銀行送金の手数料値下げのニュースが飛び込んできました。

ニュースの概要はこちら。

・国内メガバンク、りそな銀行、地方銀行など約60の金融機関が実証実験済み

・専用スマートフォンアプリで送金

・相手口座が不明でも携帯電話番号かQRコードで可能

・365日24時間利用可能。着金には時間がかからない見込み

・ブロックチェーン技術を応用して銀行間の送金を低コストで実現

・手数料は各行が決定。最も安くした場合は現在の1/10程度の手数料にすることが可能

・2018年3月にも一部銀行でスタート予定

・将来的にはATMからの送金や海外送金も格安でできるようにする

とりあえず国内銀行間でスタートするというニュースですが、将来的に海外送金も対象とするとなっています。

海外送金、高いんですよね〜

数千円の手数料がかかりますし、相手の口座に送金が完了するまでに日数がかかることもあります。

海外にいる親族や配偶者にお金を送るのって高コストなんです。

 

ブロックチェーン技術が使われている

仮想通貨が着目されているポイントの1つが送金手数料の低コスト化なんですよね。

現在の送金システムは、中央管理システムの一極集中型です。他銀行に送金する際には、中央管理システムを経由して送金することになります。一極集中になっている分、厳重なセキュリティ対策はもちろんされています。その一方で、システムの維持には多額の費用がかかっているため、そのコストが手数料に反映されているようです。

今回のニュースの手数料の低コスト化には、ブロックチェーン技術が使われるというもの。この技術では中央管理システムのような中心となるシステムは存在しません。従来は取引履歴が中央管理システムに記録されていく形でしたが、ブロックチェーン技術を使えば、取引履歴は「お金側」に随時記録されていき、鎖のようなデータになります。

つまり、中央管理システムを用意する必要がないため低コストが実現できるんですね。また、複数のコンピューターで分散管理されていますので、システムダウンの障害にも強い。

仮想通貨は眉唾物の扱いを受けていますが、その技術は有用なもの。上手に扱えば様々な面で私たちに恩恵をもたらしてくれます。

 

仮想通貨の海外送金コスト

そもそも、仮想通貨を使えば送金コストはほぼかかりませんよね。

こちらは仮想通貨取引所のホームページから抜粋した海外送金コスト表です。

(出展:coincheck

銀行間での海外送金だと、手数料が数千円、送金完了まで数日〜2週間かかりますが、仮想通貨(ここではビットコイン)であれば手数料は約9円、送金完了まで1時間以内となっています。

 

仮想通貨での海外送金、ちょっと待って!

「うちは仮想通貨で海外親族に送金しているから、今更銀行だなんて」という方もいらっしゃると思います。何と言っても安いですしね。

でもちょっと考えて欲しいことがあります。
それは、仮想通貨のメリットである匿名性と、そのために生じるマネーロンダリングの温床となる事実です。つまり、海外送金相手が「本当に親族なの」という証明ができるのかということ(私自身、仮想通貨での送金をしたことがないので、はっきりとは申し上げられません。詳しくは仮想通貨に精通した人に聞いてみたいところですが…)。

日本在住の外国人は何らかのビザ(在留資格)をお持ちですが、ビザの申請の際に海外送金状況を申請書に添付しなければならない人もいます。例えば、扶養家族が海外にいる場合や、会社設立の出資金を海外の口座から持ってくる場合などです。

でも、仮想通貨には匿名性がありますので、送金先・送金元の証明が難しいんですよね。
日本の仮想通貨の取引所であれば、身分証の提示が必要になっているようですので口座所有者の証明は簡単にできそうですが、外国の取引所はどうでしょうか?

まだ私のところに仮想通貨で海外送金している方の申請依頼がありませんので確認していませんが、ビザの審査をする入国管理局は仮想通貨での送金を認めない可能性があります。手渡しのお金のやり取りは、客観的な証拠がない限り証明しようがありませんよね。それと同じように、仮想通貨でのお金のやりとりも客観的な証拠が用意できない限り、本当に親族間など特定の人との間でのお金のやりとりがあったか証明できないんです。

だからと言ってビザの申請が不許可になるわけではありませんが、一定の犯罪疑惑が付きまとうことになります。つまり、ビザの申請が不許可になるリスクが高まることになります。※違法に日本滞在を目論む外国人の方が後を絶たないことから、偽装結婚や犯罪の匂いのする方の審査は厳しくなります。

 

だからこそ、銀行間の送金で!

あらぬ疑いをかけられるのは嫌ですからね。避けるためには、できる限り公共性の高いサービスを使って海外送金することがベター。

ということで、やはり銀行間の海外送金がベスト。

ネックは送金手数料が高額なこと。送金完了に日数がかかること。そうすると、冒頭に取り上げたニュースの重要性が分かると思います。

海外送金のネックになっていた手数料が最大1/10程度に減額、送金完了までの時間も大幅に改善、そして、銀行間の取引であることから海外送金そのものの客観的証明も簡単です。