文化活動ビザ(在留資格:文化活動)は、日本で文化的な活動を行いたい外国人のための在留資格です。
「日本で学術・芸術を学びたい・研究したい」
「日本で日本文化を学びたい・研究したい」
という目的ですね。
似たようなものに、研究ビザ・教授ビザ・研修ビザ・留学ビザなどがありますが、働く場所や報酬の出所、就学場所によって、どのビザになるかは異なります。
入管法上での文化活動ビザの表現は下記の通りです。
収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(四の表の留学の項から研修の項までの下欄に掲げる活動を除く。)
文化活動ビザに該当する3つのパターン
文化活動ビザは無報酬です、下記の3つのパターンに分けられます。
- 収入を伴わない学術上・芸術上の活動
- 我が国特有の文化又は技芸について専門的な研究を行う活動
- 我が国特有の文化又は技芸について専門家の指導を受けてこれを修得する活動
パターンごとに具体的なケースを挙げていきますね。
また、その前に「収入を伴わない」ことについて補足を。収入とは「金銭的利益」と考えてください。
例えば、日本の大学等が「滞在費」「奨励金」「研究費」を外国人に渡すこと自体は収入にはなりません。しかし、文化活動のためにその金額を消化せずに外国人の手元に残ってしまった分は「収入」になってしまいますので要注意です。ちなみに、外国人の方が所属する海外の機関からの金銭的支援は考えなくても大丈夫です。
また、収入が無いという前提のビザですので、それなりのお金の見通しが立つ人しか許可されません。「経費支弁能力」なんて言い方もしますが、
・「申請人本人」が日本滞在中の生活費などを払えること(資産や奨学金など)
・「申請人以外」が費用負担する場合、その方に十分な収入や資産などがあること
のいずれかに該当しなければなりません。「日本に来てからアルバイト等で稼ぐ」という前提ではビザが取れませんのでご注意ください。
パターン① 収入を伴わない学術上・芸術上の活動
- 外国の大学や研究機関所属の人(教授、准教授、助教、講師、所員など)から派遣されて調査・研究をする活動
- 大学教授等の指導の元、無報酬で研究を行う活動(研究生など)
- 専修学校として認可を受けていない外国大学の日本分校に入学して行う学術上の活動
- 無報酬のインターンシップ
- 芸術ビザに該当する活動であって収入を伴わない活動
このパターンでは、海外の研究者が日本の機関に雇われずに日本で活動することがメインになりますね。
3つめの「専修学校〜」の方については留学ビザが該当しそうですが、外国大学の日本分校はでは留学ビザが取れないことになっていますので、文化活動ビザが該当することになります。
4つ目の「無報酬のインターンシップ」ですが、日本の職場体験をするために外国の大学からインターンシップのために来日した学生達が該当します。ちなみに、無報酬のインターンシップ中の日本滞在期間が3ヶ月以内であれば短期滞在ビザとなります。
インターンシップについてはこちらの記事をご確認ください。
パターン② 日本文化の研究
このパターンは日本文化の研究するために来日する場合になります。日本文化(我が国特有の文化又は技芸)は下記の通りです。
■日本固有のもの |
生花、茶道、柔道、日本建築、日本画、日本舞踊、日本料理、邦楽 など |
■日本固有ではないが、形成・発展のうえで日本が重要になっているもの |
禅、空手 など |
また、研究といっても素人レベルではビザは取れません。文化活動ビザを取りたいと考えている外国人本人が研究目的である日本文化についてある程度精通していなければなりません。ビザの申請での必要書類に下記の「学術上又は芸術上の業績を明らかにする資料」が求められていることからも、客観的に日本文化に対する造詣の深さを証明できなければなりません。
パターン②日本文化の研究目的で必要となるビザ申請書類(一部)
■ 学術上又は芸術上の業績を明らかにする資料
(1) 関係団体からの推薦状 1通
(2) 過去の活動に関する報道 適宜
(3) 入賞,入選等の実績 適宜
(4) 過去の論文,作品等の目録 適宜
(5) 上記(1)~(4)に準ずる文書 適宜
パターン③ 日本文化の専門家に師事する
日本文化の内容についてはパターン②と同じです。このパターンは研究ではなく、専門家の元で日本文化を学び、取得するための活動となります。
また、外国人本人の素養については「日本文化を研究する」と同じですが、今度は専門家の資質も問われることになります。師事する専門家は、その分野で免許を持っている・肩書きを持っているだけでは足りず、指導をしている・過去に指導をしていたことが必要です。
このパターンで注意してほしいことは、習い事レベルでは不許可になってしまうということ。週1、2の各90分のような形だと間違いなく不許可です。
文化活動ビザの在留期間
文化活動ビザの在留期間は3ヶ月、6ヶ月、1年、3年です。
文化活動ビザと資格外活動許可
文化活動ビザは働くことができないビザですので、アルバイトなどをする場合は「資格外活動許可」を取らなければなりません。もし、資格外活動許可を得ずにアルバイトを始めてしまうと不法就労になりますので必ず入国管理局にて申請しましょう。雇用側も不法就労助長罪が適用される可能性があります。
また、留学生ビザや家族滞在ビザであれば資格外活動の包括許可ができますが、文化活動ビザの場合は個別許可しかできません。包括許可であれば、「週28時間であれば、風営法系以外でバイトしてもいいよ」という許可になりますが、個別許可の場合は「勤務先を確認、就労時間も個別に決定」する許可になります。
そのため、文化活動ビザではアルバイト先が変わるごとに資格外活動許可の申請が必要となります。
文化活動ビザと他のビザとの関係性
文化活動ビザは「無報酬」であることと、「学ぶ場所」「研究する場所」によって他のビザが該当する可能性があります。
教授ビザ
日本の大学等に所属して報酬を得て研究する場合は教授ビザが該当します。
研究ビザ
日本の公的機関・企業等にて報酬を得て研究する場合は研究ビザが該当します。
留学ビザ
学校に通う場合は、留学ビザに当てはまる可能性があります。一部例外がありますが、「学校」と名前のつくスクールに通う場合は留学ビザの可能性大です。
研修ビザ
無報酬で日本の企業などで技能・技術・知識を修得する活動(いわゆる研修)は研修ビザとなります。
短期滞在ビザ
無報酬の場合で日本滞在期間が90日以内の場合は短期滞在ビザです。文化活動ビザの活動内容と言えないレベル(趣味程度)の内容であれば、観光・娯楽目的での短期滞在ビザが該当します。
家族滞在ビザ
外国人の方のご家族の方(配偶者・子供)が取得できるビザです。
文化活動ビザの申請
外国から招聘する(在留資格認定証明書交付申請)
他のビザから切り替える場合(在留資格変更許可申請)
在留期間を延長する場合(在留期間更新許可申請)