですが、申請するまでに色々と努力や対策ができますし、許可される感触を確かめることができる申請でもあります。大変ですが、ひとつひとつクリアしていきましょう!