跛行婚(はこうこん)とは
ある国では有効とされ、もう一つの国では無効とされる結婚の形態のことを指します。
国際結婚は2つの国籍同士の結婚となりますので、お互いの母国の法律が2人の結婚に関係してきます。そのため、夫の国では結婚成立、妻の国では結婚不成立ということもあるのですね。
跛行婚には2パターンあります。
パターン① 国際結婚が完了していない
結婚したけど、片方の国では結婚出来ていない状態のことですね。国際結婚にでは、どちらの国でも結婚手続きをするのですが、それができないと跛行婚になります。普通に手続きすればあり得ないんじゃないの?という疑問があると思いますが、あり得るんですね。
国際結婚は、国籍が異なるもの同士の結婚です。お互いの国の法整備状況によっては、順番を間違えると結婚できないということもあり得るのです。
よく聞くのが日本人と中国人の結婚ですね。ネットで見ても、手続きの順番を間違えて中国で結婚できなかったという内容が出てきます。今はそんなことは無いのですが、日本で創設的届出をすると(先に日本で婚姻届を出す)、中国で結婚するために必要な書類が入手できずに、中国で結婚できないという事態があったのです。中国人との結婚で、今はそんなことが無いのでご安心を。
今でもこのようなケースはあります。役所が指定する必要書類を集めることができずに結婚当事者が結婚を頓挫する場合です。実例が少ない国同士の結婚だと、役場も不慣れですので当事者ともども途方に暮れることもあります。実例が多いと、こういう場合はこうだ、というように手続きの指針も定まってきますので手続きもスムーズになります。
日本であまり見かけない国籍の方との結婚する場合は要注意ですね。
場合によっては結婚する当事者側から役所にアドバイスする必要もあるかもしれません(他県の◯◯市で結婚した同じ国籍の友人はこうしたよ、など)。
パターン② 国際離婚が完了していない
離婚したけれど片方の国では結婚している状態のことも指します。国際結婚と同じように、国際離婚もお互いの国で手続きが必要なんです。
また、日本は比較的離婚しやすい国です。というのも、お互いの合意があれば離婚できるからです。これは、協議離婚と呼ばれる方式ですが、世界で見ると少数派です。多くの国では裁判をしないと離婚できないんです。
※国際離婚についてはこちら→
裁判となると、ややこしいですし手続きが煩雑です。また、時間もかかります。ましてや外国での裁判となると…
そのため、日本では離婚が成立したけれど、相手国で離婚手続きをしていないので相手国側では結婚したまま。そんな人も大勢います。
跛行婚の状態を解除しないと?
日本側としては離婚が成立していますので、今後、日本で誰かと結婚する分には何も問題はありません。
問題は相手国側です。
相手国側では離婚していませんので、結婚している状態=既婚者として扱われることになります。そうなると、前妻/前夫と同じ国籍の方とは結婚できなくなってしまいますね。
他にも、相続の問題も出てくる可能性もあります。
相手国側では配偶者として扱われますので、その国の法律にもよりますが表形代理(夫婦だったら当然代理人になれるでしょっていう意味)が成立して、知らない間に自分に不利益な契約がなされているかも。
これらのことを防ぐために、必ず離婚を成立させるようにしましょう。