短期滞在ビザ(在留資格:短期滞在)は旅行や仕事などで短期間(90日以下)日本に滞在するためのビザです。観光ビザ、短期ビザ、旅行ビザ、親族訪問ビザ、商用ビザなど、目的によって呼ばれ方は様々です。短期滞在ビザは全ての外国人の方が必要になるわけではなく、一部の国籍の方に対しては査証免除となり短期滞在ビザは不要です(ノービザ)。また、報酬を受ける活動はできません。
また、日本人が海外旅行に行く際にはビザを意識しないことが多いですよね?これは日本のパスポートの信用力があるため、多くの国で「日本人は短期間滞在であればノービザ」とされているからです。日本を含め先進国の方はノービザとされることが多く、海外旅行がしやすいんです。
反対に、発展途上国の方などは海外旅行するためにはビザの取得が必要になることが多いですね。これは、迎え入れる国の治安維持、自国民の雇用保護によるところが多いです。移民問題が発生しないように予め入国を制限しているということです。
入管法上での短期滞在ビザの表現は下記の通りです。
本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動
短期滞在ビザの諸条件
活動内容 |
|
報酬を得る活動 | 不可 |
資格外活動 | 原則不可 |
対象者 | 査証免除国以外の国籍の外国人の方 |
在留期間 | 15日、30日、90日 |
在留期間の更新 | 一部の国で可能。原則不可 |
活動内容&報酬&資格外活動
短期滞在ビザでは幅広い活動内容が認められています。基本的には「90日以内」「無報酬」での来日であれば短期滞在ビザになると考えてくださいね。90日を超える場合は研修ビザや文化活動ビザ、家族滞在ビザなどになり、報酬がある場合は就労ビザ(技人国ビザ、興行ビザなど)などになります。
活動内容は大別すると、観光目的、短期商用目的(ビジネス)、親族・知人訪問目的となります。
観光目的はそのままですね。観光旅行です。ツアーなら旅行会社がビザの手続きをしてくれることがほとんどだと思います。
短期商用目的は仕事の一環で来日する場合です。日本で仕事をする場合は就労ビザが必要ですが、「出張」と言われる範囲であれば短期滞在ビザとなります。ただし、特に宣伝目的の際、短期間であっても報酬の有無によって興行ビザに当てはまるかもしれませんのでご注意ください。
親族訪問は配偶者、三親等までの親族が当てはまります。交際相手や婚約者は親族ではないので知人訪問です。ネットで知り合った人も知人訪問になります。
法務省が例示している短期滞在ビザに該当する活動内容は以下の通りです。
|
報酬は無いことが大前提です。ただし、金銭を提供してはいけないということではなく、日本側(招へい側)が滞在費等の実費負担は可能です。
また、無報酬のビザであってもアルバイトができるようになる「資格外活動許可」がありますが、短期滞在ビザの場合はよほどの理由がない限り認められません。
対象者
ビザ免除国以外の外国人の方が対象となります。ビザ免除国でも条件を満たさなければなりませんので注意が必要です。短期滞在ビザの発給数の多い順に並べると、中国がダントツ1位、次にフィリピン、インドネシア、ベトナムが続きます。
対象外であるビザ免除国について
世界195カ国(日本が認めている国)ありますが、2017年7月の時点では68の国・地域に対してビザ免除措置をしています。
在留期間
在留期間は15日、30日、90日のいずれかとなります。
在留期間の更新
メキシコ・アイルランド・オーストリア・スイス・ドイツ・リヒテンシュタイン・英国国籍の方はノービザ(査証免除)ですが、90日を超えて日本に滞在する場合は特別の理由無く更新が可能です(最大6ヶ月以内)。
その他の国については、在留期間の更新は原則不可です。ただし、「人道上の真にやむを得ない事情又はこれに相当する特別の事情」がある場合は認められる場合があります。例えば病気や出産などですね。ただし、在留期間更新許可申請は31日以上の在留期間を持っていなければ申請できませんので、現実的には90日の在留期間の短期滞在ビザを持っていなければビザの更新はできませんのでご注意ください。
短期滞在ビザから他のビザへの変更
短期滞在ビザから他のビザへの変更は原則不可です。ただし、やむを得ない特別の事情があれば例外的に可能です。
いくつかパターンがありますのでご紹介します。
短期滞在ビザから配偶者ビザへの切り替え
短期滞在ビザで来日し、そのまま配偶者ビザへ変更できる可能性があります(在留資格:日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者)。この場合は在留資格変更許可申請をします。ただし、この変更そのものが例外的扱いですので申請が受理されないことも。
その場合は在留資格認定証明書交付申請をして、日本滞在期間中に許可されれば在留資格変更許可申請をして配偶者ビザへ変更、滞在期間中に許可がでなければ一旦帰国して配偶者ビザを取って再来日となります。
親の呼び寄せ(老親扶養ビザ・老親ビザ・連れ親ビザ)
養老扶養ビザ・養老ビザ・連れ親ビザは高齢で他に身寄りのない親のためのビザで、「親が高齢で扶養が必要であること」「本国に親の扶養者がいないこと」などが必要です。でも、実は該当するビザは法律上存在しません。あくまで勝手に呼んでいる通称です。そのため在留資格認定証明書交付申請ができず、通常の方法では呼び寄せができないんです(高度専門職ビザ所持者の親を除く)。
この場合は、短期滞在ビザで呼び寄せて特定活動ビザへ在留資格変更許可申請をすることになります。
短期滞在ビザから就労ビザへの切り替え
短期滞在ビザで就職活動し採用が出た場合、そのまま就労ビザへの変更はできません。一旦帰国して在留資格認定証明書交付申請を経て再来日することが通常の流れです。
ただし、短期滞在ビザで日本滞在中に在留資格認定証明書交付申請をして、在留資格認定証明書を滞在期間中に得ることができれば、在留資格変更許可申請することが可能です。
この方法は時間との戦いです。在留資格認定証明書交付申請は結果が出るまで1〜3ヶ月かかる申請のため、短期滞在ビザの在留期間中に結果が出ないことがあります。この場合は帰国するしかありません。期間内に許可が出て在留資格変更許可申請ができれば、在留期間後2ヶ月間は在留できることになりますので、ここまでくればほぼ大丈夫でしょう。ただし、就労ビザに変更できるまでは働いてはいけませんよ。
数次有効の短期滞在ビザとは?
来日するたびに短期滞在ビザの取得が大変ですよね?そこで、一度短期滞在ビザを取得すれば一定期間の間なら何度でも日本に来日できる短期滞在ビザを数次有効の短期滞在ビザと呼びます。
国籍・滞在目的などで条件は変わってきますが、有効期限1年、3年、5年、10年の間に何度でも来日することが可能です。ただし、1回の滞在期間は短期滞在ビザで決められた15日、30日、90日のいずれか、年間180日となります。また、長期の有効期限を得ることは難しく、原則的には商用目的、文化人・知識人等の方で3年、それらの方の「配偶者・子」の方は1年となります(中国国籍の場合)。
短期滞在ビザの申請手順
ここでは、商用、親族・知人訪問目的等を前提として説明します。つまり、日本側から呼び寄せる(招聘する、招待する)手順です。
※純粋な観光であれば、旅行会社を経由したり外国人の方が直接在外公館に申請します。
短期滞在ビザは申請すればOKというものではありません。審査があります。
また、書類作成や収集に時間もかかりますし、審査も1ヶ月くらいかかることもありますので来日予定の2、3ヶ月前から準備することをお勧めします。
- 必要書類を準備する
- 申請人(外国側)
- パスポート
- 査証申請書
- 写真
- その他必要書類
- 招へい人(日本側)
- 招へい理由書
- 滞在予定表
- 身元保証書
- その他必要書類
- 申請人(外国側)
- 日本側で用意した必要書類を申請人へ送付
- 居住地最寄りの日本大使館/領事館で短期滞在ビザの申請をする
- 日本大使館/領事館が申請書を審査します
- 許可となれば日本大使館/領事館でビザが発給されます
- 3ヶ月以内に来日
審査手数料
ビザが発給された時に手数料がかかります。一次有効ビザ(一度だけ来日)は約3,000円、数次有効ビザは6,000円です。現地通貨で支払います。
また、渡航目的や国籍よって手数料無料となったり金額が異なることもありますので、詳しくは申請を予定している日本大使館/領事館にお問い合わせくださいね。
審査期間
通常、申請受理の翌日から起算し5業務日です。1週間くらいと考えてくださいね。
ただし、申請時期や申請人、申請内容によります。場合によっては日本の外務省で審査することにもなりますので、1ヶ月程度かかることもあります。
審査について
基本的には書類審査です。ただし、場合によっては面談を要請されたり電話で質問がくることも。
短期滞在ビザは他のビザよりも条件が緩いです。その分、不法入国・不法滞在を防ぐために厳しくチェックされます。虚偽や漏れがないよう申請書類はきっちりと作成しましょう。