最近は「ダブル」や「ミックス」という表現もされるようになってきた日本人×外国人のハーフ。

この場合の国籍は基本的に日本と外国の二重国籍になることが一般的ですが、場合によっては「日本のみ」「外国のみ」になることもあります。

二重国籍とは?

実は日本の法律上では二重国籍を認めていません。もしあなたがアメリカ人になるのであれば日本人を辞めなければなりません。

ただし、出生時に図らずとも二重国籍になった場合などは例外扱いされています。この場合、22歳まで猶予期間が設けられていますので、それまでは二重国籍状態でも問題ありません。

手続き方法は少々面倒です。最終的に日本国籍を選択する場合であれば、外国籍の法律に則って外国籍を喪失する手続きを行い、その後、日本の市役所へ国籍選択届を提出することになります。対象となる国籍によって必要な手続きが変わりますのでご注意ください。手続きを怠ったまま放置していると日本国籍を失う場合もあります。

ちなみに二重国籍になる方法としては、親の一方が外国人であるか、生まれた場所の国籍を取得できる国で海外出産する方法があります。

国籍の留保とは?

国籍の留保とは、二重国籍になった場合に22歳までどちらの国籍を選ぶかを保留できる手続きです。提出期限は出生後3か月以内、提出先は市役所または外国にある日本大使館です。もし手続きを怠れば出生時に遡って日本国籍は失われてしまう可能性があります。

また、外国で生まれた場合に必要となる手続きですので、日本で出産した場合は不要です。

いずれにせよ、日本・外国の出生地を問わず、二重国籍の方は22歳になるまでに国籍選択届を市役所または外国にある日本大使館に届けなくてはなりません。この手続きを怠ると日本国籍を消失する可能性がありますのでご注意ください。

日本人ハーフの国籍の原則:日本人の子は日本人

国籍取得のルールは国ごとに異なりますので、子供の国籍は両親の国籍や生まれた場所(国)によって変わります。

日本はというと、「血統主義」を採っていてます。生まれた場所に関係なく、血縁関係によって国籍を決定するというルールです。つまり、「日本人の子供は日本人」ということになりますので、ビザ(在留資格)は不要です。どこの国で生まれても日本国籍を持ち、日本のパスポートを作ることができます。

※もう少し細くいうと、日本は両親の血統を認める「父母両系血統主義」を採用しています。また、父親の血統だけを重視する「父系優先血統主義」もあります。これは中東地域が多いですね。

ただし、日本人の子供であっても日本国籍とはならないケースもあります。日本人親が「母」か「父」かによって日本国籍を取得できない場合がありますので、細かく説明していきますね。

日本人の母 × 外国人の父

日本人ママ×外国人パパの場合、お二人の結婚の有無を問わず生まれてくる子供は日本国籍となります。日本は血統主義ですので、日本人のお腹から生まれた赤ちゃんは日本国籍となるわけです。

二重国籍になるかどうかは、外国人パパの国籍次第。その国の法律上で国籍を付与するルールがあれば二重国籍になります。二重国籍となれば、22歳までに選択する義務があります。

※二重国籍を22歳まで維持できる「国籍の留保」という手続きは海外出産時のみ必須です。日本国籍を失う可能性がありますので必ず手続きをしましょう。

 

日本人の父 × 外国人の母

日本人パパ×外国人ママの場合、お二人が結婚しているかどうかが重要になります。

→結婚している:赤ちゃんは嫡出子とみなされ、日本国籍となります。

→結婚していない:赤ちゃんは非嫡出子とみなされ、外国籍となります。

嫡出子というのは結婚中に生まれた子供のことです。結婚中に出産したのであれば自動的に夫の子と扱われるのですが、未婚のままでは父親が不明として扱われるので母親の外国籍となってしまうのです。つまり日本人パパの子であっても外国人として扱われることになります。

※嫡出子には推定される嫡出子と推定されない嫡出子があります。結婚後200日以内に生まれた子供は推定されない嫡出子となりますが、実務上は問題無くお二人の子供として受理され、日本人パパの子供として日本国籍を取得します。

二重国籍になるかどうかは、外国人パパの国籍次第。その国の法律上で国籍を付与するルールがあれば二重国籍になります。二重国籍となれば、22歳までに選択する義務があります。

※二重国籍を22歳まで維持できる「国籍の留保」という手続きは海外出産時のみ必須です。日本国籍を失う可能性がありますので必ず手続きをしましょう。

 

【認知】未婚の日本人の父 × 外国人の母

結婚していなければ生まれた子供は外国人ママの国籍を持つと説明しましたが、日本人パパの認知があれば日本国籍を持つことができます。

「認知」とは、父親が自分の子供であると認めることです。

「認知」するには法的な手続きが必要で、市役所に認知届を提出することになります。出産前と出産後では手続きが異なり、日本国籍が得られるタイミングも異なります。

・出生前に認知届提出:胎児認知と言います。子供は生まれながらにして日本国籍を持つことになります。

・出生後に認知届提出:生後認知と言います。出産時は外国人ママの国籍を持つことになります。その後、戸籍取得届を法務局に提出すれば日本国籍を得ることができます。提出期限は20歳になるまでにとなっています。

以前はお二人が結婚しなければ日本国籍を取得できませんでした。「準正」という手続きが必要だったんです。平成21年1月施行の国籍法改正により、結婚をせずとも認知届&国籍取得届の手続きにより日本国籍を取得できるようになっています。インターネットで見ると旧制度のまま紹介しているホームページが散見されますのでご注意ください。

【離婚後300日問題】日本人の父 × 外国人の母

離婚後300日以内に生まれた子供は離婚前のパパの子供と推定されます。そして、生まれてきた子は日本人パパの戸籍に入ることになります。つまり日本国籍を取得することになります。

そうは言っても、離婚後に生まれてくる子供が前夫の子供のケースってほとんどないと思います。つまり、前夫以外の男性との子供ということ。心情的にとてもナイーブで法的にも複雑な問題を抱えていることから、「離婚後300日問題」として扱われています。

話が脱線してしまうので、この話はこのあたりで終わらせていただきます。

 

両親が不明

この場合は日本国籍を取得します。

国籍法第2条の日本国民になる条件の1つの「日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき」が適用されます。

 

ハーフの子の認知のベストタイミング

「日本人の父 × 外国人の母」でご説明した通り、婚姻中に生まれた子供は嫡出子となり、パパの子供として法的に取り扱われます。

一方で認知という手段を取るということは、何らかの理由で出産前に結婚できない方だと思います。

 

日本に住むという観点では、外国人ママから出産したお子さんは日本国籍を取った方が絶対にいいです。大人と同じように、赤ちゃんであろうがビザが必要となるからです。ビザをお持ちの方はその苦労がわかりますよね?

また、認知は生まれる前にしておいて(胎児認知)、日本国籍を持った子として出産しましょう。出産前でも出産後でも、認知による日本国籍取得の難しさはほとんど変わりありません。ただし、赤ちゃんは30日以内に日本国籍取得の手続きを完了させなければならないという期限の問題が生じます。

外国人として生まれてきた場合、その赤ちゃんについては次のような手順を踏むことになります。

  1. 出生後14日以内に出生証明書(出産した病院でもらえます)とともに出生届を市区町村役場に提出
  2. 市区町村役場で出生届受理証明書をもらう
  3. 出生届受理証明書を外務省で認証してもらう(必要な国のみ)
  4. 出生届受理証明書を在日外国大使館に提出
  5. 在日外国大使館でパスポート発行手続き
  6. 出生後30日以内にビザの申請(在留資格の取得申請)

生後認知をする場合、6.にある「出生後30日以内」に日本国籍の取得を完了させる必要があるのですが、スムーズに完了させることができるかは状況次第です。

「何らかの理由で出産前に結婚できない」理由が、「落ち着いてから結婚しよう」「意図せず出産が早まった」のであれば問題はないかと思います。日本人パパと意思疎通が図れる状態で、その後の結婚を約束しているのであれば、日本人パパの協力を得ながら赤ちゃんの日本国籍取得手続きができるからです。

「何らかの理由で出産前に結婚できない」理由が、「不倫」や「結婚する意志がない」のであれば日本人パパによる「認知」が困難となり、「出生後30日以内」という日本国籍取得の期限に間に合わない可能性が高くなります。出産のダメージが体に残った状態で、赤ちゃんを抱えながら、日本人パパに認知をしてもらう話し合いは大変です。できる限り早い段階で認知をしてもらい、少しでも不安なことを減らしておくことが外国人ママと赤ちゃんのその後の人生につながると思います。

 

日本人×外国人ハーフの在留資格定

以上の事から、日本人ママから生まれた子供は日本国籍となりますが、日本人パパの子供は必ずしも日本国籍を所持していないということが分かったと思います。親の考え方次第ではあえて日本国籍を取得しない、または日本国籍を離脱(日本人を辞める)するというケースもあると思います。

日本人×外国人ハーフであっても日本国籍を持たない場合、つまり、日本国籍を離脱した場合や日本人パパの認知を得られなかった場合では、日本に住む・来日するためにはビザが必要となります。必要なビザは「日本人の配偶者等」(以下、配偶者ビザ)、または親のビザの種類によって異なります。

配偶者ビザとなる場合

日本人×外国人ハーフの方で日本国籍を離脱している方は、配偶者ビザが当てはまります。法律上の定義は以下の通りです。

日本人の子として出生した身分を有するもの

もう少し細かく言うと、次の通りです。

  • 生まれたときに両親の一方が日本国籍
  • 生まれる前に父親が亡くなり、かつ、その父親が亡くなった時に日本国籍を持っていた場合
  • 外国で生まれた場合もOK

 

その他のビザとなる場合

日本人×外国人ハーフの方で日本人パパの認知も得られなかった場合は外国人ママのビザによって異なります。

母親の在留資格(ビザ) 子供のビザ
定住者ビザ 定住者ビザ
就労ビザ 家族滞在ビザ
永住ビザ 永住の配偶者ビザ(ハーフの子は日本で出生)
永住ビザ 定住者ビザ(ハーフの子は外国で出生)
留学ビザ 家族滞在ビザ

※永住の配偶者ビザ=在留資格:永住者の配偶者等