日本の永住権を与えられる在留資格:永住者。通称:永住ビザと呼ばれ、永住権を得られる以外にもメリットがあります。
また、永住ビザをとっても変わらないこともあります。
ここでは、永住ビザのメリットをお伝えすること、永住ビザ取得後も変わらないことについて焦点をあててご説明しますね。
永住ビザ(在留資格:永住者)の8つのメリット
永住ビザのメリットは主に次の通り。
- 永住権の獲得(在留期間が無期限に)
- 就労の自由(就労制限の撤廃)
- 起業が簡単
- ローンや銀行の融資が受けやすくなる
- 離婚してもビザの心配なし
- 配偶者や子供を有利なビザへ変更可能
- 退去強制されない可能性UP
- 「~に関する届出」が不要に
メリット① 永住権の獲得(在留期間が無期限に)
「永住ビザ」と呼ばれる通り、日本の永住権を得ることができます。具体的には「在留期間」が通常だと1年や3年、5年になりますが、永住ビザは「無期限」になります。
永住ビザへ変更後は在留期間更新許可は一切不要になりますので、もうビザの延長手続きは不要になります。
また、永住権を得られるというメリットは、不法滞在のリスクが無くなるという意味にもなります。ビザの更新手続きを忘れてしまって不法滞在になってしまう方も少なからずいらっしゃいますが、そのリスクが無くなるということですね。
メリット② 就労の自由(就労制限の撤廃)
永住ビザは仕事の制限がありません。違法行為にならない限り、どんな仕事でも可能です。
また、資格外活動許可をもってバイトなどをすると、1週間に28時間しか働けないという、風営関連の仕事に就けないという制限がありますが、永住ビザには当然ありません。週40時間勤務はもちろんOK、残業もOK、夜のお店で働くことも問題ありません。
就労ビザだと仕事内容が変わってしまうとビザを失うリスクがありますし、転職先も限られます。しかし、永住ビザを持っていれば、異動も転職も日本人と同じように自由になりますので、非常に大きなメリットと言えますね。
失業して無職になっても安心です。
メリット③ 起業が簡単
社長用のビザは経営・管理ビザ(在留資格:経営・管理)ですが、このビザを取るためには、500万円以上の出資や事務所要件(自宅では起業できない)などの条件をクリアしなくてはなりません。
しかし、永住ビザであれば「就労の自由」があります。日本人と同じように、資本金がわずかでも、自宅でも、個人事業主という形でも起業可能。
ビザについて悩む必要は無く、事業に専念できますね。
メリット④ ローンや銀行の融資が受けやすくなる
永住ビザはお金を借りやすくなります。住宅ローンや車ローンはもちろん、融資も受けやすくなるんです。
金融機関からすれば、お金を貸す相手に国外に逃げられると困るもの。他のビザではビザの期限が切れたり、失業や離婚などでビザを失って帰国されるというリスクがありますが、永住ビザを持っている人であればこれらのリスクは無し。他のビザと比べて安心してお金を貸せるということです。
メリット⑤ 離婚してもビザの心配なし
在留資格:日本人の配偶者等、永住者の配偶者等などの配偶者ビザの方や家族滞在ビザをお持ちの「配偶者」の方は、離婚すると他のビザへ変更しなければなりません。
他のビザだと離婚という大変な時にビザの心配もしなくてはなりませんが、永住ビザは離婚してもビザの心配は無用です。
メリット⑥ 配偶者や子供を有利なビザへ変更可能
永住ビザ所持者の配偶者や子供は配偶者ビザへ変更が可能です(在留資格:永住者の配偶者等)。そして、就労制限が無くなるというメリットを得ることができます。
留学ビザや家族滞在ビザだと資格外活動許可は必須ですし、週28時間の時間制限もあります。
しかし、 永住者の配偶者ビザも就労制限の無いビザですので、資格外活動許可は不要で、時間制限もありません。
メリット⑦ 退去強制されない可能性UP
外国人に対する処罰の1つに「退去強制」があり、永住権を持っていても犯罪を犯してしまうと退去強制される可能性があります。
ただし、永住ビザを持っていると在留特別許可が認められやすくなります。在留特別許可が認められれば退去強制されず、引き続き日本に住み続けることができます。
メリット⑧ 「~に関する届出」が不要に
外国人の方の多くは、就職したときや離職したとき、勤務先名称が変わったときや、離婚したときなどは入国管理局に届出を出さなければなりません。届出を怠るとビザの更新時に不利に働きますし、長期の在留期間が貰えなくなるなどの弊害があります。
また、届出はお持ちのビザによって変わります。
在留資格名 | 届出のタイミング |
日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、家族滞在 | 離婚、死別 |
教授,高度専門職1号ハ,高度専門職2号(ハ),経営・ 管理,法律・会計業務,医療,教育,企業内転勤,技能 実習,留学,研修 | 契約機関の名称変更、所在地変更、消滅、契約の終了、新たな契約の締結 |
高度専門職1号イ又はロ,高度専門職2号(イ又は ロ),研究,介護,技術・人文知識・国際業務,興行(所属機関との契約に基づいて活動に従事する場合に限る。),技能 | 活動機関の名称変更、所属地変更、消滅、離脱、移籍 |
永住ビザをお持ちの方は、上記の届出が不要になります。
永住ビザを持っていても変わらないこと
永住ビザを持っていても、外国人には違いありません。
そのため、引き続き注意が必要なこともあるんです。下手をすると永住権を失ってしまうかも…
- 在留カード・パスポートの携帯義務
- 在留カードの更新
- 再入国許可が必要
- 国籍はそのまま
- 戸籍を持たない
- 参政権無し
在留カードの携帯義務
永住権を得たとしても外国人には違いありません。引き続き在留カードを携帯しなければなりません。
在留カードの更新
永住ビザはビザの更新はありませんが、在留カードの更新はあります。他のビザであればビザの延長時に新しい在留カードになりますが、永住ビザはビザの更新がありませんので在留カードを定期的に更新する必要があります。
在留カードの有効期間は7年間です。期限の2か月前から手続きができます。また、16歳未満の方は在留カードの更新不要ですが、 16歳になる2か月前から更新手続きが必要です。
手続き名称は「在留カードの有効期間の更新申請」です。
再入国許可が必要
外国人の方が日本を離れる際には「再入国許可」が必要です。再入国許可を得ていなければ出国した時点でお持ちのビザが無効になります。
永住ビザをとっても再入国許可は必要で、永住者だからと言って優遇措置はありません。再入国許可は最長5年、みなし再入国許可は1年です。
※特別永住者は優遇措置あり。
※再入国許可制度について詳しくは姉妹サイトをご覧ください。
国籍はそのまま
永住ビザをとっても日本人にはなれません。もちろん日本のパスポートは取れませんのであしからず。日本国籍が欲しい場合は帰化申請をします(詳しくは帰化専用の姉妹サイトへ)。
戸籍を持たない
日本の戸籍制度は日本人を管理するための制度です。永住ビザ所持者は外国人のままですので戸籍に入ることはできません。戸籍に入るには帰化が必要です。
参政権無し
参政権は日本国民に限定されています。
でも、今後は変わっていくかもしれません。その場合は地方選挙から認める形になりそうです。
また、住民投票については外国人の投票を認めている自治体もあります。永住ビザを持っていれば住民投票に参加できる場合もありますので、詳しくはお住いのある自治体にお問い合わせください。
おわりに
今や日本在住の約30%の外国人の方が永住ビザを持っています。
しかし、申請が大変だったり条件を満たすのが大変だったりで、永住ビザへ変更をしていない方も多くいらっしゃいます。
私の個人的な思いですが、日本人も外国人も関係なく幸せな人生を歩んでほしいと思っています。ビザは日本に住むうえで不安材料の一つですので、その不安が少しでも小さくなるお手伝いが出来れば幸いです。