2025年12月ごろ、政府・与党内で「永住許可の要件に一定水準の日本語能力を追加する案」が検討されている、という報道が出ました。 ただし、現時点では確定したルールではなく、検討・調整段階の情報です。 本記事では、報道の要点と、永住申請を考える方(および雇用する企業側)が今から準備できることを、実務目線で整理します。
1. 何が報じられているのか(ポイント3つ)
- 永住許可の要件に「日本語能力(一定水準)」を追加する案が検討されている
- 目的は、地域社会との共生を促し、生活ルールや行政手続の理解を進めること(と説明されている)
- 要件の具体像(どの試験・どのレベル等)はまだ固まっていない
背景として、在留外国人数は増加傾向にあり、2025年6月末時点で395万6,619人(過去最高更新)、 在留資格別では「永住者」93万2,090人が最も多い、と入管庁が公表しています。
2. 現行の「永住許可」要件(公式ガイドラインの基本)
現行のガイドライン上、永住許可は大きく①素行善良 ②独立生計 ③国益(10年在留、公的義務の履行 等)が柱です。 たとえば「納税・年金・医療保険の保険料」などの公的義務の履行は、審査上の重要な要素として明示されています。 一方で、帰化とは異なり、日本語能力は“明示の必須要件”としては書かれていないのが現状です。
ポイント:現時点で「永住=日本語試験必須」と決まっているわけではありません。
ただし、将来の制度設計として“要件化”が議論され得る、というのが今回のニュースの核です。
3. 「日本語能力要件」は、どう設計される可能性がある?(現時点は未確定)
報道では「一定水準」とされる一方、どの試験・どのレベルかは明らかになっていません。 実務的には、次のような設計が“候補”になりやすい(※あくまで一般論)と考えられます。
- 日本語能力試験(JLPT)など、客観テストの合格を求める
- 日本語教育機関の修了等で代替できるルートを用意する
- 「読む・書く・会話」など、生活・行政手続に必要な範囲に絞る
ここは今後の政府発表や運用方針の具体化を待つ必要があります。
4. 既に永住者の人/これから申請する人への影響
(1)これから永住申請する人
仮に「日本語能力」が要件として導入される場合、影響が大きいのは導入後に申請する層です。 したがって、制度が固まる前から準備しておくこと(次章)が現実的な対策になります。
(2)すでに永住者の人
通常、許可要件の変更が直ちに既存の永住者へ遡及適用されるケースは多くありません。 ただし、永住者であっても、入管法上の義務違反等による取消しの枠組みが議論・整備されてきた流れはあります。 「永住許可制度の適正化」に関する入管庁資料でも、制度趣旨として“悪質なケースへの対応”が説明されています。
注意:本記事の主題は「日本語能力の要件化(検討報道)」ですが、 あわせて納税・社会保険等の公的義務の履行が今後いっそう重要視される流れは、公式資料・ガイドライン上も明確です。
5. 今からできる「実務的な準備」5つ
- 日本語学習の“証拠”を残す
受講修了証、出席記録、試験結果、学習ログなど、後から説明できる形で保管。 - JLPT等の受験を検討
どの試験が採用されても、客観資料を先に確保しておくと安全。 - 納税・年金・医療保険の「未納・遅延」を潰す
現行ガイドラインでも、公的義務の履行は重要評価項目です(遅延は不利に評価され得ます)。 - 生活実態の説明力を高める
住居、就労、家族関係、収入、転職歴など、審査で問われやすいポイントを整理しておく。 - 制度の確定情報を定期チェック
「検討」→「方針」→「運用」へ進む局面で、要件の細部が変わり得ます。重要なのは“確定情報”です。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. もうすぐ日本語試験が必須になりますか?
いいえ、現時点では検討報道であり、必須化が確定したとは言えません。 ただし、今後の政策パッケージの中で具体化される可能性はあるため、準備を前倒しするのが安全です。
Q2. 配偶者ビザ等で永住申請する場合も影響しますか?
影響の有無は制度設計次第です。現行ガイドラインでは配偶者等に特例がありますが、 「日本語能力」をどの類型に、どの範囲で課すかは今後の決定事項です。
Q3. 企業(人事)は何をしておくべき?
永住申請の支援だけでなく、社内の日本語学習支援、就業実態の適正化、社会保険・税の管理など、 申請者が“説明できる状態”を作ることが有効です。
まとめ:結論は「確定待ち」だが、準備は“今”が最も効く
今回の「永住許可要件に日本語能力を追加」という話は、現時点では確定ルールではありません。 ただ、要件が導入されるとしたら、必要になるのは日本語力そのものだけでなく、 それを証明できる書類・記録、そして公的義務の履行(納税・社保)を含む総合的な“適格性”です。 永住を検討している方は、制度確定を待つだけでなく、できる準備を先に進めるのが現実的です。
参考(一次情報・関連報道)
- 出入国在留管理庁:令和7年6月末現在における在留外国人数について(プレスリリース)
- 出入国在留管理庁:永住許可に関するガイドライン(令和7年10月30日改訂)
- 出入国在留管理庁:永住許可制度の適正化について(PDF)
- Kyodo News(英語):永住要件の日本語能力等に関する報道
※本記事は公開情報・報道に基づく一般的な解説です。個別案件は在留歴・家族関係・納税状況等で結論が変わるため、申請前の個別確認をおすすめします。