「結婚」を機に帰化を考える外国人はとても多いです。結婚後、日本人配偶者と共に日本に住み続ける。そう考えると自然なことだと思います。

結婚前でも帰化を考える外国人も多くいらっしゃいます。それは、配偶者うんぬんではなく、単純に日本が好きで一生日本に住みたい人です。

また、在日の方も結婚をする前から帰化をされる人も多いです。在日韓国人・朝鮮人の方は、今となっては日本生まれ日本育ちで日本語しかしゃべれない方がほとんどで、朝鮮半島に対する帰属意識も低い。だけども「日本人ではない」ということで、在留カードを持ち、役所手続きも面倒というハンデを持っています。そして、日本に馴染みがありすぎて国籍を離れることに抵抗があまりないので、結婚がどうこうとなる前から帰化という選択肢が現実にあるんですね。

そこで今回、結婚と帰化を絡めて3つの内容について説明していきます!

日本人と結婚すればすぐに帰化できるの?

日本人と結婚すれば日本人になれる、すぐに帰化できる、と思っている方も少なくありません。実際どうなのでしょう。

日本人と結婚は帰化の条件ではないので、結婚=帰化は成立しません。他の条件を満たす必要があるのです。帰化をするためには法律で決められた条件をすべて満たす必要があります。(※帰化の条件についてはこちら→

ただし、結婚して日本人の配偶者になっていれば、帰化の条件が緩和されます!それは、「住所条件:引き続き5年以上日本に住んでいること」という条件が別の条件に変わる=緩和されるです。

【日本人の配偶者の場合の住所条件】

日本人と結婚すれば、帰化要件の1つである住所条件が通常は「5年」というところ、下記2パターンに緩和されます。

配偶者が日本人の場合は、3年以上日本に居所があること

例えば、就労ビザで来日し3年以上日本に住んでいるタイ人男性が日本女性と結婚した場合、タイ人男性はすぐに帰化申請できます。

日本人配偶者と結婚してから3年以上経過し、1年以上日本に居所があること

例えば、イギリスで結婚したイギリス人女性と日本人男性夫婦が結婚2年後に日本に移り住み、1年経過した場合、イギリス人の奥さまは帰化申請できます。

日本人と結婚すればすぐに帰化できる場合

上記の条件に照らし合わせれば、日本に3年以上住み続けている外国人は、日本人と結婚後すぐに帰化が可能になります。

帰化申請の際のビザ(在留資格)の種類は配偶者ビザでなくとも大丈夫です。就労ビザでも留学ビザでもOK!帰化申請では現在のビザの種類は問われません。

ただし、帰化申請中も正規のビザの在留期間中でなくてはなりません。帰化申請は申請してから許可まで10ヶ月前後を要しますので、その間にビザの期限が切れる場合は更新申請をするか配偶者ビザに切り替えが必要となります。

結婚を先にするか? 帰化を先にするか?

基本的には、先に帰化をすませた方が手続きは簡単です。

ただし、帰化は申請してから許可されるまで時間がかかります(10ヶ月前後)。そのため、すでに妊娠していたり、何らかの事情で早く結婚したい、という場合は結婚を先にした方がベターです。

つまり、ケースバイケースですね。

また、先ほど説明した通り、日本人と結婚すると帰化の居住条件が短縮されますので、通常の住所条件「5年」を満たしていない方や就労ビザを持っていない方は結婚を先ずすべきだと思います。結婚することで、帰化の居住条件の期間短縮による早期の帰化申請を狙うということですね。

帰化してから結婚する場合

帰化後に結婚する場合は、日本人同士の結婚と同じなので、婚姻届を役所に届け出ればそれで手続きは完了します。

めちゃくちゃ楽です!

日本人と外国人が国際結婚する時は、大使館/領事館に行ったり、母国に行ったり書類を取り寄せたり…手続きがまあ大変です。帰化も大変な申請ですので、大変な手続きを2回するより1回で済む方がいいですよね♪

また、帰化後は日本人となりますので、戸籍が作られます。元外国人の戸籍に日本人が入ることができるようになりますし、日本人の戸籍に入ることもできます。ちなみに、国際結婚だと外国人は戸籍に入らないんです。日本人の戸籍の備考欄的なところに「この外国人と結婚したよ」という趣旨が書かれるだけです。

ただし、先ほども書きましたが、帰化は申請から結果が出るまで時間がかかります。そのため、結婚を念頭に帰化申請を進める場合は、入籍の時期に注意してくださいね。思ったより帰化申請に時間がかかって入籍の時期がずれた~ということも考えられるので、余裕をもってスケジュールを立てましょう。

また、帰化申請は配偶者ビザよりも審査が厳しくなります。配偶者ビザと要件がほぼ同じものもありますが、住所条件以外に素行条件、生計条件、思想条件、日本語能力など全て満たさなければなりません。平たく言えば「日本語が話せる善良な外国人」でなければ帰化できませんので、後ろめたさがある方は先に結婚をしてから帰化条件を整えるほうがいいいかもしれません。

帰化した後に結婚する場合に注意すること

手続きとしては1つだけ注意してください。女性限定のお話です。

再婚禁止期間って知っていますか?女性に限ったことですが、日本では民法で定められています。世界を見てもポピュラーな規定ですね。

再婚禁止期間は、「離婚後に再婚する場合、再婚してはならない期間」です。ちなみに、日本では明治時代に定められた期間がつい最近まで存続していたんです。

(改正前)再婚禁止期間6カ月

(改正後)再婚禁止期間100日

※ただし、離婚したときに妊娠していないことが証明された場合には禁止期間の適用を除外される

2016年6月1日に民法の改正案が可決・成立して、明治時代から続くルールがようやく短縮されたんですね。そもそもなんで女性だけ再婚禁止期間があるねん、という議論があります。でも、ちょっと長くなりますので割愛させていただきます。

ようやく本題について書いていきますが、注意点とは、この再婚禁止期間にまつわることなんです。日本で婚姻届を出す場合、夫と妻の両方の戸籍謄本を添付する必要があります。通常は戸籍謄本を見ればこれまでの結婚歴や離婚の時期が分かります。

でも、帰化した人は帰化の許可時点からの分しか戸籍が作られないので、結婚歴があるか?離婚後100日経過しているか?といったことが分からないんですね。そのため、女性の場合は帰化前の国籍の証明書が必要になる場合があります。

結婚してから帰化する場合

帰化の前に結婚する場合は、いわゆる国際結婚の手続きが必要です。一般的には、次のような流れになります。(先に外国に届け出る場合もあります)。

手続主な必要書類
①日本で婚姻届を出す婚姻届
日本人の戸籍謄本
婚姻要件具備証明書(独身であることの証明)
パスポート ※各自治体によって異なります。
②在日外国大使館・領事館に婚姻届を出す※各国・地域によって異なるため要確認
③帰化申請する必要書類はこちら→

おわりに

このように、日本人同士の結婚と比べると帰化前、つまり国際結婚をした場合は結婚の手続きがややこしくなります。と言っても、状況は人それぞれですから、帰化と結婚のタイミングについてお悩みの方は一度専門家に相談してみてください。