※この記事は2019年5月31日の永住ビザのガイドライン改定を加味して執筆しています。

永住ビザ(在留資格:永住者)には大きく3つの要件が課せられています。

  1. 素行が善良であること
  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
  3. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

このうち「3」についてはもう少し細分化されているのですが、法務省が発表している永住許可のガイドラインには 下記の文言があります。

公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。

ずっと会社員の方は給料天引きで支払っている場合がほとんどなので問題にならないことが多いのですが、それ以外の人は要注意です。

この記事では年金と健康保険にフォーカスしています。納税については下記記事で詳しく解説しますね。

年金と健康保険は日本居住者に加入義務があります

「年金加入は日本国民の義務」だなんて言い方されますが、実は日本に住んでいる外国人も加入義務があります。もう少し正確に言えば、在留カードを持っている外国人は全て加入義務対象となります。つまり短期の旅行者以外は対象ということです(観光客には在留カードは交付されません)。

健康保険も同様です。

日本で永住権を取ろうと考えている方は、必ず年金と健康保険に加入してください。

会社員であれば、厚生年金と会社手配の健康保険に加入することが一般的です。

それ以外の方は、自分で国民年金や国民健康保険に加入しなければなりません。

また、結婚した場合は配偶者の扶養に入る、または配偶者の扶養に入れてあげるという方法が取れます。被扶養者の収入次第ですが、年金も健康保険も被扶養者は払わなくて済むようになりますので、結婚した場合は会社の人に相談してみて下さいね。

年金も健康保険も2年以上の加入期間が必要です

永住ビザを取るためには、年金も健康保険も2年以上の加入期間が必要です。そして、それは累計2年ではなく直近2年間という意味です。

つまり、直近2年間の間に未加入の時期があると×ということです。

特にご注意いただきたいのは無職の期間がある方です。無職になれば自分で国民年金と国民健康保険の手続きが必要となりますので、忘れずに行って下さいね。

注意点

年金も健康保険も加入しているだけでは不十分で、これらの義務を適正に履行していることが求められているからです。

ここでいう適正は「納期」です。国民年金加入者や国民健康保険加入者はその支払いの領収書の提出を求められるのですが、領収書を確認することできちんと支払期限が守られているかをチェックされるということになります。

じつはこの領収書、求められるようになったのは2019年7月からです。まだ運用されてから期間も間もなく、また、入管で質問しても「総合的に判断します」という通り一辺倒の回答しかもらえていません。そのため、はっきりとは言えませんが、軽微な遅延であれば許してもらえるのではないかと弊所は考えています。

国民年金・国民健康保険加入者の注意点

上記で触れました通り、永住許可申請時に領収書の提出が必要になりますので必ず残しておきましょう

もし領収書が無ければ、その理由を記載した理由書を提出することになりますが、あまりお勧めしません。理由書は自ら申告するもので、信憑性に欠けるからです。そのため許可率を下げることに繋がります。

自営業者の注意点

会社が社会保険適用事業者に当てはまる場合は、必ず社会保険に加入してください。「社会保険なんか加入しなくても大丈夫」という風潮が自営業者の中であったことは知っていますが、時代は変わってきています。また、こと永住に関して言えば必須となっています。

これまで加入していなかった場合は、すぐに加入してくださいね。そして加入してから2年後に申請しましょう。

年金・健康保険に関する申請書類

以下、法務省ホームページからの抜粋となります。

「申請人又は申請人を扶養する方の公的年金及び公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料」の提出が必要です。

※公的年金の保険料の納付状況を証明する資料,公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料については,令和元年7月1日から申請時に提出を求めていますが,令和元年6月30日までに申請された方についても,審査の過程において求める場合がありますので,あらかじめ御承知おき願います。

※ 過去2年間に加入した公的年金制度及び公的医療保険制度に応じ,次のうち該当する資料を提出してください(複数の公的年金制度及び公的医療保険制度に加入していた場合は,それぞれの制度に係る資料が必要です。)。

※ 日本人,永住者及び特別永住者の実子等の場合は,直近1年分の資料を提出してください。

年金に関する申請書類

直近(過去2年間)の公的年金の保険料の納付状況を証明する資料

次のア~ウのうち,ア又はイの資料及びウの資料を提出してください。

ア 「ねんきん定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの)

※ 日本年金機構から封書でねんきん定期便が送付されている方(35,45,59歳の誕生月)は,同封されている書類のうち〈目次〉において,『〇ねんきん定期便(必ずご確認ください)』欄の枠内に記載されている全ての書類を提出してください。

※ なお,毎年送付されるハガキ形式のねんきん定期便もありますが,全ての期間が確認できないため提出書類としては御使用いただけません。

※ 「ねんきん定期便」(全期間の年金記録情報が表示されているもの)は,日本年金機構の以下の問合せ先に御連絡いただくことにより交付申請を行うことができます。交付申請の際は,『全期間分(封書)を交付希望』とお伝えください(申請から交付までに2か月程度を要します。)。

イ ねんきんネットの「各月の年金記録」の印刷画面

※ 「ねんきんネット」は日本語のみ対応しており,外国語には対応していませんのでその旨御留意ください。

※ 日本年金機構のホームページから,ねんきんネットに登録することができます。なお,登録手続には最大5営業日程度かかる場合があります。

※ 申請時の直近2年間において,国民年金の被保険者であった期間がある方は,「各月の年金記録」の中にある,「国民年金の年金記録(各月の納付状況)」の印刷画面も併せて提出してください。

ウ 国民年金保険料領収証書(写し)

※ 直近2年間において国民年金に加入していた期間がある方は,当該期間分の領収証書(写し)を全て提出してください。提出が困難な方は,その理由を記載した理由書を提出してください。

※ 直近2年間の全ての期間において国民年金に加入していた方で,直近2年間(24月分)の国民年金保険料領収証書(写し)を提出できる場合は,上記ア又はイの資料を提出していただく必要はありません。 

健康保険に関する申請書類

直近(過去2年間)の公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料

ア 国民健康保険被保険者証(写し)

※ 現在,国民健康保険に加入している方は提出してください。

イ 健康保険被保険者証(写し)

※ 現在,健康保険に加入している方は提出してください。

ウ 国民健康保険料(税)納付証明書  

※ 直近2年間において国民健康保険に加入していた期間がある方は,提出してください。

エ 国民健康保険料(税)領収証書(写し)

※ 直近2年間において国民健康保険に加入していた期間がある方は,当該期間分の領収証書(写し)を全て提出してください。提出が困難な方は,その理由を記載した理由書を提出してください。

申請される方が申請時に社会保険適用事業所の事業主である場合

申請時に,社会保険適用事業所の事業主である方は,上記の「公的年金の保険料の納付状況を証明する資料」及び「公的医療保険の保険料の納付状況を証明する資料」に加え,直近2年間のうち当該事業所で事業主である期間について,事業所における公的年金及び公的医療保険の保険料に係る次の資料ア及びイのいずれかを提出してください。

※ 健康保険組合管掌の適用事業所であって,アの保険料領収証書(写し)の提供が困難である場合は,日本年金機構が発行するイの社会保険料納入証明書又は社会保険料納入確認(申請)書に加え,管轄の健康保険組合が発行する健康保険組合管掌健康保険料の納付状況を証明する書類を提出してください。

ア 健康保険・厚生年金保険料領収証書(写し)

※ 申請される方(事業主)が保管されている直近2年間のうち事業主である期間における,全ての期間の領収証書(写し)を提出してください。全ての期間について領収証書(写し)が提出できない方は,下記イを提出してください。

イ 社会保険料納入証明書又は社会保険料納入確認(申請)書(いずれも未納の有無を証明・確認する場合)

※ 申請書の様式や申請方法等は日本年金機構ホームページを御参照ください。社会保険料納入証明書については,以下のURLから,「1.社会保険料納入証明書」の申請様式「社会保険料納入証明申請書」により,出力区分「一括用のみ」及び証明範囲区分「延滞金含む」を選択して申請してください。
また,「社会保険料納入確認(申請)書」については,以下のURLから,「2.社会保険料納入確認書」のうち,申請様式「社会保険料納入確認(申請)書(未納の有無を確認する場合)」により申請してください。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyonushi/sonota/20140311.html

※ 日本年金機構ホームページトップ画面右上の「サイトマップ」>「年金について(しくみや手続き全般)」>「厚生年金保険」欄の「事業主向け情報」>「事業主向け情報(その他)」>「納入証明書・納入確認書」からアクセスできます。