外国人店員、コンビニやファストフード店で見かけるようになって久しいですね。当たり前の光景になりましたが、雇用側としては注意が必要。

日本人と同じように雇う事はできますが、いくつかの条件と義務が発生します。今回は、外国人留学生をパート・アルバイトで雇う場合の視点で注意点や必要事項についてまとめていきます。

手続きを纏めると以下の3つ。順に説明していきます。

  1. 在留カードを確認する
  2. 資格外活動の有無を確認する
  3. ハローワークに連絡する

手続き① 在留カードを確認する


(在留カード表面 出典:入局管理局)

どんな形式で雇うにせよ、外国人雇用の際には必ず在留カードの確認が必要です。在留カードとは、日本に住むことを許可された外国人が持っているカードです。つまり、許可されていない外国人は所持していないカードです。

許可されていない外国人とは、密入国者やオーバーステイ(許可期間が過ぎても日本滞在を続ける)です。もし、不法滞在者を雇用してしまうと、本人はもちろん雇用側も処罰の対象となります。

もし持っていない方に出くわした場合は、入国管理局で再発行させてくださいね。

②資格外活動許可の有無を確認する


(在留カード裏面 出典:入局管理局)

外国人留学生は、「留学ビザ」という在留資格で日本に住んでいます。留学ビザとは、「勉強だけをするための日本滞在許可」という意味なんです。
つまり、働くことは認めませんという事。

とは言え、学生は授業以外の時間はフリーなわけですし、学費や生活費を稼がなければならない人も多くいますよね。そのため、「留学ビザであっても働いていいよ」という許可をもらう事が可能です。

それを資格外活動許可と言います。

基本的に、留学生本人が入国管理局に申請するものです。許可されると在留カード裏面に

許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く

と記載されますので、この記載があるかを必ず確認するようにしましょう。ちなみに、夏休みなど学校が長期休講中の間は8時間/週の勤務が可能になります。

資格外活動許可を持っていない留学生を雇用する場合

資格外活動許可を申請するタイミングは2つあります。

  1. 来日時
  2. アルバイトをしようとした時

1.来日時

来日時の申請は「日本でバイトしますよ」と宣言するだけの申請です。

2.アルバイトをしようとした時

来日時に申請していない場合はちょっと面倒になります。外国人本人が入国管理局へ資格外活動許可の申請をしなければなりません。ただ、基本的に申請を代行してくれる学校が多いと思います。

また、結果が出るまで2週間〜2カ月程度かかります。もし、資格外活動許可を持っていない方が採用面接に来られた場合は、資格外活動許可が許可されてから雇用してくださいね。

風俗営業等の従事禁止

資格外活動許可時の在留カード裏面記載内容に書いてありますが、留学生は風俗営業等のパート・アルバイトはできません。「風俗営業等」とは、夜のお店は勿論ですが、パチンコ・スロット店なども含みます。風営法が適用されるお店では外国人留学生は雇えません。

[ 接待飲食等営業 ]

1号営業 ・・・ 料理店・社交飲食店

2号営業 ・・・ 低照度飲食店

3号営業 ・・・ 区画席飲食店

[ 遊技場 ]

4号営業 ・・・ パチンコ・マージャン等

5号営業 ・・・ ゲームセンター等

[その他 ]

性風俗関連特殊営業


風営法抜粋

平たく言えば、夜のお店とギャンブル店、ゲーセンですね。これらのお店では留学ビザを持った外国人を雇用できません。外国人を雇用する場合は、他のビザ(配偶者ビザ、永住者ビザなど)を持っている外国人でなければなりません。

労働時間の制限:1週28時間以内

留学生外国人は労働基準法よりも短い時間しか働く事ができません。

通常時:1週28時間以内

という時間制限があります。なぜなら、勉強するために日本に来ているから。仕事が主目的にならないよう、時間制限を設けています。

また、学生は長期休暇がありますよね?その時は少し制限が緩くなります。

1日8時間以内

ただし、労働基準法の法定労働時間は1週40時間以内(一部業態を除く)という制限は日本人と同じようにありますので、注意が必要です。
※法定労働時間を超えた場合は時間外労働(残業)として割増賃金の適用が必要

家族滞在ビザ

家族滞在ビザは、何らかの理由で日本に来た配偶者やその子供に与えられるビザです。一緒に日本に連れて来た家族用のビザですね。

このビザは留学ビザと同じように就労制限がありますので、日本で働くためには必ず資格外活動許可が必要です。

ワーキングホリデー(特定活動ビザ)

風俗営業等ではパート・アルバイトはできません。日本人と同様の労働条件・賃金条件が必要です。したがって週28時間以内の就労制限はありません。

また、「ワーキング」と名前がついている通り、働くためのビザでもありますので資格外活動許可は不要です。

日本人と同条件に働ける外国人

これらのビザを持っている方は、日本人と同条件で雇用する事ができます。
同条件とは、先ほど挙げた資格外活動の「週28時間制限」「風俗営業等の従事の禁止」が無くなるという意味です。

  • 日本人の配偶者等ビザ
  • 永住者の配偶者等ビザ
  • 永住者ビザ
  • 定住者ビザ
  • 帰化した外国人(つまり日本人)

夜のお店で働いている外国人の方々は、これらのビザを持っているか、もしくは不法就労です。

③ハローワークに連絡

「外国人雇用状況の届出制度」があり、ハローワークへ届け出る義務があります。届出をしなかったり、虚偽の届出をした場合は30万円以下の罰金の対象となります。

また、特別永住者(いわゆる在日の方)、外交・公用ビザの方を雇用する場合は不要です。

詳しくはこちら→

パート・アルバイトで雇えないビザ

これまで紹介したビザ以外の場合は、基本的にパート・アルバイトで雇うことはできません。
大きく大別すると、旅行者就労ビザ所持者です。

旅行者は、短期滞在ビザを持っていますが、このビザで報酬を得る活動は禁止されています。旅行専用のビザでは日本で働くこと(=収入を得る活動)は一切認められていません。

また、就労ビザは日本で働くための専用ビザの総称です。このビザを取得する際、その外国人の方の経験・学歴と雇用先の仕事内容がマッチングしているかどうか、法令を満たしているかなどが審査されます。そのため、就労ビザは原則、許可された仕事以外はできません。

つまり、パート・アルバイトでは雇用できない(パート・アルバイト形態では就労ビザはそもそも取れません)となります。

ただし、ビザの内容と仕事内容がマッチしていれば可能な場合も。例えば、通訳業務として就労ビザを持っている人が通訳のバイトをするのはOK。

ちなみに、単純労働・ブルーカラー的な働き方は就労ビザでは絶対不可です。

短期滞在ビザ所有の外国人を雇えないことは分かったと思いますが、短期滞在ビザ以外の場合は、在留カード裏面一番下の資格外活動欄に「許可」と「労働時間」等の記載があるか確認しましょう。

就労ビザの場合は、資格外活動許可をもらえばバイトすることも可能です。ただし、許可はなかなか取れませんが。また、就労ビザではありませんが、文化活動ビザなども資格外活動許可を取れば可能です。

雇用できない外国人の方を雇った場合の罰則

外国人本人はビザの更新ができなかったり退去強制される事がありますが、雇用側にも罰則が設けられています。

入国管理法第73条の2

次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
二 外国人に不法就労活動をさせるためにこれを自己の支配下に置いた者
三 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関しあつせんした者

いわゆる不法就労助長罪となり、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金が課せられます。

基本的に、「知らなかった」は通用しないので、必ず在留カード等で確認しましょう!また、雇用者が外国人の方=外国人事業主であれば、日本にいられなくなります(退去強制)。

偽造在留カードの見分け方

偽造された在留カードが出回っているのはご存知ですか?「永住者」や「日本人の配偶者等」などアルバイトの制限がない在留資格の偽造在留カードが大量に存在します。

かなり精巧に作られており見た目では判断がつきません。そのため、気づかないうちに不法就労させてしまっているなんてことも。

法務省がインターネット上で確認できるサイトを用意していますが、こちらは在留カード番号が「有効」かどうか、しか確認できません。有効な在留カード番号で偽造されているので、このサイトでは結局分からないんです。

そのため、偽造かどうかの有効な確認方法は…在留カードのICチップ内蔵のデータを読み取ることが最も有効です。

外国人アルバイトを大量に雇うのであれば、不法就労防止のために下記のような商品を利用するのがおすすめですね。

http://onecheck.arigato.work/

簡単に在留カードのICチップ情報を読み取れますので、偽造在留カードを簡単に発見することができます。

また、正社員で外国人を雇用する場合は偽造在留カードをつかまされるリスクはあまりありません。ビザの申請(在留資格変更許可申請など)をしますので、偽造カードだと申請が許可されないからです。ただ、すでに就労ビザをお持ちの外国人を雇用する場合は注意が必要です。就労可能な仕事内容かの確認という意味も含めて 就労資格証明書交付申請をすることをお勧めします。