mainichi.jp

まだ検討段階です。ニュースを要約すると、

2019年度から、日本から海外に行く全ての人に出国税として1,000円を徴収する。税収は400億を見込み、使用用途は観光振興以外も可能。

というもの。

遂に日本でも採用か〜というのが率直なところ。だって正直、この税金って取りやすいんですもん。今まで無かった事が逆に不思議。

 

そもそも出国税とは?

国によって名称は異なりますが、出国時に徴収される税金のことです。逆に入国時に徴収されるものは入国税ですね。基本的には航空券購入時に含まれていますが、フィリピンやインドネシアなどは別払いになっています。

しかも現地通貨で支払いが必要となり、空港でのチェックイン前に現地通貨を全て使ってしまって支払いに困る人も多いそうです。

海外旅行に行く際には出国税の有無・支払い方法について事前確認しておいたほうがベターです。

 

出国税が導入しやすい理由① 飛行機代に比べて安い

海外に行く時に必要なお金を考えて見てください。数千円単位じゃないですよね?数万円単位になると思います。

そう考えると、今回検討している「1,000円」というのは微々たるもの。マーケティングの専門家ではありませんので、あくまで個人的予想になりますが影響はほぼ無いと思います。ただ、日本-韓国が往復8,000円もかからない航空券がある時代ですので、この金額から考えれば「高いよ」と感じるかもしれませんが。

一方、他の国に目を向けると、オーストラリアは出国税は約5,000円。韓国は約1,000円。アメリカはというと、ESTAという電子渡航システムがあり、これは外国人がアメリカに行く際に必要な申請ですが、申請料が約1,600円かかります(ノービザ渡航に限る)。オーストラリアの約5,000円というのは金額的にも影響がありそうですが、1,000〜2,000円程度であれば出国の利用者数にほぼ影響を与えないのではないでしょうか。

 

出国税が導入しやすい理由② 取りっぱぐれがない

まさに取りやすいところから取る、です。

日本では航空運賃に上乗せする予定のようですので、出国者から徴収できないことは皆無です。必ず納税されますね。そして、利用者から直接徴収するのは航空会社など限られた企業ですので、よっぽどの悪意かミスがない限り国としては徴収できるはず。

利用者から税金を徴収する企業が集めた税金を国等にキチンと収めるかというと、絶対ではないですからね。悪徳企業もたくさんあるわけで。

また、出国毎に1,000円という単純明快ですので、申告間違いも起こりにくいですね。納税率はほぼ100%になるのではないでしょうか。

 

出国税の予定税収額とその用途

今回検討されている出国税の課税対象者は、日本から出国する全ての人を対象とするそうで、外国人はもちろん日本人もその対象となります(一部例外は設けられるかもしれませんが)。

ですので、税収額の装うは単純明快。出国者数×1,000円です。

そこで2016年度の出国者数を見てみると、日本人1,700万人、外国人2,300万人の合計4,000万人。

つまり、約400億円の税収を見込めます。

また、2016年に発表された観光庁の「現行基本計画と観光ビジョンの目標と関連施策」では外国人観光客の目標が掲げられていますが、2020年に4,000万、2030年に6,000万の来日者数を目標にしているとのこと。

日本人の出国者数が仮に横ばいとしても、税収に換算すると570億円以上を見込めることになります。

ちなみに、温泉に入る時にかかる入湯税の税収は227億円(2015年度)、ゴルフ場利用税は475億円(2015年度)、自動車取得税は1,319億円(2017年度計画)です。

また、観光庁の2017年度の予算は約210億円で、出国税だけでかなりオーバーすることになります。

現在の方針では観光振興用途はもちろんですが、観光庁以外の省庁でもこの財源を使えるようにするそうです。

納税側からすると、名目(観光振興)以外に使うなというのが心情ですが、現予算の2倍、3倍の財源ができるのであれば多目的に使われざるを得ないと思います。

ただ、現政府が掲げている「外国人観光客の増加」を目指すのであれば、その増加対策に政府としては出費もかさむことになると思われます。

また、個人的予測にはなりますが、日本の人口減少対策の一環で将来的に外国人移民の受け入れも進行して行くと思いますので、増加する来日外国人対策の1つとして空港警備費用やセキュリティ費用にあてがわれるべきかと思います。

 

出国税導入に対する反対意見

新たな税の創出には当然、反対勢力が出てきます。当たり前ですよね?だって払う税金が増えるわけですし。今回のケースではやはり旅行業界、特に航空業界が増税への懸念を示しているそうです。冒頭、私の予想では出国税導入でも金額が微々たるものだから影響はほぼないだろうと書きましたが、当事者はそうは思っていないようです。

また、2重課税ではという声も。実は、日本の空港では「空港使用料」の支払いが必要で、航空券と一緒に支払っているんです。

例えば、羽田空港であれば2,570円、関西国際空港だと3,040円と、空港によって金額は異なります。空港使用料は「税」ではなく航空会社経由で空港に支払うもので、出国税とは支払い先が違うのです。

とはいえ、利用者からするとよく似た名目で支払い金額が増額になるのでいい気がしませんが…

他にも、旅行代理店はパンフレットを差し替えないといけない、という意見も見かけましたが、これは問題ないと思います。

新税制スタートから旅行日までの期間が短ければ大変ですが、法律が成立してから施行されまでには相当の期間を設けますし(現在は2018年に成立、施行は2019年度を目指す)、金額も一律1,000円ということで小難しい計算も不要なことから、注意書きを挿入する程度の対応でも十分だと思われます。

システム改修費用も当然発生するでしょうが、税制がシンプルなことから、大した負担にはならないと思います。

 

2017年12月14日追記

https://mainichi.jp/articles/20171213/ddm/008/010/079000c

出国税の名称は「国際観光旅客税」になるようですね。

導入時期は、中国の旧正月での来日観光客に課税できるように2019年1月7日から導入するとのことです。

また、課題であった税金の使い道については何に転ぶかわかりません。なぜなら用途不問の一般会計だから。

観光の関連法案の整備で税収を観光関連に振り分けれるようにするとありましたが、とりあえず新たな財源を確保したいという政府の狙いが見え隠れしますね。