「医療ツーリズム」という言葉をご存知でしょうか?居住地以外の国で医療を受ける行為を産業として捉える言葉ですが、日本も近年力を入れて取り組んでいます。日本の最先端医療・高度医療を外国人の方に利用してもらうことで日本産業の活性化を図るというものです。

この医療ツーリズムの場合は、外国人患者は医療滞在ビザを取ることになります。医療滞在ビザは国民健康保険に加入できませんので全額自己負担です。

一方、医療費を安く抑えるために不当にビザを取得し、国民健康保険に加入するという事例も多く見受けられるようになってきています。

時事通信:外国人の不正加入を調査=国保適正化へ実態把握-厚労省

留学ビザや経営・管理ビザを取得して国民健康保険に加入し、医療費を自己負担1〜3割で済ます、さらには高額療養費制度も利用するというものです。しかも健康保険料は前年度の収入に応じて設定されますので、来日間もない外国人の方は無収入ということで健康保険料の支払いは最低額の月額数千円です。高額療養費制度は前年所得に応じて限度額が決まりますので、ひと月あたりの自己負担限度額は約4万円以下となります。

これらの外国人の方のほとんどは違法にビザを取得したのではなく、法の抜け道を利用して不当にビザを取得したのだと思います。ビザを取るための基準を適法にクリアしているけど、実態が異なるという状況ですね。留学ビザなら入学する学校は決まっているけど通わない、経営・管理ビザなら会社を作るけど放置、といったところでしょうか。

正直、こうした行為はやめてほしいです。他の外国人の方にも迷惑がかかります。国民健康保険の悪用事例が増加し続ければ、留学ビザや経営・管理ビザなどのビザ審査の厳格化、国民健康保険加入条件の厳格化に必ず向かいます。全く関係のない方や本当に必要な方の不利益になってしまいます。

個人的には、高額療養費制度の適用を制限すればかなり改善される問題だと思っています。入国前の健康診断の義務付けもありかなと思いますが、諸外国の入国制度との兼ね合いもあって難しいかもしれません。