日本では結婚のことを「入籍」と表現しますが、実は外国人は「入籍」できません!
でも結婚はできますのでご安心を。
今回は結婚した時の戸籍に関する内容でまとめています。
日本人同士の結婚の場合
いわゆる一般的な日本での結婚ですね。ご自身の戸籍を見たことがある人ならご存知かもしれませんが、戸籍には両親とその子供達しか載っていません。つまり、2世帯までしか載らないんです。
おじいちゃんや叔母などは自分の戸籍からは見えないんですね。両親と自分、自分の兄弟姉妹しか同じ戸籍には載りません。
そして、親の戸籍に入っていた子供達は結婚するとその戸籍から抜けて新しい戸籍が作られます。そこに、自分と結婚相手が載ることになります。結婚するときに新しい戸籍に入るということで、結婚することを「入籍」と表現するんですね。新しい戸籍は、夫または妻のどちらかが筆頭戸籍者になります(どちらが筆頭戸籍者かには意味はありません)。
日本人と外国人の結婚の場合
日本人と外国人の方が結婚した場合はというと、先ほどの日本人同士とは異なる扱いを受けます。外国人を戸籍で管理しないという法律のルールがありますので、外国人は戸籍に入れないのです!
ということで、日本人と外国人の方との結婚では入籍はできませんが、結婚はできます(「入籍」とは戸籍に入るという制度特有の言い回しですので、「入籍」しなければ「結婚」できないわけではない)。
どういう扱いになるかというと、
①結婚した日本人の戸籍が作られる(親の戸籍から抜ける)
→この日本人が筆頭戸籍者となります。
②日本人の身分事項欄に、結婚した外国人の名前や国籍などが記載される
という形になります。
法律ではどうなっているかというと、
国籍法 第六条
戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。ただし、日本人でない者(以下「外国人」という。)と婚姻をした者又は配偶者がない者について新たに戸籍を編製するときは、その者及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。
となっています。
法律ですので言い回しが分かりにくいですが、「日本人とその子供毎に戸籍を作る」という意味です。外国人の方については言及されていませんので、戸籍に載らないことになるのです。
ちなみに日本人同士の結婚であれば、一方の配偶者を筆頭戸籍者として、もう片方の配偶者も同列で並びます。でも、日本人と外国人との結婚では、外国人の方は備考欄的なところに記載されるだけなんですね。
「いや、私も戸籍に入りたい!」となれば、もはや帰化するしかありません。
戸籍は日本国籍を有する者の身分関係を証明する唯一無二の公的証書ですので、外国人である限り戸籍に入ることはできないのです。
また、日本人と結婚した外国人の方は、帰化条件が緩和されます。詳しくはこちらの記事をご確認ください。
外国人同士の結婚の場合
外国人の方同士の結婚の場合は、お二人どちらにも戸籍は存在しません。あくまで外国に属する方の結婚ですので、戸籍で管理する必要がないからです。
でも、結婚そのものは日本の役所でも受け付けることができます。婚姻届とその他証明書類(国籍によって異なる)を役場に提出することになりますね。そして、入籍はできないものの、正式に結婚として扱われます。
※お二人が同じ国籍であれば本国(または日本にある大使館・領事館)で結婚しなければなりません。
また、本国では結婚していないことになりますので、本国でも結婚手続きが必要です。
※ここで結婚できるとしている外国人カップルは、お二人の国籍が違い、かつ日本に住んでいることが前提です。国籍が違う人同士で片方が日本に住んでいれば、日本で結婚する事もできる可能性があります。
外国人の方の結婚は、日本側にどうやって把握されているの?
外国人の方は戸籍に入らない=戸籍での結婚が確認できないということですが、外国人の方は戸籍で身分関係が管理されない代わりに、住民票に結婚したことが記載されることになります。
ここで大事なこと。以前は外国人は住民票に載らなかったんです。
でも、2012年7月に外国人登録法が廃止となった代わりに住民基本台帳法の改正があり、外国人の方も住民票が作られる事になりました。
また、日本にいる外国人の全ての方に住民票があるわけでは無いということ。観光ビザという短期滞在ビザで入国した外国人には住民票はそもそも存在しませんので、日本の役場で結婚手続きをしても婚姻届受理証明書しか結婚を証明するものはありません。
終わりに
みなさんは戸籍を見たことがありますか?私は自分が結婚するときに初めて見ました。なかなか馴染みのないものなのでイメージが掴みにくいですが、結婚するときには避けては通れない書類。ましてや国際結婚になると戸籍がよく分からないなんて言っていられないくらいややこしいことばかり。
分からないことは、一つ一つ理解していくことが近道です。「分かったことリスト」を作るのも一つの手ですね。
また、国際結婚はお互いの国で結婚を成立させなければなりません。今回の戸籍はあくまでも日本側の話ですので、相手国側になるとまた違った制度が出てきます(大変だ~)。
そして、2カ国で結婚成立すれば、いよいよビザ(在留資格)の話になってきます。世界のどこに住もうが、その国にとって外国人であればビザの問題は避けて通れません。
日本に住むための配偶者ビザ(結婚ビザ)についてはこちらの記事にまとめていますので、ぜひご覧ください。
国際結婚の全体の手続きについてはこちらの記事を見てくださいね。