日本に住むための必要なものの1つ、銀行口座。
仮想通貨が盛り上がりを見せていますが、日本で生活する上で、さらに言えば日本で収入を得る上で必要となってきます。

けれども、すべての外国人が日本で銀行口座を作れるかと言えば、答えはNO。

法律上の規制もありますし、信用、また、銀行側の業務効率上の問題があるため、必ずしも口座開設できるとは限りません。

 

短期滞在ビザ(観光ビザ)で来日した外国人の場合

口座開設できません。どの銀行でも不可です。
残念ながら日本で銀行口座を作ることができません。 ノービザの方も作ることができません。結婚後に日本に住むために短期滞在やノービザ来日し、ゆくゆく必要になるからと言ってもこの時点では口座開設できないんです。

また、不動産投資目的で来日した外国人の方も、 頻繁に日本に来るからといっても短期滞在ビザのままでは不可です。投資でしたら経営・管理ビザ(在留期間:4ヶ月)などを取得して来日してくださいね。それであれば口座を持つことができまます(銀行による)。

 

日本に住んでから1年未満の外国人の場合

日本に住んでから1年未満しか経過していない場合、送金が制限されている口座しか作れない可能性が高いです。冒頭で、法律によって制限されているとお話ししましたが、「外国為替及び外国貿易法」(通称:外為法)という法律によって外国人の方の口座開設は規制を受けます。

簡単に言うと、「外国人の方のお金のやり取りは制限します」という法律です。

ただし、例外がありますので該当する外国人の方であればやりとり可能です。この法律の中では外国人という言い方はしておらず、「居住者」「非居住者」という表現をしています。 そして、「居住者」である外国人であればお金のやり取りをしてもいいとなっています。

そこで疑問点が出てくるのですが、「居住者」である外国人とはどのような人を指すのでしょうか?

詳しくは財務省通達「外国為替法令の解釈及び運用について」にて居住者を定義しています。「居住者」とは下記の(イ)(ロ)です。

財務省通達「外国為替法令の解釈及び運用について」

イ 外国人は、原則として、その住所又は居所を本邦内に有しないものと推定し、 非居住者として取り扱うが、次に掲げる者については、その住所又は居所を本邦内に有するものと推定し、居住者として取り扱う。

(イ) 本邦内にある事務所に勤務する者

(ロ) 本邦に入国後6月以上経過するに至つた者

ロ イにかかわらず、次に掲げる者は、非居住者として取り扱う。

(イ) 外国政府又は国際機関の公務を帯びる者

(ロ) 外交官又は領事官及びこれらの随員又は使用人。ただし、外国において任命又は雇用された者に限る。

つまり、日本で仕事(自営業・会社員)をしているか、日本に6か月以上住んでいれば、外国への送金も可能な口座が作成できるということです。日本人が開設している口座と同じ普通口座が開設できるということになります。ただし、実際は銀行ごとに口座開設にあたって異なる基準を設けていますので要注意です。

いろいろと書きましたが、日本に滞在開始して6ヶ月以上経過している方は普通口座の開設の可能性が高い(確実ではないが)いうことをご理解いただければと思います。

 

日本滞在6か月未満の外国人の方

先ほどの財務省通達の通り、6か月未満は非居住者になりますので、外為法上、外国への送金は制限されることになりますので、通常の口座(普通口座)の開設は不可です。

その代わり、日本滞在6か月未満の外国人の方は非居住者円預金という口座が作れる可能性があります

この非居住者円預金という名前の口座、外為法の制限がかかりますので送金制限はもちろんあります。海外送金の手数料が数千円であったり、そもそも海外送金ができない銀行もあります。その他、非居住者円預金口座には送金以外にも多くの不便さがあります。銀行によって異なりますが、キャッシュカードがない、口座引き落としができない、手数料が高額、入出金出来る支店が限られる、など、実用にはちょっと不向きです。

とは言うものの、「本邦内にある事務所に勤務する者」でない限り、日本在住6か月未満の方は非居住者円預金でしか口座は作れません。

そのため、選択肢としては2つです。

日本人の親族(配偶者や親、子)にお金の管理を任せてしまう。
または、とりあえず非居住者円預金で口座を作っておいて、6か月経過した段階で普通口座への切替の手続きをするかです。

留学生などは、学校側に問い合わせてみましょう。提携している銀行があると思います。また、非居住者円預金口座が作れる可能性がある、としたのは、口座開設基準が銀行によって異なるからです。

知り合いの銀行員に聞いてみたところ、普通口座に比べると非居住者円預金口座は銀行側にとってコストが高く、銀行としては作りたくない…という事情があるため断ることもあるそうです。しかし、地域によっても対応が異なりますので、まずは問い合わせてみましょう。

日本に6ヶ月以上滞在している方で、住民税課税対象者の方は下記「1年以上経過している〜」をご覧ください

 

日本に住んでから1年以上経過している外国人の場合

日本に住んで1年以上経過している外国人の方は、必要書類を集めれば口座(普通口座)を作成することができます。

その理由は、住民税課税対象者に確実になるため。私が調べた範囲では、ほとんどの日本の銀行は日本在住1年以上の外国人の方に対しては特別な制限を課しておらず、口座開設が可能なようです。

 

どの金融機関がお勧め?NO.1はゆうちょ銀行

ゆうちょ銀行が最もお勧めの銀行です。

来日後6か月未満での口座開設が可能ですし、当たり前の話ですがキャッシュカードも発行されます。他行が6ヶ月未満の居住歴の外国人の方を受け入れないため、ゆうちょがその受け皿になってきた歴史があります。

ただし、送金などの制限はあります(非居住者円預金という扱いのため)。

 

必要書類

  • 在留カードまたは住民票の写し
  • パスポート
  • 印鑑(サインでも可。ただし基本的に印鑑を求められると思います)
  • 現金(最初に口座に入金するお金です)

 

どの金融機関がお勧め?NO.2は新生銀行

全てではありませんが、メガバンクや地銀、ネットバンクを確認してみました。私が確認した中では、外国人の口座開設専用ページを持っていたのは1行だけでしたので、その会社を2番のお勧めとします。

その銀行は新生銀行です。

外国人専用ページにて、来店での必要書類、郵送での必要書類の案内がされており、未成年外国人についても詳細が記載されています。広く対外的に公表しているということは、外国人の方の口座開設について真剣に取り組んでいる表れだと思いますし、ノウハウも蓄積されているはずですので対応もいいと思います。

 

必要書類

◆下記いずれか1点

  • 在留カード(在留期間が1年以上とされているもの)
  • 特別永住者証明書(対象者のみ)
  • 運転免許証(交付後6か月以上経過したもの)
  • 印鑑(印鑑無しでもOK。その場合は署名となります。)

 

ネットバンク

楽天銀行

↑こちらは一例です。
ネットバンクは一般の銀行と比べて外国人の方の口座開設に力を入れているみたいです。印鑑不要な銀行も多く、外国人の方にとっては利用しやすくなっています。

ただし、作業効率のため一定条件を満たさない口座開設の申し込みは一律に不可としている可能性があります。柔軟な対応を求めるには窓口のある銀行で申し込みする方がいいと思います。

 

必要書類

◆本人確認書類

  • 在留カード
  • 運転免許証
  • 健康保険証
  • パスポート
  • 特別永住者証明書 など

◆追加書類

  • 公共料金の請求書や領収書
  • 税金の領収書 など

◆はんこ

◆電話番号

◆現金(最初に口座に入金するお金)

※必要書類は銀行によって異なります。
※追加書類は外国人本人名義が必要になります。また、名前の一致が求められます。
※在留期間や来日後の経過期間によって口座開設を断られるケースがあります。

 

その他の金融機関について

各銀行のホームページを見ていくと、外国人の方に口座を作ってほしくないと感じる銀行が多くありました。なぜなら、「外国人」というワードで銀行のホームページを検索しても、出てくるのはローンばかりで口座案内はほとんどヒットしないのです。容易に口座開設ができてしまえば、不正送金やマネーロンダリング等のリスクが高まりますし、また、前述の銀行員が言ったようにコスト面で積極的に案内していないのかもしれません。

ただし、どの銀行でも外国人向けに口座開設のメニューは持っているはずです。
日本滞在期間によっては断られることあるとは思いますが、まずは利用したい銀行に問い合わせてみましょう。できれば日本語が話せる友人と銀行まで行って相談することをお勧めします。

また、所属機関と銀行が提携している場合も多々あります。学校や勤め先に聞いてみる、または口添えしてもらうのもありです。そのほかにも、外国人が多く住む街の銀行であれば対応している可能性が高いです。